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第48話…おかえり北斗

わたし達は魔王の襲撃に備えて、プリフォレ公国で活動している…


「1ヶ月経ったのに攻めてこないね?」

「予想だけど、多分あの悪魔族が生きていて、回復するのを待ってるんじゃ無いですかね。なんだかんだで魔王軍仕切ってたのは、あの悪魔族みたいだったし…」


「あ~魔王仕留めて、確認するの忘れてたからなぁ…」

「となると、コア部分の耐熱処理もやっとくかぁ…」


「なんか、あんた達、気が緩んでるんじゃないぴょん?」


「あはは、対策が万全なだけだよ。慌ててもいい結果は出ないし。やれることをやるだけだよ…」


「うふっ、レイラ、ルビィに任せてれば大丈夫だよ。それよりわたし達は、魔族軍の数を減らすことに集中しよ…」


レイラ、シルビー、クロエとマリアさまには魔族軍の数を減らす仕事をお願いしている。シルビーの索敵で魔王と遭遇しないように立ち回り、ジワジワと数を減らしていくのが目的だ…


「でも、最近では魔族や魔物の姿が見えないのよね…」



そして、2ヶ月が経った頃だった。


「ルビィ、魔王が動きましたよ。公国に通達が来たそうです…」


「公国は今、魔王軍に囲まれている状態ですね。攻撃されたくなければ、前回魔王討伐に関わった者を、差し出せと言っているわ」


「なるほど、そう来ましたか。やってることが小悪党だね…」


…相変わらず辛辣だねシキちゃん…


「マリア、関わった者って具体的に書いてあるんですか?」


「契約師、聖騎士、鞭使い、狼、狐、兎人、それからセシアって書いてある…」


「マリアとピアニィは無いんですね…」


「先輩、魔王軍が分散されているなら、チャンスですね…」

「そうだね、決着をつけよう!」



◇◇◇◇◇◇



北斗の姿をした魔王は正面からやってきた。部下は少ない。少数精鋭なのだろうか、レーツェル山にいたキメラもいる。


「逃げずに来たみたいだな。わざわざ、死にに来るとは、一応褒めてやるぞ」

「狼と狐はどうした…」


「あぁ、それは彼女達だよ、普段はこの格好なのさ」


2テンポ遅れて魔王がうなずく…

やはり、魅了対策か、通訳を通しての念話か何かだろうか?


「だから、魔王さん、耳栓外しても大丈夫だよ。魅了は使わないから。そんな怖がらなくてもいいからさ…」


魔王の顔が怒りに変わる。だけど北斗の顔だから、あまり怖くはないな…

耳栓を外しながら魔王が呟く。たとえ魅了を発動したとしても、自分の方が速いということだろうか…


「お前だけはゆるさん!」


…それはこっちの台詞だよ…


「セシア、こちらに来なさい。助けに来ましたよ」


フードを深くかぶったセシアは、シルビーの陰に隠れて動こうとしない…


「悪いね、ヌー。セシアはわたし達と一緒にいたいってさ。あんた達と一緒にいると臭いんだって。ちゃんとお風呂入った方がいいよ…」


次の瞬間、わたし達は、力が抜けるように地面に突っ伏した。セシアを残して…

いや、2回目でも慣れないな。ホントに動けないよ…


「お前は誰だ!」

…さすがにバレるか…


セシアらしき者が来ていたフードが一瞬で燃えさかる…



「ア~ア、ススがついちゃったじゃないですか…アトでフいてもらいますよ。イきていたらですが…」


そこには全身金属のゴーレム、ロボが立っていた…


…言葉がもう少し流暢りゅうちょうになれば、完璧なんだけど、今はまだ、読み上げソフトのレベルなんだよね…


「なんだ、こいつは…」


「オハツにお目にかかります…ロボと申します…よしなに、イキるだけがトクイの魔王サマ…」

「サキほどから、ナニかしてるみたいデすが、ワタシにはキキませんので、アシからず…ツイでに、そこのキモちわるいアクマゾクのカタ、カラダがアツくなるので、マホウやめてくれませんか…」


