第187話 ~ 続・メイリンの異界見聞録 ① ~
第187話 ~ 続・メイリンの異界見聞録 ① ~
序章
新生・アル・マノース共和国では能力者はその能力値に応じて概ねランク分けされている
能力値別には以下の通り
戦略級 80000以上 ※特務佐官級
戦術級 79999~40000 ※特務尉官級
佐官級 39999~10000
尉官級 9999~5000
下士官級 4999~2000
一般兵 1999~
※超・戦略級 100000以上
※……概念としてのランクであり新生・アル・マノース共和国には実際に実在した記録はない
佐官級・尉官級が一般将校である
戦略級・戦術級は特務将校として扱われる
特務将校は一般将校とは互い軍組織に属するが評議会直属であり異種多様な所でその正体を隠して活動している
"彼の地"への遠征のために評議会場の地下に極秘裏に集められたメンバーは10人である
クゥを含めて皆が"戦略級"の高能力者たちである
使節団長
1 シュ・ユーシェン特務大佐
37歳で身長170センチ、黒髪短髪の標準体型で能力値は91000と序列3位であり最強レベルの能力者である
攻撃魔術は雷撃系を得意とし多くの攻撃魔術を操る事が出来るが防御魔術はあまり得意としない
能力値91000
2 副使節団長
テイ・コウトク特務中佐
年齢35歳、身長170センチ中肉中背、攻撃魔法より防御魔法を得意とする狭範囲での防御魔法は極めて強力でほぼ全ての攻撃魔法を防ぐ事が出来るが広範囲での防御ではその能力は著しく低下する
能力値87000
使節団員
3 カン・ケンネイ特務中佐
年齢32歳、身長178センチ、筋肉質のマッチョで防御魔法を応用した人体強化魔術を得意とし近距離肉弾戦を得意としている見かけによらず強力な防御魔法も使える器用さを持つ、メンバーの中で最も体格が大きくスタミナもある
能力値86000
4 ウ・コウメイ特務中佐
年齢34歳、身長175センチ、やや小太りで攻撃魔法・防御魔法ともにバランスの取れた能力を持ち総合戦闘能力が非常に高いオールラウンダーである
能力値85000
6 カク・コウヨウ特務少佐
年齢29歳、身長170センチ、やせ型で火炎系攻撃魔法を得意し防御魔法は干渉系とする、この中のメンバーで唯一錬成術が使える
能力値84000
7 ジョ・ランファン特務少佐
2人いる女性メンバーの1人で年齢26歳と最も若く見た目は女子大生である
身長162センチ、やせ型のショートカットの普通女子で新生・アル・マノース共和国では非常に珍しい回復系魔術を使い医療魔術を得意とする技術将校で魔道具の専門家でもある
攻撃魔法・防御魔法の能力は総じて低めである
能力値84000
8 トウ・ゴウキョウ特務少佐
年齢32歳、身長175センチ、中肉中背で結界術を得意とし広範囲での防御魔法を得意とする攻撃魔法は雷撃系でありこのメンバーで唯一、相手の魔術を封じる事ができる封印術が使える
能力値83000
9 ソウ・ハオユー特務少佐
年齢30歳、身長170センチ やせ型、非常に優れた魔剣使いで接近戦闘を得意とするが防御魔法は使えない筋力強化の人体強化魔術を得意する
武術も得意で素手での格闘戦にも優れている
能力値81000
10 クゥ・シン特務少佐
年齢29歳、身長175センチ、中肉中背、女性メンバーの1人、風力系の防御魔法を得意とし攻撃魔法は火炎系を得意とし極めて精度の高い遠距離ピンポイントでの狙撃が出来るメンバーで唯一のスナイパーである
能力値81000
以上、男性8名 女性2名の計10名である
新生・アル・マノース共和国の人々は全て黒髪である
全員の得意分野の能力を以てすればマノンに十分に対抗出来得るという計算の上に軍作戦参謀部の立案した提言書により選抜され集められた能力者たちである
固有能力者もいて、総じて若く能力の高い粒揃いの者達が選出されている
いわゆる、ライト・スタッフであり超・エリート部隊である
この10人にはこれから大陸の隅にある軍の秘密訓練所で本格的な厳しい実戦訓練が待ち受けているのである
