第182話 ~ メイリンの異界見聞録の始まり ① ~
第182話 ~ メイリンの異界見聞録の始まり ① ~
序章
"異界の門"の向こう側にある新生・アル・マノース共和国……
旧・アル・マノース共和国の人々が移住した惑星は地球より少し大きい惑星で緑に包まれた生命の溢れる惑星であった
惑星期的に言えば地球の中生代ジュラ紀にあたり恐竜の生きていた時代である
人類のような知的生命体は存在しないが恐竜に似た捕食性のある巨大生物が多数生息していた
この惑星に移住したアル・マノース共和国の人々にとっては捕食性のある巨大生物は大きな脅威であったが知的生命体がいないという事は侵略者として認識されることも無く争いを避けられるという事でもあった
それにアル・マノース共和国の人々がこのような危険な惑星に移住したのには理由がある
簡単に言えば、移住に適した環境を持つ移住先がここしか見つからなかったのである
時間をかければより良い移住先が見つかったかもしれないがそれだけの余裕がなかったのである
海面が低下し地続きになり大きな島となった今とは違い3500年前のピオ-ネ三国とその周辺は海であり岩だらけの小さな孤島であった
大きく狭いながらも平地のあるゲルマ帝国側のへベレス島などとは違い岩だらけで平地など殆どなく食料生産もままならないピオ-ネ島は人が生きて行くには過酷な環境であったからである
移住したアル・マノース共和国の人々は得意の魔術を駆使し大規模結界を張り巡らせることにより外敵の侵入を阻む城塞都市のような街を造り暮らし始める
そして、徐々に人口を増やし都市を増やしていったのである
「တပ်ကြပ်ကြီး တော်တယ်။ ဒါအမှန်ပဲလား။ イーチェン軍曹、それは事実なのか? 」
イーチェンの報告を聞いたユーシェンは信じられないという表情で呟く
「အမှန်တစ်ခုဖြစ်သည်။ 事実であります 」
「သံသယရှိလျှင် စိတ်ပိုင်းဆိုင်ရာ အကဲဖြတ်ပါ။ お疑いであれば心理検証をして下さい 」
イーチェンの言葉と真剣に眼差しにユーシェンは疑いの無い事実であることを確信するのであった
「ကောင်စီကို တင်ပြရမယ်။ 評議会に報告せねばならんな 」
「တပ်ကြပ်ကြီး၊ အလုပ်ကြိုးစားတယ်။ イーチェン軍曹、ご苦労であった 」
「အိ ပ်စက်အနားယူပါ။ 休養を取り給え 」
ユーシェンがそう言うとイーチェンは敬礼をして部屋を出て行く
一人になったユーシェンは頭を抱えると大きなため息を吐くと心の中で呟く
"ငါတို့မှာ အချိန်မရှိဘူး 我らには時間が無いのだ…… "
第182話 ~ メイリンの異界見聞録の始まり ① ~
メイリンは、自分達の世界の情報と引き換えにこの世界の情報を得るという取引を成立させた
この取引はメイリンにとっては良い取引であった
メイリンに与えられた任務には出来得る限り門の向こう側にの世界の情報を入手せよという事項もあったからである
"上手く行ったわ……"
メイリンは心の中で満足げに呟くとマノンの方に視線を向ける
"それにしても、この男はいったい何者なのかしら"
"桁違いの能力者のくせに軍人でもない"
"こんな物凄い能力者を放って置くなんてこの世界の軍って……"
国民皆兵で男女を問わず徴兵制度があり優秀な能力者は軍の管理下に置かれるのが当たり前のメイリンの世界では常識的に考えてありえない事だからである
そして、任務とは全く関係が無いのだがメイリンにはもう一つどうしても気になる事があった……
それは……マノンが女性の裸体に全く興味を示さない事であった
メイリンにとっては如何に貧相とはいえ完全に女性として認識されていない事に疑問を持っていた事である
と言うより女性としてのプライドが傷ついたと言ったほうが良い
"古文書の記述では男女ともに身体の作りは私たちの世界と変わらないはず"
"私ってそんなに魅力が無いの……"
