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いつの間にやら憑依され……  作者: イナカのネズミ
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 第125話 ~  平穏な日々の始まり?  ④  ~

第125話 ~  平穏な日々の始まり? ④  ~ 



序章



 王都の裏通りにあるアルシェ商会……

 マノンに製造法を教えてもらった腹痛薬や傷薬などが好評で隣の空店舗を買い取り店の規模は2倍になっているのであった


 マリレ-ヌがいつものように店番をしていると1人の若い女性が店に入ってくる


 「あの……ここに肌荒れの塗り薬はありますか」

若い女性はマリレ-ヌに問いかけるように言う


 「肌荒れの塗り薬……ですか」

 「残念ですが、うちの店では扱っていません」

マリレ-ヌは申し訳なさそうに言うと女性に肌荒れの塗り薬の事を聞く

 「どんな感じ薬なんでしょか」

マリレ-ヌの問いかけに女性が答える


 「これぐらいの小さな小瓶に入った白い色をした塗り薬なんです」

そう言って女性は両手で小瓶の大きさをマリレ-ヌに示すように差し出す

 「王立アカデミ-の人から聞いたのですが……」

 「汗疹なんかに凄く良く効くらしいんです」

 「王都中の薬屋を回っているのですが見当たらなくて……」

女性は少し悲しそうに言うと残念そうに帰って行くのであった



 「王立アカデミ-……」

 「出所不明の凄く良く効く薬……」

 「間違いないわね……」

小さな声で呟くマリレ-ヌの表情には笑みがこぼれているのであった


 つい先日、マリレ-ヌは王立アカデミ-を無事に卒業し王都での正式な営業許可証の交付も受けて公認薬師となっているのであった

 「これは……彼に会って問い詰めないといけないわね」

 そう呟くとマリレ-ヌは陳列棚に並べられたマノンと一緒に作った腹痛薬の方を見ると嬉しそうな顔をした

 「上手くすれば……いい商売になるわ」

……やはり、計算高い商家の娘であった

 "今度は薬だけじゃなくて別のモノも作らないとね……"

マリレ-ヌは少し恥ずかしそうに心の中で呟くのであった


マリレ-ヌは以前のように待っているだけではマノンとは何の進展も無いという事を悟っているのである


 覚悟を決めた女子の一途な思いを止める事は誰にもできないのである……それは、超常の力を持つ大賢者とて例外ではないのはこれまでの経緯から明白である





   第125話 ~  平穏な日々の始まり? ④  ~ 



 パックが部屋に帰って来るとマノンが上半身裸でベッドに座り込み何かを考えている

 "乳丸出しで、何考えてるんじゃろ……"

爺はそう呟くとマノンの傍へと飛んで行く

 「どうしたんじゃ……そんな恰好で……」

爺が話しかけてもマノンは全く反応がない

 "やれやれ困ったの……"

 "こうなってしまっては念話では無理か……"

 "仕方がないのう、かくなるうえは……"

爺がそう呟くとパックが丸出しで無防備なマノンの右側の乳首を啄んだ


 「あうっ!」

マノンは苦しそうな小さな悲鳴を上げると右胸を押さえて前のめりになるとプルプルと震えている

 「な……何すんだよ……」

あまりの痛さにマノンの声は震えている


 "……すまん……"

予想以上のマノンの苦しみように流石の爺も驚いてしまう

(オウムの嘴はヒマワリの種などを砕いてしまうほどの力があり、パックが力加減などしない事を爺は認識していなかったのである)


 「ああ……痛かった……」

マノンはパックに啄まれた乳首にフーフーと息を掛けている

(今だからできる事である……昔のマノンには絶対に無理である)

 「他の所にしてよ……」

私は爺に少し怒ったように言う


 「わかった……依然と同じ股間にするわい」

爺がそう言うとパックがいきなりマノンの股間に嘴の一撃を加える


 「ふげっ!!!」

マノンは股間を押さえるとベッドに倒れ込み、もがきながら呻き声を上げている

 「何なんだよっ!」

 「何がしたいんだよっ!!」

マノンは意味不明なパックの急所攻撃に困惑するかのように言う


 "今のは儂の意志ではないぞ……"

魔力が弱まると爺の意志とは関係なくパックが本能的に動くことも時々あるのである

認識疎外の魔術を発動しっぱなしだったので一時的に爺の魔力が低下してたのであった


 「乳丸出しで何考え込んでるんじゃ」

爺が問いかけてくるので私は無言で自分の胸を見せる

 「これは……汗疹か……」

 「見るからに、痒そうじゃな……」

爺は私の胸に出来ている汗疹を見て呟く


私は爺に"エマの書"にあった亜麻の繊維で下着を作る事を考えている事を話す

 「……たしか……」

爺は何か考えているように黙り込む

 「あっ! そう言えばエマの奴も同じようなこと言っとったような気がするわい」

 「あ奴も乳が大きかったからのう……」

爺は昔を思い出し懐かしそうに言う


 「エマさんて胸が大きかったの」

エマさんの事をよく知らない私は興味深そうに尋ねる


 「乳は大きかった」

 「まぁ……流石に、お前さんのように……」

 「しょっちゅう、乳を丸出しにしてはおらなんだがな……」

私の胸を見て爺が呆れたかのように言う


 「悪かったわねっ!」

 「しょっちゅう乳丸出しでっ!」

私は胸を隠して不機嫌そうに言うとシャツを着る

 「それで、ノルトラント地方のドリウと言う街に転移ゲ-トはあるの」

私が爺に尋ねる


 「ん~、ドリウという街は知らんのう」

 「ノルトラント地方のバイユーと言う街にはある」

爺もドリウと言う街には聞き覚えが無いようである……王立図書館の地図で調べるしかなさそうである



 私はシャツを脱ぐと布をぐるぐると胸に巻き付ける、その上からシャツを着て自分の姿を確認しする……そして、王立図書館へと向かうのであった


 王立図書館の地図で調べてみると鉱山都市バイユーから10ゲールほど南側の平原にある町のようで牧羊と亜麻の栽培が盛んであるということが分かる

 歩いても2時間ほどである……

 "これなら日帰りできる"

 "それに、早くいかないと亜麻の茎は捨ててしまうようだし"

そう考えた私は"善は急げ"の諺通りに今週末にドリウに行くことを決めるのであった





  第125話 ~  平穏な日々の始まり?  ④  ~


   終わり


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