第183話 ~ メイリンの異界見聞録の始まり ➁ ~
第183話 ~ メイリンの異界見聞録の始まり ➁ ~
序章
ここは、新生・アル・マノース共和国の首都である中央都市"パイロン"にある共和国評議会場
「စွမ်းရည်တန်ဖိုးက 700000 ပါ။ 」
「能力値700000だとっ!!!」
門外調査の責任者である"シュ・ユーシェン"大佐からの緊急報告を聞いた評議会議長"リャン・シュエン"の驚きの声がだだっ広い評議会場に響き渡る
評議会議長"リャン・シュエン"は身長170センチほど年齢は72歳の白髪交じりのやや薄毛の老練な政治家である
リャンの声に共和国評議会場は一瞬静まり返るが直ぐに各都市から集まった総勢350人の代表議員たちの動揺する声で騒然となる
彼らが動揺するのも無理のない事なのである
新生・アル・マノース共和国では最高位の"戦略級能力者"でも能力値が100000を超える事は無いからである
マノンの能力値700000は一撃で都市に張り巡らされた結界魔術を余裕で打ち破り都市諸共に消滅させるだけの力を持つ"超・戦略級能力者"を意味するのである
事実、爺は一つの都市と10000人の兵士を一撃で葬り去っている
「တိတ်တိတ်လေး တိတ်တိတ်လေး 静粛にっ 静粛にっ!!!」
評議会議長"リャン・シュエン"の大声が評議会場に響くと徐々に会場は落ち着きを取り戻す
「လူကြီးမင်းတို့ ကြားဖူးတယ်။」
「諸君、聞いての通りだ」
「မင်း သူတို့ကို မတိုက်သင့်ဘူး။」
「彼ら達とは敵対すべきではない」
「ဒီအခြေအနေအကြောင်း ဆွေးနွေးပြီး ပူးပေါင်းဆောင်ရွက်သင့်တယ်လို့ ထင်ပါတယ်၊ ဒါပေမယ့် ဘယ်လိုထင်လဲ။」
「こちらの事情を話し協力を得るべきだと思うがどうかね」
シュエンの提案に約半数の代表評議員たちが賛同するが残りの半数は反対意見を持つ代表評議員たちだった
「ငါဆန့်ကျင်တယ်။ 私は反対だ」
声を高らかに発言したのは地方都市"シャンヨウ"の代表議員の"シー・ハン"である
年齢は29歳で身長は160センチほど顔立ちの整った長い黒髪で利発なスレンダー美人のだが、やや気の強そうな若手女性議員である
アル・マノース中央国立大学院を首席で卒業後にアル・マノース中央国立研究所の職員となり、後に政治家に転身すると地方選挙に出馬し地方都市"シャンヨウ"の代表議員となった人物である
因みに、彼女の専門分野は生理医学である
「ဒီလိုလူတွေနဲ့ ပေါင်းသင်းရတာ အန္တရာယ်ရှိတယ်။」
「そんな連中と関わるのは危険だ」
「တံခါးကို ချက်ချင်းပိတ်ပြီး ဘယ်တော့မှ ထပ်မဖွင့်သင့်ပါဘူး။」
「直ぐに門を閉じ2度と開かなくすべきだ」
彼女の意見に賛同する代表議員たちが拍手を送る
その拍手を確認するとシーは話を続ける
「ဒီမြေကိုပြောင်းလာတာ နှစ်ပေါင်း 3000 ကျော်ခဲ့ပြီ။」
「我らがこの地に移住して既に3000年以上……」
「ကျွန်ုပ်တို့၏ ရှေ့တော်သားများသည် အသက် သို့မဟုတ် သေခြင်းဆိုင်ရာ အကျပ်အတည်းများကို အကြိမ်များစွာ ကျော်ဖြတ်ခဲ့ကြပါသည်။」
「先人たちは何回も存亡の危機を乗り越えてきた」
「ကျွန်ုပ်တို့သည် ဤအကျပ်အတည်းကို ကျွန်ုပ်တို့ကိုယ်တိုင် ကျော်ဖြတ်နိုင်မည်ဖြစ်သည်။ 」
「今回の危機も必ず自分たちの力だけで乗り切れる」
評議会場に割れんばかりの拍手が鳴り響く
その後、評議会は"開門派"と"閉門派"の真っ二つ分かれて議論は紛糾し評議会は中断、結局この議案は一時棚上げとなるのであった
因みに"異界の門"は最初に旧・アル・マノース共和国の人々が築いた始まりの都市である"パイロン"のど真ん中にある共和国評議会場の地下にあるのだが、その所在地は極秘であり知っている者はほんの極一部の者達だけである
第183話 ~ メイリンの異界見聞録の始まり ➁ ~
本国で評議会が紛糾する事になるなど知る由もないメイリンは魔法工房の中を歩いていた
"တကယ်က စစ်ရေးတပ်ဆင်မှုလို့ မထင်ဘူး။"
"本当に軍事施設じゃなさそうね"
メイリンは魔法工房の構造を観察して確信する
"ပြီးတော့... အဲဒီမှာ ဘယ်သူမှ ရှိပုံမရပါဘူး။"
"それに……本当に誰もいないみたいね"
辺りを見回しながら歩いていると通路の曲がり角でカルラに出会す
"えっ! "
"အီး! "
驚いた2人は同時に同じ意味、同じ発音の言葉を発する
"この女は誰なの"
"ဒီအမျိုးသမီးက ဘယ်သူလဲ။"
そして、同じことを考えるのだが意味合いは少し違っていた
"マノンったら私以外の女も連れ込んでたのねっ! "
"ထိုလူသည် လိမ်ညာနေ၏။"
"あの男、嘘を言っていたのかっ!"