メイリンは今までマノンと知り合ったこの世界の女性たちと同じ言葉を心の中で呟くのであった
そんな事を考えていると手足の感覚が戻り自由に動かせるようになる
"感覚が戻ってきている……"
メイリンは心の中で呟くと腕を動かしてみると腕が思い通りに動く
"動くわ……"
ゆっくりと体を動かして上半身を起こすと台の上に座る
"どうやら……術は解けているようだわ"
ゆっくりと手足を動かして感覚を確かめているメイリンの頭にマノンの声が聞こえてくる
"どうやら……パラライズの術が解けたようだね"
"適当に服や下着を持って来たからここに置いとくね"
"自分のサイズに合ったの着ると良いよ"
マノンはそう言うとメイリンのすぐ横に衣服を置くのであった
"ありがとう……"
メイリンは少し戸惑うようにマノンにお礼を言うとどうしても気になっている事を質問する
"ここにはあなた以外の人はいないの……"
ここに連れてこられてからマノン以外の人に会っていないからである
"貴方の上官は、ここの責任者はどこにいるの"
メイリンが問いかけるとマノンは変な顔をする
"上官……責任者……"
"そんなのいないよ……"
"今ここの魔法工房にいるのは君と私だけだよ……"
マノンはそう答えるのだが……
暫くしてから何かを思い出したような顔をすると見る見るうちに顔色が悪くなる
"ちっちょっと待っててね"
マノンはそう言うと慌てて部屋を飛び出して行くのであった
そう……カルラの事を思い出したのである
"どうしたのかしら……"
"急に慌てて……でも好都合だわ……"
"今のうちにここを調べさせてもらうわ"
メイリンは心の中で呟くとマノンの持ってきてくれた服の中から適当に下着らしきものを手にする
「ဒါဘာလဲ!!! なにこれっ!!!」
「မဖြစ်နိုင်ဘူး! ဒါပဲ! ありえないわっ! こんなのっ!」
余りの衝撃に思わず口から言葉が出てしまう
メイリンが手にしていたのはレナのブラジャーであった
その巨大さメイリンは凍り付き顔が青ざめ引き攣っている
「အဟားဟား・ アハハハ……」
「ဒီကမ္ဘာပေါ်က အမျိုးသမီးတိုင်း ရင်သားကြီးသလား။ この世界の女は皆こんなに巨乳なの……」
レナの巨大なブラジャーを手にしたままの力なく笑うメイリンであった
メイリンにとってはマノンの700000の能力値よりもレナのブラジャーのサイズの方が遥かに衝撃的であり、その戦力差に圧倒されるのであった
メイリンは正気に戻るとレナのブラジャーを横に置き別のブラジャーを手にする
「သေးသေးလေးပါ သေးသေးလေး!! 小さいっ! 小さいわっ!!」
マリレ-ヌのブラジャーを両手で広げ頭上にかざして我を忘れ周囲も気にせずに歓喜の声を上げる
「ဒီမြေမှာလည်း သူငယ်ချင်းရှိတယ်။ この地にも仲間は居るのね」
そう呟いたメイリンの目には涙が溢れそうになっているのであった
メイリンはそそくさとマリレ-ヌのブラジャーを着けるのだが……
少しカップ・サイズが大きいのであった……因みにパンツは少し小さかった
"これって……胸が小さくて尻がデカいって事よね……"
メイリンは心の中でそう呟くと台の上に力なく座り込むと暫くボンヤリとしているのであった
欧米系の体型のこの世界の女性に対して門の向こう側の女性はアジア系の体型である
民族的な違いから胸のサイズの平均値はこちら側の女性の方が戦力的に圧倒しているのである
日本のCカップのブラが海の向こうの国では物によってはBカップに満たないのと同じである
海の向こうの国で同じカップサイズだと思い買うと後でえらい目に遭うのである
"တစ်နည်းနည်းနဲ့... ငါ လုံးဝဆုံးရှုံးသွားသလို ခံစားရတယ်။" 何だか……完全に負けたって気がするわ"
メイリンはそう呟くと下着姿のままで暫く台の上に座ったまま呆けているのであった
"အိုး မဟုတ်ဘူး!! あっ! いけないっ!!"
