第49話…諸国漫遊
今回の功労者は北斗だ…
という事にしておいた。
魔王のせいで、北斗についた悪評を、払拭したかったから。
北斗を魔王の呪縛から解放したのは亜子という設定にした…
少し無理矢理だけど、重要なことだ。
今回はピアニィも前線で活躍したから、功労者として名乗りでていいんじゃないって、言ったけど、「あたしは盗賊だからなぁ…」と言って辞退した…
でもピアニィは公国の人達からも認知度が高く、有名だった。今回の事で更に人気が高まったみたい…
マリアさまは相変わらず、超人気…
やはり、みんな清楚が好きなんだなぁ…
今回の件で魔族軍はほぼ壊滅。魔王も転生が出来ない状態なので、魔族領の扱いについて、周辺国との協議があるらしい。わたしには関係ないけど…
でも薬草の買値がどんどん下がって行くんだよね…
仕方ないか…
報奨金で数十年は働かなくて済むからね…
なので…
諸国漫遊の旅に出かけることにしました。
ロペちゃんには泣かれて、ペックス草を飲まされそうになったけど、なんとか説得…
他のみんなも賛成してくれた。
せっかくの異世界なので、楽しまないとね…
期間は約1年を目安にしている。
まずは北斗と亜子の護衛を兼ねてサインに1週間ほど滞在する予定。現在は各国の治安が良くて、戦争、紛争の類いはほとんど無い。
ただ、魔王が捉えられ、各国の動きが少し気になるところだ…
共通の敵がいなくなったからね…
魔王軍討伐から2週間ほど経ち、旅の準備も完璧。予定と違ったのはピアニィ達も行きたいと言ってきた事。
「あ~だいじょぶダイジョブ、最近平和だし、報奨金もらったんで、みんなに金渡して1年ほど休みにしたんだわ…」
と言う事らしい…
なんか自由だな…
当然の事ながら、ミリーも付いてくる…
子供達は長旅なので、我慢してもらった。泣いてたけど…ゴメン…
亜子、北斗、わたし、シキちゃん、アルカ、セシア、レイラ、クロエ、シルビー、ピアニィ、ミリー、ロボ。計12人での旅行だ。
いや…
後方で羽根をパタパタしてるサキュバスを入れると13人か…
最近ではみんなとも仲良くなり、普通にお喋りしてる…
いいのかラピス…
亜子と北斗はサインで別れるとしても、この人数で旅行するとは思わなかった…
まぁ、楽しいからいいんだけど…
安全性に関してはパーフェクト。ほとんどの場合北斗が対処してくれる。味方にいるとこれほど頼りになる存在は無い。
夜はロボの出番だ。索敵から危険の対処まで申し分ない。寝る必要がないって、ホント凄い…
おまけに、料理全般、喧嘩の仲裁、夜営の準備まで、至れり尽くせり。
旅ってこんなに楽だったんだぁ…
もうロボ無しでは生きられない…
サインに近づいてきたところで、問題が発生した…
亜子がぐずり始めたのだ…
「ねぇ北斗ぉ、このままサインに帰らずに旅続けてもよくない?」
「なっ、ダメっすよ。首長になんて言うんすか…」
「ほらぁ、わたし達って、十分に仕事やってきたじゃない。飽きたんだよねぇ…長期休暇とってもバチ当たらないよね…」
「イヤイヤ、それマズいですって、大騒ぎになっちゃいますって…」
「だって、もう魔王いないからいいじゃん。それに入れ替わりがバレると怒られちゃうかもよ…」
「なっ…そんな事言ったって…」
「それに北斗も一緒に行きたいよねぇ…」
「う~ん…それはそうなんすけど…」
「まぁまぁ、亜子も落ち着いて、とりあえず首長さんに会って報告してから、希望を伝えればどうかな?わたし達もサインには行ってみたいし…」
何とか亜子を説得して、事なきを得た…
ゆっくり旅だけど、トラブルが無いのとロボの手際の良さもあってか、1週間もかからずにサインに到着した。
サインの街の印象は、都会って感じ…
商業都市と銘打つだけあり、ドトロア公国と比べても建物が立派。と言うか近代的。
王家の支配ではなく。商人が集まり自治区を作った。
タンドラ国のやや中より、海に面した小さな国だが、経済力は高い。
タンドラ国と仲が良く、持ちつ持たれつの関係を築いている。
民主国家の特徴か、発展力が高い。
そして情報収集も隙が無い。今回の1連の騒動も、ほぼ正確に伝わっていた。ただ、プリフォレ公国で功労者認定されているのが幸いしてか、軽い小言程度で済んだようだ。
そして亜子がちゃっかり長期休暇の申し出を嘆願した。亜子の天然キャラは周りの空気を読むのが出来ないようで、思ったことを口にしてしまう。とかく空気を読むのがうまく、自分の意見を抑え気味な北斗とはいいコンビ。
亜子の願いは意外と簡単に通ってしまった。これまでの功労と、紛争、戦争の危機が無く、平和だった事が原因だと思う。ただ、1つ条件を出された…
それはダンジョン攻略だ、ドトロア公国の国境近くに、未踏破のダンジョンが存在する。そこの攻略をお願いされた。
ダンジョン名はブロンテー。以前、2人が攻略に失敗したダンジョンだ。2人曰く深すぎて宿泊に耐えられなかったみたい。敵も雷属性が多く、気を抜くと全体攻撃でダメージを喰らうらしい。
「でも、みんなが一緒なら、宿泊も余裕だし、何しろロボがいるからね。楽勝だねぇ」
…いや、亜子簡単に言うな…
しかし、この面子なら、どこのダンジョンでも攻略できる気がしていた…
わたし達にはキャンセル出来るシルビーの魅了…
圧倒的な俊敏性と破壊力のクロエ…
抜群の格闘センスと聖属性魔法まで使えるレイラ…
ほぼ無限の魔力量を誇るシキちゃん…
認知した敵を一瞬で麻痺させる北斗…
聖属性の遠距離攻撃ができる亜子…
パワーと素早さ、狙った物は外さないピアニィ…
才能はあるがポンコツなミリー…(ゴメン…
毒使いのわたし…
大量のアンデッドを召喚できるセシア…
そして、状態異常完全耐性で24時間働き続けられるロボ…
ちなみに電子機器を全く使っていないロボに雷魔法は一切効かない。
このパーティで負けるはずは無いよね…
と思っていた…
まさかこのパーティが全滅するとは、この時は思いも寄らなかった…




