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いつの間にやら憑依され……  作者: イナカのネズミ
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第168話 ~ マノンの一人旅 ➁ ~

第168話 ~ マノンの一人旅 ➁ ~



序章



マノンがサボンの村でカルラの治療をしている頃、マリレ-ヌの部屋でレナとエルナそして、マリレ-ヌの3人が書き上がった写本の原稿を整理していた

 「もうあと少しね」

部屋の中にページ分けされた原稿の山を見てマリレ-ヌが嬉しそうに言うのだが……

 「レナさん……」

 「学問の方は、大丈夫なの……」

少しやつれ気味のレナを見てマリレ-ヌが心配そうに言う

 

 「……まぁ何とか……」

レナは少し目を逸らせて言うのだったが……その泳いだ目からマリレ-ヌには嘘である事が容易に想像できるのであった

マリレ-ヌは、そんなレナを少し心配そうに見ながらもエルナの事も気遣う


 「エルナさんは、どうなの……」

マリレ-ヌが心配そうに言うとエルナは少し困ったような表情になるのだが


 「私は、留学生なので一般生徒ほどもシビアじゃないんです」

 「どちらかと言うと……この暑さの方がしんどいですよ」

エルナは少し笑ってそう言うと心配そうにレナの方を見る

エルナはレナのレポート提出が遅れている事をエレ-ヌから聞いて知っていたのである


流石のレナもマリレ-ヌとエルナの2人が自分の置かれている状況を理解している事に気が付く

 「この写本が終わったら……」

 「休日以外は、学問に専念するわ……」

心配そうな2人を安心させるように言うのだった

その言葉に2人の表情が和らぐのを見たレナは空かさずに話題を逸らす

 「マリレ-ヌさん、本当に費用を全額負担してもらってもいいの」

レナが申し訳なさそうに言うとエルナも同じような表情になる


 「いいのよ、こう見えても社会人なんですよ」

 「しっかりと稼いでいますし、これが生きがいみたいになっちゃてるし」

 「それに……凄く楽しいんです……」

 「こんなに気の合う友達と出会えて……」

マリレ-ヌはそう言うとニッコリと笑う


今までのマリレ-ヌは一人でいる事が当たり前のような生活を送ってきた

こんなふうに友達と同じ趣味について語り合う事などなかったからだ

そんな偽りのないマリレ-ヌの言葉にレナもエルナも同じように感じるのであった


マリレ-ヌの部屋に暫く無言の時が流れるが……その静けさをマリレ-ヌが破る

 「そうそう、これが製本と装丁の見積もりね」

そう言うとマリレ-ヌが1枚の紙をポケットから取り出して見せる

レナとエルナがその紙に書かれている数字の列に目を通す


 「えっ……一冊当たり100ガリア・フラン(8000円)ですってっ!」

 「7部が3組で21冊か……すると……」

 「全部で2100ガリア・フラン(168000円)か……」

 「やっぱり、結構するわね……」

金額を見て驚いているレナとエルナにマリレ-ヌが話始める



 「今日は本の装丁の事で相談があるのよ……」

 「本の表紙デザインの事よ……」

マリレ-ヌの言葉にレナとエルナの目が輝く……

かくして、その日は本の表紙のデザインの話題で夜まで盛り上がるのであった


この世界、この時代では本は高価な物であり製本・装丁も専門職人が手作業で仕上げる工芸品のような物である

上質の革表紙に本のタイトルや発注者の家紋や名前の型押しの入る一品物なのである

寧ろ、今の我々の感覚からすれば格安と言ってよい値段である

現在の日本で同等のクオリティの装丁を施せば20000円は下らないと言える




第168話 ~ マノンの一人旅 ➁ ~






なんとかカルラの治療を終えたマノンはベッドの隣に椅子を持ってくてゆっくりと腰を下ろす

眠っているカルラの表情や呼吸から随分と楽になった事が窺える

 「これなら大丈夫だな……」

 「あと半日、遅れていれば危なかったな……」

 「思い付きでも、ここにきて本当に良かった」

マノンはそう呟くと静かに寝息を立てているカルラの額に手を当てる


本当は、ルモニエの屋敷で感じた悪寒はマノンの予知能力の発現の一端であった事にまだ本人は気付いてはいない


 「まだ少し熱があるな……」

 「心臓の方はどうかな……」

マノンはカルラの左の乳房に手を当てて精神を集中する

 「……大丈夫だな……」

マノンはそう言うとホッと一息つく

 「それにしても……いい感触だな……」

思わずカルラの左の乳房をぐにゅぐにゅと揉んでしまうマノンであった

すると、カルラが小さな声を上げる


 "あっ……いけないいけない……"

 "こんなことしてる場合じゃないんだ……"

慌ててカルラの胸から手を放すマノンであった


カルラの寝間着を直すと掛毛布を掛ける

すると、そこにおばさんが入ってくる

 「カルラちゃんの様子はどうだい……」

そう言うと心配そうにベッドの方に目をやる


 「薬が良く効いて落ち着きました」

 「もう心配ないですよ……」

私がニッコリと笑って言うとおばさんはホッとしたような表情になる


 「そうですか……」

 「よかった……本当に良かった……本当に」

そう言うおばさんの目には薄っすらと涙が出ているのが分かる

本当にカルラのお母さんのように思えるマノンであった

 「これ……新しい着替え、寝間着とタオル……」

 「それに、お湯っ!」

おばさんはそう言うと重そうに木桶を部屋の中に運んでくる

 「後は……」

おばさんはベッドに寝ているカルラを見ながら少し間を置く

 「マノンさん……お願いね……」

おばさんはニッコリと笑うと部屋の外へと出て行くのであった

 