"အခု ဒီနေရာကို စုံစမ်းရမယ်... 今のうちにこの辺を調査しないと……"
メイリンは急いでサイズの合いそうな服を探す
"ဒါကိုဝတ်လို့ရတယ်။ これなら着れそうだわ"
メイリンが選んだのは同じくマリレ-ヌの薄いベージュ色の服だった
マリレ-ヌが予備の部屋着として持ってきておいた物で、頭からすっぽりと被る貫頭服である
"ဒါ...ပြီးပြည့်စုံတယ်..." これは……ピッタリね……"
メイリンはそう呟くと、何故か心の底から安心するのであった
メイリンは転移ゲート室の中を注意深く観察しながらゆっくりと歩き回る
大きな地図が刻まれた石板の前で立ち止まる
"ဒါ... သေချာတာကတော့ ဒီကမ္ဘာကြီးရဲ့ မြေပုံပါပဲ။ これは……この世界の地図に間違いないわ"
"မြေမျက်နှာသွင်ပြင်သည် ရှေးခေတ်စာရွက်စာတမ်းများ၏မြေပုံနှင့် အတော်လေးကွာခြားသည်။ 古文書の地図とは随分と地形が変わってる"
メイリンは石板の地図を食い入るように見つめている
"ပင်လယ်ရေမျက်နှာပြင် ကျဆင်းသွားပြီး ကျွန်းကြီးတစ်ကျွန်း ဖြစ်သွားပုံရသည်။ 海面が低下して一つの大きな島になったようね"
石板にあるいくつもの光点にメイリンの目が留まる
"ဒါက ဂိတ်ရဲ့တည်နေရာပါ။ この点がゲートの所在地ね"
"ဒီလိုဆိုရင်... မင်း ဒီနေရာကနေ အပျက်အစီးတွေဆီ ပြောင်းရွှေ့သွားနိုင်လိမ့်မယ်။! だとすれば……ここから遺跡に転移できるかも!"
"အခုဘယ်သူမှမရှိဘူး 今なら誰もいない……"
メイリンはそう呟くと何とかして転移ゲートを作動させようとするが操作法が全く分からない
"အဲဒါက ဘာကြီးလဲ၊ သူ့မှာ control panel မရှိဘူး!" 何なのよコレっ! 操作盤がないじゃないのよっ!"
どこを探しても操作盤らしきものが見つからないのである
マノンや爺たちが初めて南側の魔力転換炉や転移ゲートを操作しようとした時と同じようにメイリンにも北側の魔力制御が全く分からないのである
アル・マノースのように魔力転換炉の遺跡の場所らしい光点に指を当てて何度もスワイプしても反応がない
あれこれと考えられる事を試したが何の反応も無いのであった
"စဉ်းစားကြည့်လေ အဲဒီလူရော ငှက်ရော そう言えば……あの男も鳥も……"
"သင်သည် အရာတစ်ခု (မှော်ကိရိယာ) မပါဘဲ မှော်ပညာကို အသက်သွင်းနေသည် アイテム(魔道具)無しで魔術を発動していたな"
"ငါ ဒီစက်ကို မလည်ပတ်နိုင်ဘူး 私ではこの装置を操作できないのか……"
そう呟くとメイリンはため息を吐くと台の上に座る
そして、メイリンは大きく息を吸い込み深呼吸をする
"နည်းလမ်းတစ်ခုခုရှိရမည်။ 何か手はあるはずだ"
自分に言い聞かせるように呟くと台から立ち上がり転移ゲート室を出て行くのであった
その頃、マノンは必死でカルラを探しているのであった……
第182話 ~ メイリンの異界見聞録の始まり ① ~
終わり