表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/69

第51話…新生ロボ

通された部屋は比較的狭く、部屋全体が金属でできていた。壁とテーブルにはモニタが設置され、モニタに映し出された映像が壁一面に表示されている…


…こんな施設がこの世界にあったなんて…


「先輩、ここの技術ってわたし達の時代より進んでいますよ」


転移者であるわたしとシキちゃん、北斗、亜子以外はみんな戸惑っているみたいだ…


「みんな、安心して。ここは安全だから」



「いきなり試すようなことしてゴメンね。負傷している人は奥の部屋に治療室があるから、そこで治療してくれるかな。カプセルに入るだけで自動でやるから…」


眼前に人が現れた。ホログラフでは無く、まるで実物の人がいるような精巧な3D立体映像だ…


治療を終えたピアニィ、レイラ、クロエが戻ってきた…

ロボは残念ながらミスリル合金が無いので修理不可能だった…


「なんだかアレ凄いな、打撲があっという間に治っちまった」

「最初は怖かったけど、やってみると凄いぴょん…」

「ヒールより速く治るね…」


3人の評価も上々だ、とんでもないオーバーテクノロジーみたい…


全員がテーブルに座り、出されたお茶を飲んでいると、男が喋り始めた…


「まずは自己紹介から。僕の名前はサニュール、この星を管理する女神様によって転移した、いわゆる落ち人ってやつだね。君たちは第3惑星地球からの転移でしょ、僕の元いた世界は少し違っていてね、僕の他にも数名転移者がいたんだけど、僕たちの世界からの転移者は引きこもりが多くて、あまり転移してこなくなったんだよ…」


「女神様に見限られたとか?」


「アハハ、そうだね、その通りかも。女神様の話では転移はニホンが1番なんて言ってたなぁ…」


「日本には先輩みたいなのが沢山いますからねぇ…」

…おい、言い方よ…


「でも、どうしてあなた達の世界の転移者は引きこもりが多いの?」


「それはね…一言で言えば文化、文明レベルの差かな。文明が発達しすぎて、みんな面倒くさがりになっちゃったんだよ。異世界転移も疑似体験できるしね。そう君たちの世界で言うVRの凄く進んだ物だね」


「反面、娯楽が増えて衰退していったんだけど…」


「文明が発達して衰退したって、どういうこと?」


「生殖しなくなったんだよ、繁殖力の低下だね。平均寿命は上がったけどね、150歳くらいが平均寿命かな。臓器単体ならそれ位生きられるから、それを個体でできる技術が生み出されたのさ。今では受精も全てプログラム管理されているから適度な人口で平穏に暮らしているよ…」


「へ~ストレスが無くなって楽しい事ばかりだと、そうなっちゃうんだねぇ」


「暇つぶしに世界を観察してたら、君たちを見つけてね。面白いからウォッチしてたら、ここに来るってことで、ついちょっかい出したくなってね。ゴメンね…」


「ところで、そのゴーレムって君が作ったの?感情に近い物を感じるんだけど…シンギュラリティには達していたの?」


「えぇ、わたしがプログラムしました。シンギュラリティにはまだ達していなかったですね」


「へ~それで、このレベルかぁ…優秀なプログラマーだね」

「はは、どうも…」


「そうなると、君たちの元いた世界も知能爆発は近いんだ…」

「来ますかね?」


「来るよ、確実にね。世界は大きく変わるね…」


「あ、ところで、ゴーレムの修理は出来ないけれど、AIの仕様、記憶そのままに筐体きょうたいを入れ替える事はできるんだけど…」


「えっそんな事が出来るんですか?」


「出来るよ。代替の筐体はこんな感じかな…」


わたし達の目の前に現れたアンドロイドは精巧な人形いやほぼ人間と言えるほどの完成度だった。肌の質感が生々しい、表情も人と変わらないし動きも驚くほどなめらかだった。


「これは凄いテクノロジーだね…」


「へへ、そうでしょ。ただ、リアルにしすぎたせいか、戦闘力も人並みなんだけどね…」


そしてロボの反応がヤバかった…

急にモジモジし始めて…


「わたシ、あれがいイ…」


ロボが食いついた!

突っ込みはたまにするんだけど、ここまで感情を露わにすることは無かったからだ…

正直驚いた…


「え?いいんですか?」


「もちろん。僕の好奇心でそちらのゴーレムを損傷させてしまったんだからね」


「動力は核融合だから半永久的に稼働するよ。重水の補充も必要無いね。自動回復が付いてるから、予備パーツも必要無いかな。耐電耐磁耐水だから水、雷とかEMPも対策済みかな」


…ロボのソワソワが止まらないんですが…

戦闘面でロボがいなくなるのはキツいけど、もう驚異も無いし、旅始めてからもロボは家事しかやってないからなぁ…


「お願いします」


即決だった。何よりロボがそれを望んでいるんだから迷うことは無い。


「分りました。データの移行はすぐに済むんだけど、プログラムの講習に時間がかかるかもね。ルビィさん頑張って下さいね。簡単な仕様なのですぐ覚えられますよ…」


…え?聞いてませんが…



新しいロボの筐体は、見た目はわたしと同年代、ショートヘアでDカップ、なぜかメガネをかけているのがアクセントらしい…


ロボの反応も上々だ、鏡を前にポーズをとったりしている。顔もユルユルで本当に嬉しそうだ。

ロボっぽくなくなったから、名前を変えようかと提案したが、ロボのままでいいそうだ。


動きの精密さなめらかさは人と変わらない。戦闘力は人並みだけど、索敵能力は高い。かなり遠くの音も聞き分けられるし、望遠鏡並みに視力は優れている。そして1番凄いのは知識量だった。ロボの記憶容量は500エクサバイトつまり5億テラバイト、これに加えてサニュールの世界の知識、情報が納められている。わたしが一生かかっても閲覧出来ない情報量だ。


立体映像投射も付いているし、ん~これロボさえいれば、一生娯楽に事欠かないな…

引きこもりの隠居生活、それもいいかもしれない…


3日ほどブロンテーダンジョンの地下で過ごしてサインに帰還した。全員が帰りたくないと言っていたが、しかたがない。VRの疑似体験に全員がはまってしまったみたい…



サインに帰るとダンジョン踏破の報奨金を頂いたが、ぶっちゃけるとロボの進化が1番のお宝だ。なんせロボさえいればお金を稼ぐことも簡単なのだから…


北斗と亜子もダンジョン攻略の褒美として半年ほど休暇がもらえた。サインで1週間ほど過ごし、ドトロアへと向かった。

ドトロアを経由して更に北のマーレ国へ向かう予定だ。

荷物が多くなったので、小さめの馬車を購入しゆっくり進む予定だ。


進化したVRの疑似体験も面白かったけど、実際にみんなと旅をすると、やはり本物の方がいいな。楽しいし…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