第9話…フィジカルトレーニング
「おはようルビィ、よく寝られましたか?」
…マリアさま上機嫌だぁ
「おはようございます。あの、わたし…」
「合格ですよ。今のルビィは近接戦闘に限ればSランク冒険者クラスです」
「まったく、どんな手品をつかったのやら…」
「ですが、持久戦に持ち込まれると、確実に負けます」
「それに、技では私を上回ったけど、力が圧倒的に足りませんね。
今日から基礎トレしますよ。みっちりしごきますからね」
「今まで、よく頑張りました。いい子いい子です」
マリアさまが頭を撫でてくれる。至福の時…
なんだろう、いつもより、距離が近いな…
嬉しいからいいけど…
…
「ハァハァ…マリア、長時間のランニングってケガの危険性が上がるし、脂肪もそれほど減らないんですよぉ」
「フフ…ルビィは特別だから大丈夫ですよ…」
「ゼェゼェ…マリア、筋トレの理想は、1週間で18レップって知ってますかぁ…
休み取らないと、成長してくれないんですよぉ」
「フフフ…ルビィは特別だから大丈夫ですよ…」
「マリア、さっきおしっこが黒色だったんだけど、絶対おかしいよね…」
「フフフフ…ルビィは特別だから大丈夫ですよ…」
「イダダダダッ…マリアァ、ストレッチって、そんなに乱暴にしていいの?」
「フフフフフ…ルビィは特別だから大丈夫ですよ…」
「バッターン…マ・リ・ア…魔力枯渇で気絶するのって、体が危険信号出してるよね」
「フフフフフフ…ルビィは特別だから大丈夫ですよ…」
「マリア”ア”、わたし冒険者やめる…」
「フフフフフフフ…ルビィは冗談もうまくなったのね…」
まさか、ここに来てフラグ回収なんて…
…
…
その日の夜…
地獄の特訓も5日過ぎた。最初は辛かったけど、今はもう慣れ…
…ないな…
日々、寿命が削れる気がするのは気のせいか…
まぁ、それはさておき…
「あの、マリア、私早く冒険者登録したい。食費も、宿泊費も払いたいの」
「もう、そんな事気にしていたんですね…ルビィは子供の面倒はよく見てくれるし、炊事、洗濯、掃除も、してくれる」
「子供にも慕われてるし、なんなら、ずっとここに居てもいいんですよ」
「いえ、いて欲しいのですが…」
少し顔を赤らめて、お願いしてくるマリアさま…
このお願いを断れる人はこの世界にいるのだろうか?
「いえ、マリア、早く独り立ちしたいんです」
…うん、建前をしゃぁしゃぁと語りましたが…
訓練を逃げたいのが1番の理由です…
「そうですかぁ、しかたありませんね…」
「冒険者登録って私でもできますか?」
「問題はないけど、登録料が金貨1枚必要ですね」
「それに、装備もととのえなくちゃね、クエストによって変わってくるけど、Sランククエストだと、装備もそれなりの物を用意しないと辛いわ」
「ですよねぇ…私の持ち物は化粧ポーチだけだし」
化粧ポーチの中身を確認したけど、売れるような物は何もなかった。
化粧ポーチからカサカサと変な音がする。
「あれ、何かな?」
裏側のファスナーを開けてみる。
金貨が紙に包まれて8枚入っていた。
ロペちゃん…
…
ありがと…
…
「あ、ルビィ、独り立ちしても、訓練は続けますからね」…ニコッ
「はぃぃぃ、やっぱそうですよね…」
ルビィの成長が気になる方は…
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