第187話 ~ 続・メイリンの異界見聞録 ① ~
新生・アル・マノース共和国の政治局面は"異界の門"と"彼の地"の件により混乱し慌ただしさを増しつつあった
何百光年も離れた惑星にある国の事情などとは全く関係なく混乱の元凶の"彼の地"はいつも通りの平常な時間が流れていたのだが……
魔法工房だけはいつもとは違っていた
偶然通路で鉢合わせしたカルラとメイリンの時間は完全に停止していた
「あっ! こんな所にいたっ!!」
固まってい動けないでいる2人の耳にマノンの声が聞こえてくる
「どこ行ってたのよっ!」
「မင်းဘာတွေရောက်နေတာလဲ!」
「この女はいったい何なのよっ!」
「ဒီမိန်းမက ဘယ်သူလဲ!」
カルラとメイリンは違う言語で同じ内容を言葉を同時に口にする
「えっ……その……」
2人のあまりの迫力に驚いて言葉を詰まらせるマノンに2人が詰め寄る
"随分とややこしい事になっておるのぅ……"
いつの間にか魔力転換炉の遺跡から帰っていた爺が呟くのであった
"面白そうだから暫く放って置こうかのぅ"
認識阻害の魔術を発動し姿を隠したままでほくそ笑むと心の中でそう呟く意地悪爺であった
何とか、2人を落ち着かせたマノンは事の次第を説明する
「要するに、この女の人は……」
「別の世界の人って訳ね」
そう言うとカルラはメイリンの方をジッと見る
「見た目、私達と全く同じ姿じゃない」
「ホントに別の世界の人なの」
メイリンの姿があまりにも自分達と酷似している事に疑問を感じている
一方メイリンの方はと言うと……
"古文書に記されていた通りか"
"しかし、魔力を全く感じないのはなぜなのだ"
メイリンはカルラの姿形よりも魔力を感じない事に疑問を感じているのであった
後に、メイリンはこの世界の住人に魔力の無い事を知って驚くことになる
何とか2人にややこしい事は全て飛ばして大まかな説明を終えて納得してもらえたマノンであった
「とりあえず……何か食べない」
そう、マノンは性転換したこともあり腹ペコなのである
そんなマノンに2人は呆れたような視線を送るのだが……
何となくマノンと言う人物がどういう性格の人物なのかを悟るメイリンであった
"少なくとも悪い人ではなさそう……"
メイリンは心の中で呟くのであったのだが、その安心したかのような表情をカルラは見逃さなかった
"ま~の~ん~……"
カルラは心の中で呪いじみた言葉を発するのであった
かくして、3人は図書室でマノンの手料理を食べることとなったのである
「……」
目の前に並べられたマノンの手料理をメイリンは無言で見ている
「သင်စွယ်စုံရ・」
「貴方ってホントに器用ね……」
「ခင်ပွန်းကောင်းတစ်ယောက်ဖြစ်ပါစေ။」
「良い旦那さんになれるわよ」
メイリンは少し驚いたように小さな声で言うのだが、
カルラには何を言っているのか分からなかったのだが……
その意味する事を女の直感で何となくほぼ正確に理解するカルラであった
メイリンにとっては初めて目にする異界の料理である
恐る恐る、スプーンほ手に取る
"食器の類は私たちの世界と殆ど同じね"
メイリンは心の中で呟くとスプーンを手に取りマノン自慢の"赤いスープ"を掬うと少し震える手で口へと運ぶ
"見た目通り、美味しいじゃないのっ!!!"
この世界では不気味な色をしたマノンの"赤いスープ"だがメイリン達、新生・アル・マノース共和国の人の目には美味しそうにみえるのであった
この世界の人と新生・アル・マノース共和国の人の味覚は同じであったが、所々の感性は致命的に異なっているというこの事実は後に色々な波乱を巻き起こすことになるのである
食事を終えるとマノンはそそくさと食器の後片づけを始める
"ဒီလူက တကယ်ကို ခင်ပွန်းကောင်းတစ်ယောက် ဖြစ်နိုင်တယ်・”"
"この人、本当にいい旦那さんになれるわ……"
"料理も上手だし……よくよく見ると美形だし……"
"သူက ဟင်းချက်တတ်တယ်... အနီးကပ်ကြည့်ရင် လှတယ်.."