ロボはスタスタと魔王の方へ歩き出す…


「お前達、こいつを止めろ!」


リザードマンとキメラが同時に襲いかかるが、ロボは2匹の攻撃を難なく躱す…


…残念でした。ロボにはわたし達が3人がかりで攻撃しても躱し続ける視界の広さとスピードと反射速度があるのよ…


髪の毛のようなワイヤーの先端が2匹の体に触れた。次の瞬間2匹の体は硬直し、ビクビクして動かなくなった…


…超強力なスタンガンにしておきました。レベルマックスです…


「じゅ、術者を殺せ!契約師を殺せ!」


「アラ…イガイと頭がまわるンですね…」


オーガが回り込み、ルビィに襲いかかろうとした…

シュン

ボウガンの矢がオーガに突き刺さる。次の瞬間オーガの体が蒸発したように消えて無くなった…


…ナイスぅ、うまくなったじゃん、ミリー…それに、わたしが死んでも、タスクが完了するまで動くんだよね。自律型だから…


「マオウさん、ソゲキシュをさがすヒマをアタエるとでも?」


ロボが更に魔王との間合いを詰める…


「うわぁ…来るなっ」

「魔王様、お逃げ下さい!」


「ヘ~イガイとチュウケンなんですね…」


バチィ!ヌーの体が痙攣する…


「サスが幹部ですね、シにませんか…」


ロボがリザードマンの剣を抜き、ヌーに突き刺した…昆虫の標本のようだった。


「ゴフッ…」

「ひっ、ひぃぃぃ…」


「アラアラ…ブカをおきざりに、逃げだすなんテ、はズかしい…」


逃げ出した魔王の足をロボのワイヤーが絡め取る…

地面に突っ伏した北斗の体を仰向けに起こし、馬乗りになる…

腰のナイフを抜き、振りかぶった…


「まて、待ってくれ、返す。この体を元に戻すから、待ってくれ」


…剣を刺され、苦しんでるヌーが隣にいると、ビビるよな…


「申しワケありません。わたくし命令イガイの事が、デキないんです…交渉ならご主人サマとお話し下さイ…」


「契約師!交渉する、待ってくれ!」


「………」


…ゴメン、口が麻痺して、大きい声で喋れないんだよ…


「交渉ケツレツですネ…でわ、タスク終了でス…」


「うわぁぁぁぁぁ…」



ドスッ!…





ロボが振り下ろしたナイフは北斗の顔右10cmの所に突き刺さっていた…


「な、なんすかぁ…」


「確認…20%…」

「あなたのキラいな食べ物は何ですカ?」


「な、な、いきなり?…これ、戻ってるんすか…」


「質問に答えて下さイ…チョコミントアイスは好きですカ、嫌いですカ?」


「き、嫌いですけど…あと、コーヒーゼリーも…」


「確認…80%」

「嫌いな理由は?」


「歯磨き粉みたいだから…」


「確認…100%」

「個体を天蓋北斗と確認しましタ…」

「失礼しましタ、北斗さん…」


マウントポジションを解除し、北斗を立たせた…


「ルビィさん、みんなも…みんなが助けてくれたんすね…」

「ごめんなさい。みんなが倒れてるのもボクがやったんすね…」


「北斗…細かい事は後から話すから、今はロボの指示に従って…」

「うん、わかったっす」


「今、東門と西門がマゾク軍の侵攻されていまス。各個撃破していきまス。わたしの背中に乗って下さイ…」


「え?乗るんすか?…」

「ダイジョウブですよ、落としませンし、イガイと乗り心地はよい方かト…」


「うっわぁぁぁ…止めてぇぇぇ」


…あっという間にに走り去っていった。ロボは100m7秒台で走るからねぇ、東門まで5分とかからないよ…


「ルビィ~大丈夫ぅ~」


ミリーが走り寄ってきた…


「見た見た?凄くなかった?」


ドヤ顔で喋りかけてくる…

…いいから、早く治療薬飲ませてくれ…


「ふぅ~だいぶマシになった。ありがとうミリー」

「あ、ついでなんだけど、あそこの剣が刺さってる悪魔族を浄化してやって…」


「うわぁ…なんか気持ち悪いわね…」


ミリーの体が白く光り輝く。体に入れ墨のような模様が浮かび上がる。レイラの聖属性魔法と、少し色が違うな…


ボウガンから放たれた矢は、ヌーの体を突き抜けて地面にめり込んだ。次の瞬間ヌーの体は蒸発したように消えて無くなった…


他のみんなも薬が効いたのか、体を起こせる位には回復したみたい…


「シキも思い切った作戦考えつくぴょんね…」


「うん、ロボを魔王の近くに持って行きさえすれば勝ちは見えていたからね。それに勝ったのはみんなのお陰。魔王軍の戦力を地道に削っていったから、魔王の護衛が少なくなった。魔王には負けるビジョンが見えてなかったんだろうね。余裕こいてたし…」


「ピアニィたち大丈夫かな…」

「北斗が到着すれば、秒で終わるよ、安心して…」


「うふっ…じゃぁ今夜は祝杯ね…」

「ミリーは訓練中も飲んでたくせに…」


「祝杯はまた別物なのよルビィ!」


みんな大声で笑いあった。

多分これで終わりだと思う…


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