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第60話…教会へ

テルメに滞在して1月半、オネの様子は良好だと思う。感情の表現が違うのだから、推測するしか無いけど。


今まで奴隷として扱われてた娘が観光地で自由に買い食いや観光地巡りをするのだから楽しくて仕方ないみたいだ。周りから見ると楽しいように見えないのだけれど…


オネは幼い頃両親を亡くしている。驚くことにドンノッサ族の信仰する神はドトロア公国と同じだった。信仰心は非常に厚く、女神ダミアから啓示を受けていたらしい。

通常高位の聖職者でなければ啓示を受けることは無い。ドンノッサ族は全員が女神からの啓示を受けていた。


啓示を受けて数人から数十人が旅に出て帰ってくるの繰り返し。オネの両親は旅先で亡くなっている。

両親を亡くした子供は虐められやすい。オネも同世代から虐めを受けたようだ。


そのせいかセシアと非常に仲がいい。セシアも普段はスンってしてるから、それが逆に良かったみたい…


わたしもオネに合わせて感情の表現を変えている。今でも違和感は残るけど、意外と出来る。オネに対してる時と他のみんなに対してる時に使い分けをしている。



「え?ルビィそんな事出来るの?頭グチャグチャにならない?」


「ウ~ン、意外と出来るもんだよ。慣れかな」


「あっ、そう言えば先輩ってキーボード2つ使い分けてましたね。確かニコラをよく使ってたような…」


「よく覚えてるねシキちゃん。ドボラックとニコラとクワティかな。わたし環境オタだからね、それにプログラマーだと結構いるよ」


「うわぁわたしには無理です。面倒臭いし…」


「タイプミスは無いよ。たまにショートカットで間違えるくらいかな。複数言語話す人や、方言と標準語を器用に話す人がいるでしょ。あんな感じだね、人って凄いよね」


「でも先輩、最近少し言葉訛ってきてますよ…」


「え?うそ、ホントに?」


「えぇ、さっきもアイスの話になったときハーゲンダッツのイントネーションおかしかったです」


「ドンノッサ族の言語ってイントネーションに特徴があるから、完全トレースすると発音が引きずられるのかぁ。最近オネとよく喋るからなぁ…発音まで使い分けるのって難しいんだよね…」


訛りを指摘されたのは驚いたけど、とんでもないメリットもあった。

わたしでもドンノッサ族の能力が使えたことだ。ただ、ロボも100%ドンノッサ族の言葉をトレースできるのだけど、ロボでは能力が使えなかった。


ロボによると言葉自体に物理現象への干渉力があるのではないか、そして有機生命体による発声でなければ能力は発動しない。記録媒体による動作を可能にしてしまうと誰でも使えることになるからではないかという結論に達した。


今現在では声を記録する物は無いんだけどね…


更に分かった事がある。一見万能に見えるドンノッサ族の能力も万能では無かった。物理現象に干渉できて自在に操られるのであれば、それはもはや神だからだ…


構造的には魔法と似ている。単純なことしかできない。魔法は体内魔力を使い念じることで使えるが、ドンノッサ族の能力は言葉にしないと発動できない。言葉、発音、発声が重要になる。


「やれることはシンプル、だけど干渉力が半端ない。発動には言葉が重要ですね」


「そうなると数百行のプログラムを実行する事は難しいわね」

「そうなりますね、ルビィの魔法は関数とライブラリを呼び出して発動してましたから」

「だからドンノッサ族は集団で行動してたのかな?」

「そう考えるのが妥当ですね」


「ウ~ン少し当てが外れたかな~」

「フフっ、ルビィは神になりたかったのですか?」


「そういう訳では無いけど、みんなを守るには力は必要だから。もうイヤな思いは嫌だし…」

「その中にはわたしも含まれますか?」

「もちろんだよ、ロボ」


「えへへへへ」


…うわロボが照れてる、カワイイのですが…



「先輩このテルメって街、かなり信仰心が強いですね。勧誘ヤバいです」

「はは、シキちゃん。温泉地での宗教勧誘はデフォだよ」

「いやいや、それ前に観たアニメの影響では?」


「でも確かにここの教会ってドトロア並みに立派だよね」

「ですね、試しに行ってみませんか教会。何か分かるかも知れないですよ」


「そうだね、わたしも最近お祈りしてなかったからな…」

「あれ?先輩もあのポンコツ女神に呼ばれたんでしたっけ?」


「ポンコツ?わたしを転移させたのは何か冷たい感じの女神イラだったよ。でも今にして思えば、あれも優しさというか、結果的に凄く助けられてるって感じる」


「ふふ、相変わらずですね先輩。そういう所が好きですよ…」



うわぁ外観も立派なら内装も凄いや。プリフォレ公国の教会の3倍ほどの大きさで内装も無駄に凝っている。でもわたしはプリフォレ公国の奥ゆかしさが落ち着くな…


ダミア像の前に跪き、祈りを捧げる



目を開けた瞬間そこが真っ白な空間であることを認識した…

ここは…そうだ、わたしが死んだときに来た場所


「シキちゃん!」


隣を見た


「はい、いますよ先輩。2人同時にあの時の空間に飛ばされたみたいですね」


わたし達の目の前には2人の女神が立っていた…


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