しかし、マノンに対して裏切られたように感じているは2人とも同じなのであった
2人は身動き一つせず暫し沈黙の時間が流れるのだが……それとは対照的に2人の脳はフル活動していた
カルラはというと……
"マノンがここに連れてくるという事はマノンとはかなり親しい間柄なのは間違いないわね"
"という事は、仲良くした方が良いって事よね"
などと考えている
一方のメイリンは……
"ဒီကမ္ဘာကြီးမှာရှိတဲ့ အမျိုးသမီးတွေက ငါတို့နဲ့တူတယ်။"
"この世界の女性も我らと全く同じ姿をしているのだな"
"တော်ရုံတန်ရုံ အရည်အချင်းရှိတဲ့လူလို့ ဖြစ်နိုင်ခြေများပါတယ်..."
"この女も、それ相当の能力者である可能性が高い……"
"ဒီကောင်ထက်တောင် ပိုကောင်းလာနိုင်တယ်။"
"もしかしたら、あの男よりも上かもしれん"
"ဒီမှာ ဖော်ရွေတာ ပိုကောင်းပါတယ်။"
"ここは友好的に接するべきだな"
2人の思考過程は違っていたが弾き出した結論は全く同じであった……
お互いに愛想笑いをするのだが、これは相手に与える第一印象としては良い
互いに"敵対"する意思がない事を確認できるからである
"悪い人ではなさそう"
"ရန်သူမဟုတ်ပါ။ 敵意は無そうだな"
カルラとメイリンは互いに同じ印象を持つ
"တွေ့ရတာဝမ်းသာပါတယ်၊ ငါက နဂါး လှပသော ခေါင်းလောင်း ပါ။"
"初めまして、私はリュウ・メイリンです"
メイリンは念話での対話を試みるが全く返答がないので少し戸惑っているとカルラが話しかけてくる
"私はカルラ・コルネートよろしくね"
カルラはそう言うとメイリンに右手を差し出すのだがメイリンは戸惑ってしまう
"သူမ ညာဘက်လက်ကို ဆန့်ထုတ်လိုက်ပြီး ဘာဖြစ်လဲလို့ တွေးမိတယ်။"
"右手を差し出しているがどういう事なのだ"
アル・マノース共和国には握手と言う習慣が無いからである
戸惑っているメイリンの様子を見てカルラも戸惑ってしまう
"よくよく見ると……"
"どこの国の人なのかしら"
明らかに自分達とは異なる人種であることに今更ながら気付くカルラであった
カルラは差し出した手を戻すとにっこりと笑う
そんなカルラの様子を見てメイリンも同じようににっこりと笑う
お互いにどのように接してよいのか分からずに無言のままの時間が流れる
"マノン……早く来てっ!"
"အဲဒီလူ ဘယ်ရောက်သွားတာလဲ။"
"あの男はどこに行ったのだ"
2人とも同じようにマノンに助けを求めるのであった
その頃、マノンはカルラと出違いに温泉の部屋に入ってしまいカルラを見失っていた
"カルラ……どこに行ったんだろう"
"魔法工房は広いから知らない所へ行っていなきゃいいんだけどな"
マノンは心配そうに呟くが……
すぐ隣の通路でメイリンと鉢合わせしているなどとは思ってもいないのであった
第183話 ~ メイリンの異界見聞録の始まり ➁ ~
終わり