新生・アル・マノース共和国の女性の男に関する嗜好と感性はこの世界の女性と同じであった
暫く、後片付けをするマノンの後ろ姿をボォ~っと見ているメイリンであった
"この女……危険だわ……"
マノンの後ろ姿をボォ~っと見ているメイリンの表情と仕草に危機感を感じるカルラであった
「温泉にでも入りに行こうか」
後片付け終えたマノンがカルラに言うとメイリンにも念話で伝える
「အိုး...ရေပူစမ်း...」
「えっ……温泉……」
「မင်းရူးနေတယ်!」
「アンタ正気なのっ!」
メイリンが吃驚する声がマノンの頭に響いてくる
メイリンが驚くのも無理もない事で、新生・アル・マノース共和国の温泉は有毒な物質を含むために入ったりすると皮膚に大きなダメージを受けるからである
当然、マノンはそんなこと知らないわけで……説明に少しの時間を必要とするのであった
そんな2人の様子を見てカルラは何故か自分でも分からないぐらいに腹立たしさを覚えるのであった
メイリンを説得して温泉の部屋に行くとマノンとカルラは何事も無いように服を脱ぎ始める
「ခဏနေ!!」
「ちっ! ちょっと待ってっ!!」
「မင်းရဲ့လုပ်ရပ်တွေ! ငါနားမလည်ဘူး။!!」
「アンタ達っ! 何考えてんのよっ!!」
メイリンの慌てふためく声が念話と共に聞こえてくる
私とカルラはメイリンの声に驚いて服を脱ぐのを止める
「どうしたの……」
私がメイリンの声に驚いて振り返る
「လူငယ်တစ်ဦးနှင့် အမျိုးသမီးတစ်ဦးသည် အဝတ်ဗလာဖြင့် တွဲရန် မဖြစ်နိုင်ပေ။!!」
「若い男女が一緒に裸になるなんてありえないでしょうがっ!!!」
顔を真っ赤にして必死で言っているのだがカルラには当然通じるはずもなく……
恥じらうことも無くブラジャーもパンツもさっさと脱ぎ捨てて裸になると股間や胸を隠そうともせずに堂々と私とメイリンの前を通り過ぎるとそのまま温泉に入る
「အို အို မဖြစ်နိုင်!!!」
「ぁぁぁぁぁありえないっ!!!」
「အိုး! နားလည်သဘောပေါက်!!」
「あっ! そうかっ!!」
いきなりメイリンが何か思い立ったかのように言う
「မင်းက လင်မယား စုံတွဲတွေလား...」
「アンタ達、夫婦ね……」
「သဘောတူညီချက်...」
「そうよね……」
メイリンは必死で自分に言い聞かせるように言う
「違うよ」
私は自分で勝手に納得して何度も頷いているメイリンに念話で答える
「မုသား」
「えっ」
マノンの平然とした答えにメイリンの思考は完全に停止する
新生・アル・マノース共和国では男女の振り分けが幼い頃(7歳ぐらいから)から徹底されているために同じ所で夫婦以外の若い男女が裸になるなど考えられない事なのである
「マノンも早く入りなよ」
完全に石仏と化したメイリンを尻目にカルラが話しかけてくる
私は石仏と化したメイリンを気にしながら服を脱ぎ始めていると……
「နင်...ဘာလဲ...」
「あっ……アンタそれ……なに……」
いつの間にか石仏と化していたはずのメイリンが震える声で私の方を指さしている
「えっ……なにっ!!」
「あああああっ!!!」
私はメイリンが指さしている自分の姿を見て驚きの声を上げる
「しまった! 忘れてたっ!!」
私は下着専門店の"女の城"で買った透け透けの黒のブラジャーとパンツをそのまま着けていたのである
「ちっ違うよっ!」
「これには訳があるんだよっ!!」
必死でメイリンに念話で話しかけるが……
もはや、固定観念が崩壊したメイリンには通じなかった
「ဒါ...ဒီလောကမှာရှိတဲ့ အမျိုးသားတွေအတွက် အတွင်းခံပါ။」
「それが……この世界の男物の下着なのね」
メイリンは何の疑いも無くマノンの着けているブラジャーとパンツがこの世界の男性の下着だと納得してしまう