 "また、何か勘違いされているな……"

変に気の利くおばさんに少し呆れるマノンであった


何にせよ、カルラの容体から体も拭いていなければ着替えもしていないのは明白であった

 "それじゃ……ヤるとしようか……"

マノンには以前にドルトンへ薬草の買い付けに行った際に同じように熱を出して寝込んだマリレ-ヌの世話をした経験があるのでその手際は良かった


掛毛布をお腹の辺りまで捲ると上着を脱がせて絞ったタオルで上半身を優しく拭く

今度は掛毛布を上半身に掛けるとカルラの膝を立ててするりと下着(パンツ)を脱がせて下半身も同じように拭く


下着(パンツ)を穿かせると再び下半身に毛布を掛けてブラジャーは付けていないのでそのまま上着を着せる

 "はい、一丁上がりっと……"

かくして、カルラは寝ている間にマノンに体の隅々まで奇麗にされてしまうのであった

後で本人が知ったら赤面のモノである


静かに寝息を立てて寝ているカルラの顔を見ていると自分も眠くなってくる

 "寝ちゃダメだ……"

カルラの容体は今は落ち着いているが、急変するかもしれないからだ

 "何か、していないと寝てしまう……"

マノンは後ろ頭をポリポリと掻くとベッドに寝ているカルラをジッと見る

すると、ついさっきにカルラの体を拭いた記憶が蘇ってくる


 "同じ女性でも……違うんだな……"

マノンは変な意味ではなく医学的に女性の体に興味を持っていた……

 "特に、オッパイはじつに奥が深い……"


しかし、残念な事にその観点は少しズレているのであった……

今までに多くの女性のオッパイを見て触ってきたマノンの経験と記憶が蘇ってくる


大きさ、形、柔らかさ、乳首の色……

そして、触感……人によって全てが違っている


レナのオッパイはブヨっとしてタプタプした感じだし(本人には絶対に言えない)……

マリレ-ヌのオッパイは凄く弾力があったし……

シルビィのは焼き立てのパンのようにフワフワだったな……

セシルはプリっとした茹で卵の白身のような……

そういや、アレットさんのは焼いたお肉の脂身って感じだったよな(本人に聞かれたら殴られる)

段々とオッパイの表現が食べ物になっていくマノンであった


それにしても、カルラのオッパイはありとあらゆる面で素晴らしい……

あっ……そういえばルメラのもなかなかのモノだったよな……


"大賢者マノン・ルロワ"が後の世の人々に"金色の大賢者"や"救世主・マノン"などと呼ばれ崇められる一方で"乳揉み大賢者"とか"オッパイ大賢者"などと言われるようになる事の始まりであった


歴代の大賢者の中でもマノンにはこう言った仇名が飛び抜けて多いのが特徴である

それは同時にこの世界の人々から親しみがあり好かれている事の証でもある


因みに、マノンに変な気は全くない……

医療魔術を使う際にどうしても胸に手を当てなければならないからであり、それを見た世の人々の目にはまるで胸を揉んでいるようにしか見えなかったからである

因みに、相手が男性であっても同じである……


……まぁ……実際に揉んでいる事に違いはないのであるが……


眠気覚ましにどうでもいい事を考えていると、いつの間にか日が傾き暮れかけている

 "これからだと転移ゲ-トのある温泉に着く前に真っ暗になってしまう"

 "カルラの事も気懸りだし……今日は、ここで一泊するしかないな"

そんな事を考えていると玄関のドアの開く音がする


 「マノンさん、いるのかい」

玄関から宿屋のおじさんの声が聞こえてくる

私は返事をすると玄関へと向かう、おじさんが手に籐で編んだ籠を持って立っていた

 「これ、ばあさんからマノン君にだって」

 「籠の中には食べ物と飲み物、それにタオルと宿の着替えが入っているって」

 「今日はもう日が暮れるから、これ食ってここに泊まって行きなよ」

 「多分、カルラちゃんも喜ぶと思うよ」

 「マノン君がいてくれると私達も安心だし」

おじさんは、そう言うと籠を手渡してくれる


 「ありがとうございます」

 「では、お言葉に甘えて、ありがたくいただきます」

 「カルラの具合は落ち着いていますが急変する可能性もあるので」

 「今日は一晩ここでお世話になろうと思っています」

私がそう言うとおじさんは安心したような表情でニッコリと笑う


 「カルラの事、よろしくお願いします」

おじさんは頭を下げると帰っていく、カルラの本当の父親のように思えてくるマノンであった


 "カルラは本当に幸せだね……"

蝋燭の辺りを頼りに真っ暗な夜道を歩いて帰っていく宿屋のおじさんの後姿を見送りながら心で呟くマノンであった


かくして、マノンはサボンの村で数日を過ごすこととなるのである




第168話 ~ マノンの一人旅 ➁ ~


終わり


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