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第8話…戦闘訓練


右手が完治した、もう身体強化で物を殴るのはやめておこう…


いよいよ、戦闘訓練だ、嫌な予感しかしない…

そう、フラグが立ちまくっているから、でもやるしかない。


1日目…

――ルビィ視点――


意外…

さすが清楚…教え方も優しい。私の不安も気のせいだったの?

マリアさまから受けた注意点は


・筋力が少ない=威力がない

・動作が遅い=すぐ避けられる

・反応が遅い=攻撃が100%当たる

・体力がない=スタミナ不足ですぐバテる

・ダメージ耐性が低い=クリティカル1発で戦闘不能になる


う~ん、これって後10日で何とかなるの?


――マリア視点――


ルビィの熱意にほだされて、訓練を請け負ったが…

あんな華奢きゃしゃな女の子が冒険者に向いている訳がありません。


訓練は優しく、手を抜いて、最終日、圧倒的な差を見せつけ、あきらめてもらう予定です。

うふふっ、訓練を装い、カワイイ女の子の肌をなでなでする、この役得感…

たまりません…


案の定、ルビィの戦闘力は10歳の子供並…

でも、加護をあなどってはいけませんね。優しく教えましょう。



2日目…


――ルビィ視点――


朝の準備運動に太極拳を取り入れた。


私の格闘履歴かくとうりれきは小学6年で柔道を1年間。就職してから健康のために太極拳を2年間だ。太極拳が格闘技になるのかは疑問だけど…


マリアさまに太極拳を美しいとほめられた。嬉しい!

でも、私の太極拳はマリアさまには全く通用しなかった。悲しい…


――マリア視点――


ルビィが朝から演舞えんぶを踊ってる。美しい、思わず見ほれてしまいそう…


あれは、以前、模擬戦もぎせんしたチューシェ国のウーロンという闘士の動きに似ている…

まさか、本気を出してくる?


ウーロンの強さは本物だ、重い攻撃もさることながら、受けと、攻撃が、ほぼ同時に繰り出される。非常に厄介な相手だった。


ふぅ…

ウーロンとはフィジカルと技の練度が別次元ね…

ちょっと安心した…


――――――――


その日の夜…


まずい、このままでは冒険者になれない。マリアさま、まるで子供向けの格闘教室のような感じで教えてくる。多分冒険者にさせたくないからだと思う。


考えろ…


技に威力いりょくがないのは筋力の問題?それとも技術?


エネルギーを相手にロスなくぶつけるには、関節が邪魔じゃまだ。関節がクッションの役割をしているから。

もし、インパクトの時に関節をロックすることができたら?


うん、身体強化魔法で試して見よう。



3日目…

――ルビィ視点――


マリアさまが、驚いてる。

関節ロックの身体強化、有効だわ


――マリア視点――


あれ?攻撃の威力が増してる…

パンチの威力は1.2倍くらいだけど、太極拳の威力が2~5倍増しだわ、払う動作で体が吹っ飛ぶ威力なんて…


少し、甘く見ていたわ。


でもこちらの攻撃には全く反応できてないわね。

まだまだね


――――――――――

その日の夜…


威力は上がったけど、技はくらう。サンドバッグ状態だ。


魔法は外に出力するにはショボいけど、内に出力する身体強化に関しては、色んな事ができる事が分かった。燃費もいいし反応速度も速い。


相手の攻撃時の予備動作をうまくとらえられないかな?

目で見える映像に細工できるかな?

シルエットを線で光らせて、1フレーム毎に光を弱める…


できた。残像エフェクトの完成。

これで体のどの部分がどれ位の速さで動いているのかが分かる。


4日目…


――ルビィ視点――


マリアさまが攻撃してくるタイミングが分かるようになってきた。

半分くらいは避けられるようになった。

フェイント混ぜられると、ちょっとツラい…


――マリア視点――


あれぇ?攻撃を読まれてる?

なるほど、予備動作を意識できるようになったのね。

でも、ノーモーションからの攻撃やフェイントを織り交ぜると当たっちゃいますわね…

それに、反応速度が遅いわ。

まだまだね…


――――――――――

その日の夜…


できた、とりあえずオリジナル詠唱の完成だ。


まず、最初に作るのは…

予備動作からの未来予測プログラム。


予備動作を元にキネマティクス(運動学)を使って未来を予測する。


予備動作が終盤に近づくに連れ、未来予測も正確になってゆく。

ふふ、マリアさま、もうフェイントは通用しないですよ…


未来予測は赤のラインで表示と…

あー、でもちょっと目がチカチカするな、慣れないと…


5日目…


――ルビィ視点――


よっしゃぁ!ほとんどの攻撃を避けられる。

でも私の今の反応速度だと、ノーモーション攻撃が避けられない…

それに、マリアさまが投げや、寝技を多用するようになった…

私の太極拳では対応するのが難しい…

どうしよう…


――マリア視点――


なに、なに…

攻撃が当たらない。ノーモーションだと威力が落ちますし…

こうなったら、密着プレイで対処よ。

ウフ…好きで密着してるわけじゃないですからね…


――――――――――

その日の夜…


投げも寝技もできるなんて、マリアさま対応力がすごい。

私の柔道の技術も大したことないし、どうすれば…


それに、反応速度を上げるにはどうすれば…


反応速度は脳の処理速度の差。動作を確認してから思考して反応、これだと遅すぎる。反射に近いスピードにするには、何千、何万と練習を積み重ね、脳に高速道路を作る必要がある。