そして、マジマジと食い入るようにマノンを凝視している
「ကြီးတယ်! စွမ်းရည်တန်ဖိုး 700,000 ရှိတယ်!」
「大きいっ! 能力値700000だけの事はあるわね……」
普段は滅多に目にする事などない代物である事もあり、メイリンの目は始めて見るマノンの股間のモノに釘付けになっているのであった
この場を切り抜けようと必死のマノンはそんなメイリンの視線に気付くはずもなく……
"ヤバいっ! このままだと大変な誤解を招いてしまう"
この世界の住人として"大賢者"として何とかメイリンの誤解を解こうと必死になっているのであった
「マノン~~性転換して見せればいいんじゃないの~」
温泉に肩まで浸かりリラックスしたカルラの声が聞こえてくる
「そうだった、その手があったっ!」
焦って混乱していた事もあり、カルラの提言に乗ってしまうマノンであった
「メイリンっ! これ見てっ!!」
マノンはメイリンに念話で話しかけると性転換を始める
マノンの体が見る見るうちに女体化していく……
「လိမ်!!!」
「嘘ッ!!!」
目の前で女体化していくマノンの体を見てメイリンが驚愕の声を上げる
「こういう事なんだ……」
「勘違いしないでね、この下着は女性用なんだよ」
「これで納得してもらえたかな……」
愕然としているメイリンにマノンがそう言うとメイリンはゆっくりとマノンの方に近付いて行くといきなり両手でマノンの両方の胸を掴む
「အစစ်အမှန်・」
「本物だわ……」
マノンの胸を両手でグニュグニュと揉みまわしながら呟く
「အံ့ဩစရာပဲ၊ မင်း ဒီလိုမျိုး လုပ်နိုင်တယ်...」
「凄いわ、アンタ……こんな事も出来るのね……」
メイリンは感心したかのように呟く
「あの……もう……いいかな……」
マノンはひたすら胸を揉みまわすメイリンに少し恥ずかしそうに言うとメイリンの視線がマノンの股間の方に移る
「えっ」
マノンが声を上げた瞬間にはメイリンの手はマノンの股間に届いていた
「あんっ!」
マノンは思わず甘美な声を上げてしまう
「ဟမ်...အဲဒါ ပျောက်သွားပြီ」
「んん……アレが無くなっているわね」
「ဒါဟာ အမျိုးသမီး 0×0 ဆိုတာ သေချာသလား။」
「確かに女の〇×〇になってるようね」
メイリンはそう呟くとマノンのパンツの中に手を突っ込む
「ああっ!! あはっ!!!」
「あふっ! あああっ!!!」
「あんっ! あっあっあっ!!!」
メイリンの指が容赦なくマノンの大事な所を捏ねくり回すたびにマノンは甘美な声を上げて身を捩らせる
「うん……間違いなく女の体になってるわ」
メイリンは確信したかのように言うとマノンのパンツに突っ込んでいた手を引き抜くとマノンはその場にへたり込んでしまった
"はぁはぁはぁはぁ……"
"危なく、昇天させられるところだった"
マノンは心の中で呟くとメイリンは中腰になり私の目の前に顔を近づけてくる
「お願いっ! 今の魔術を私に伝授してっ!!!」
「……って言うより胸を大きくする術だけでいいのっ!!!」
「お願いしますっ! 師匠っ!!!」
メイリンはそう言うと正座をして深々と頭を下げる
栄えある新生・アル・マノース共和国軍将校のプライドも胸を大きくしたいというメイリンの長年の願望には"風の前の塵に同じ"であった
かくしてメイリンはマノンを師匠と仰ぐようになるのである
"あの異界の娘……"
"あ奴と似た者同士じゃったようじゃな……"
そんな、マノンとメイリンの様子を見ていた爺は呆れたように呟くのであった
"何やってんの、あの2人……"
温泉に浸かりながらマノンとメイリンの様子を見ていたカルラも同じように呟くのであった
マノンとメイリンの会話は全て念話でやり取りされていたためにカルラには状況が全く分からないのであった
第187話 ~ 続・メイリンの異界見聞録 ① ~
終わり