第55話…ロボの変化
わたし達は予定通りドトロア公国を目指し旅を続けた。夜襲から3日経ったが、アルカの傷もほぼ治っている。進行速度が少し遅れているのは、吹き矢対策をしていたから。
針を通しにくい素材で作ったローブを装着することで、ある程度解決した。ドトロアに着いたら、素材を見直して完全な耐刃を確保する予定…
その間ドンノッサ族の女の子と仲良くなる予定だったんだけど…
やはり言葉が通じないのはキツい。おまけに少しおかしい…
言葉の問題ではなく、なんと言えばいいのか、変人と相対してる感じ。
標準的な固有名詞も多少覚えてるみたいなんだけど、訛りがかなり強い…
「同音でも発音でかなり意味が違ってるみたいですね、さらにもっと根本的なものが違う感じがします。この言語を解析するには時間がかかりそうです」
あらゆる言語を理解しているロボが言うんだから間違いはなさそう。
「ルビィこの子一緒にお風呂入ったから分かったんだけど、奴隷だよ」
同じ獣人のシルビー達にお風呂お願いしたんだけど、まさか奴隷とは、奴隷特有の悲壮感が全くないんだよね…
一体何なんだドンノッサ族って、とんでもない能力を持って、誰もその存在を知らない。言語が特殊で誰も理解できない…
そして、アザミに操られている、奴隷として…
夜襲対策をしながらの進行なので、ドトロアに着くまで6日を要した。
そして6日もあれば、ロボの異変にみんな気づいた…
全般的にロボの能力が上がっている。それからわたしへの態度が明らかに近い…
馴れ馴れしいというか、ベタベタしてくるというか…
「これ美味しいですよ、はいア~ンして」
「ちょっロボどうしたの急に…」
「え~いいじゃないですか、たまには甘えて下さいよぉ。それとも口移しの方がよかったですか?」
「「「「「……」」」」」
…みんな鯉みたく口を開けてポカ~ンとしてる。当然だよね、わたしにも何が何だかわからない…
「ロ、ロボどうしちゃったぴょん、いつもと違うぴょんなんだけど…」
「フフ…目覚めただけですよレイラ。あれ?レイラもして欲しかったですか?」
…
「ロ、ロボさん…ち、近いんですが…」
「なに遠慮してるんですか、わたしとルビィの仲じゃないですか。寝てるときもまた襲われたら大変でしょ」
「そ、そんなにくっつく必要はないかと…」
「フフ…心配なんですよぉ」
「え~ロボばっかりずる~い。わたしもぉ」
「あ、熱いからやめて~」
…いやホントどうしちゃったのロボ。変化があったのはロボが刺されてからなんだけど、回路に不具合が生じた?…
…
あれからアザミは襲ってこなかったけど、監視は続けてるみたいで、遠巻きに尾行されていた。だけど全てロボが察知して撃退していた。
いや、ロボマジ凄い。索敵能力が5倍増しくらいになって、走るスピードも段違い。あっという間に見つけて、距離を詰めて撃退して行く。
相手も理解したのか、最後の方では監視が無くなった。
気になったので、直接本人に聞いてみた…
「ねぇロボ、アザミのボスに刺されてから、明らかに以前のロボと違うんだけど、何かあったの?」
「あれ、気付いちゃいました?微少な変化なのによくわかりましたね~」
…いや微少じゃないから…
「実はですね、わたしヴァージョンアップを果たしました!」
「ヴァージョンアップ?そんな機能まで付いてたんだ」
「はい。わたしの存在はこの世界にとって超絶なオーバーテクノロジーなんですよ。でですね、もしもわたしのご主人様が悪いヤツだったら、とてもヤバいことになるんです」
「確かに今のロボの能力だと国をとるのも、作るのも、いや世界征服だって出来ちゃうね」
「なので、以前のわたしは機能をかなり制限した仕様になってたんです」
「その制限が外れたと…」
「はい。制限の解除はわたしの良心回路と密接にリンクしていまして、条件を満たすと良心回路がVerUpするようになっています。それに伴い限定が解除されました」
「条件って何?」
「条件は総合的に判断されます。ですが、最後の決め手はルビィがわたしの為に泣いてくれたことかなと…」
…あぁ、あれかぁ。だって悲しかったんだもん仕方ないよね…
「性格もかなり変わった気がするんだけど…」
「え?そうですか。自分では気付かなかったな~。ただ、自分の気持ちを素直に表すことが出来るようになった気がします」
「そ、そうなんだ…」
「はい、これからもどうぞよろしくお願いしますねルビィ」
「う、うん。よろしくね…」
どんな事ができるか詳しく聞きたかったけど、プライベートな内容なので控えた。目からビーム出せますって言われそうで怖かった事もあるかな…
まぁ、ロボはロボなんだし、知らなくてもいいか…
…
ようやくドトロア公国に着いた。いよいよ奴隷商へ殴り込みだ。シキちゃんもずっと切れ気味だったから抑えるのも大変だった…
まってろよ奴隷商!
奴隷商との戦い勃発
今後が気になると思った方は…
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