格闘家の反応速度の速さは、日々の研鑽けんさんのたまものなのだ。

一朝一夕いっちょういっせきで出来るものではない。


でも魔法なら、脳の高速道路できるかな?…


柔道の肝は崩しと予測。相手が押すと分かっていれば、引く。予測が正確なら相手の動作の刹那せつな技を決めればいい。

簡単そうに聞こえるが、これもまた練習に次ぐ練習が必要なのだ…


でも筋肉の動きと魔力の流れを、魔法で予測できるなら…


6日目…


――ルビィ視点――


立ち技で、打撃を食らうことは、まずない。

投げにも対処できている。むしろ圧倒している。寝技になると少し弱い…

こんなことなら高専柔道も習っとけばよかったな…


――マリア視点――


あぁ~、なんなの…

マウントしてからの打撃しか当たりません。


太極拳ほんと厄介です、つかみどこが無い。空気を相手にしてるみたい。相手の防御でこちらがダメージ受けるし、中に入られたら密着した状態でずっとダメージ食らっている。

でも、まだ動きがぎこちない所がある。

なんだろう、振り回されてる感じかな、そこをついて一点突破ね…


――――――――――


その日の夜…


ルビィ流、詠唱プログラムVer2完成。

オブジェクト指向を取り入れましたっ。


各オブジェクトの精度を上げて、他のオブジェクトとのシームレスな連携と…


今の私は格ゲーでたとえると…

DOAデッド・オア・アライブのレイファンCPU最強設定です

普通、初見で勝てるはずないわ…


フフ~ン、明日が楽しみだわ…


7日目…


「マリアお願いがあるの。今日から本気をだして相手して」

「そして、マリアに有効なダメージを入れたら、冒険者になることを認めて欲しいの」

「わかりました。後悔しないでくださいね」


ついにマリアさまの本気が見れる…

鳥肌が収まらない…でも、負けない…


「ロード、バトルモード」


>ジョイント・ロックを読み込みました

>アフターイメージ・エフェクトを読み込みました

>キネティクス・クラスを継承します。

>フューチャー・ドライブを読み込みました

>マジック・サーチを読み込みました

>マッスル・ムーブメントを読み込みました

>ニューロン・コンストラクションを最適化しました


>>バトルモード正常に稼働中かどうちゅうです


脳内音声ガイダンスを追加しておきました…

今は必要はないんだけど…

なんせ、やまい持ちなので…


と、思っていたら…

いつの間にかマリアさまが目の前に…

くっ…

気配が感じられなかった。


いつもよりスピードが数段速い…

初撃を喰らう。何とかガードしたが、今までとは威力も桁違いだ…


「ルビィ、戦場では始まりの合図はないですよ」


と言いながら、喋りの途中ですでに攻撃のモーションに移っている。老獪ろうかい

見切っているはず、なんだけど、喰らってしまう…


「ぐはっ」


2度目のダウン…


「あら、泣いてるの?」

「はい、マリアが本気だから、嬉しくって…」


「ごめんなさいルビィ、私まちがっていました。あやまります」


大丈夫ですよマリアさま、マリアさまの気持ち分かっていますから。

私も全力を尽くす!


「ロード、ディープラーニング」


>再帰型ニューラルネットワークを構築します

>オートエンコーダを適用します

>ディープラーニング・クラスでバトルモードを書き換えます


>>ディープラーニングは入力を待っています


10分後…


ハァハァ…

もう、どれくらい戦ってるんだろう…

1時間くらいかな…

5回くらいダウンしたような…

腕も上がらないし、足もガクガクだ…

ギブアップしちゃおうかな…


「ルビィ、よく戦ったわ、続きは明日にしましょう」

…まいったわ、この娘、この短時間でここまで対応してくるなんて、すでに技では押されている。今はフィジカルで圧倒してるだけ…


「ま、まだです。まだやれます…」


>魔力残量が30%を切りました

>エコモードに移行しますか


NOよ、このまま通常モードで…

手加減が通用する相手ではない。


気力を振り絞る。できることをひたすら続ける…

コンビネーションを叩き込む…

届きそうで届かない…

その間、有効打撃が私の体を襲う


「ぐぅぅぅっ」


>魔力残量が5%を切りました

>詠唱を全て強制終了します


「やぁぁぁぁ」


ペチッ…

マリアさまのほっぺにストレートが入った…


マリアさまが私を抱いている


「えへへ、やりました。参りましたか」


「えぇ…私の生涯の中で最大ダメージでしたよ…」

「降参です」


「やったぁ」

「ヒール」

マリアさまのほっぺにヒールをかけた。体力の限界と魔力切れで気絶してしまった…


「ルビィ私がまちがっていました」

「あなたの魂の強さは、冒険者として充分通用します」

「それに、あなたは優しいのね…」


マリアはギュッとルビィを抱きしめた…

ルビィの成長が気になる方はブックマークと

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