第39話…レーツェル山
アヴァさんと会ってから4日が経った。大量の金貨を手にしたわたしはダラダラと自堕落な生活を満喫していた…
訳では無い…
更なる欲望に目覚めてしまったのだ…
ロペちゃんに聞いたレーツェル山のことが気になって仕方ない…
中でもレーツェル山にしか生息しないサクロ花は、ひと財産築ける程の値打ちがあるらしい。他にも珍しい薬草、毒草が目白押しだそうだ…
行くしかない…
そのために用意をしてきた。幸いレーツェル山は1日ほどでいける距離である。魔王との契約がいつ切れるかも分からない。
「レイラ、クロエ、シルビー用意はいい?」
「「「バッチリだよ~」」」
「よし、じゃぁ出発で~す!」
距離的には近いんだけど、道がない…
何回か来ることになると思ったから、道を作りながらの行進だ。2日かかりレーツェル山に到着した。レーツェル山は雰囲気からして違う。植物の群生が全く違う、見たことのない木々や植物に興奮してしまう。
契約の力は凄まじく、戦闘は避けることができた、山の中腹まで来たところだろうか、異質な魔族が目の前に立ちはだかった…
「おや、珍しいねぇ、こんな所に人族なんて…」
「ここまで来たのは褒めてやろう、だがここで死ね…」
どうやら魔族というやつらは、会話という物を知らないようだ…
脳筋な魔族はキメラだろうか、肌は蛇の鱗もあればワニの鱗もある。性別は多分女だろう。瞳も左右別の生物だ…
「ちょっと待って、話をきい……」
問答無用だ、会話さえさせてもらえないみたい…
既に攻撃モーションに移っている…
が、すぐに力が抜けたように地面に膝をついた…
「きさま、何をした!」
すぐさま次の攻撃に移ろうとしている。だが同じ事の繰り返しだ…
さすが脳筋…ポンなのか??
片膝を着いて話す…
「魔王様との盟約により、私たちには攻撃することができません」
「なに、魔王様だって…」
「はい、魔王ワンファン様との盟約を結んでおります。魔王様との約束を果たすため素材を探しております。あなた様の領地に勝手に踏み入ったことご容赦ください…」
「そ、そうなの、ならば早く言えば良いものを…」
…この脳筋ポンコツキメラがぁ…苛立ちを隠すのに苦労した…
「よろしければ、これをどうぞ」
日本酒を差し出した…
「こ、この味は、魔王様に頂いたあの時の味…そうかあんたらがこの酒を…」
「はい、今はまだ試作なので多く作れませんが、次の冬開けにはもう少し多くのものを献上できると思います。その時には真っ先に届けましょう…」
「悪いねぇ、まさかワンファン様の使いとは知らず、突っかかってしまって…」
「いえ、お気になさらずに…」
「ここら辺は自由にして構わないよ、でもヴェリタの泉には注意しな。あそこはワンファン様も近づかないからね…」
あっという間に去って行った…
注意しなって言ったって、泉の特徴を伝えないと、どこがヴェリタの泉なのか分からないのだけど…これだから脳筋は…
しかし…
すぐに分かってしまった…ヴェリタの泉…
明らかな違和感。その周囲でさえ神聖なオーラを放っているかのようだった…
神聖が故に魔族が近づかないのかと思っていたが、それは勘違いだったようだ…
「レイラ、クロエ、シルビーどこに行くの、勝手に離れちゃダメだって…」
3人がフラフラと泉中央の小さな島に向けて歩き出した。どうしたのだろう、何か見つけたのかな?呼んでも返事しない。わたしも頭が少しクラクラする…おかしい!
3人の目の焦点が合っていない、ボ~っとしてる…
まずい…力尽くで泉から離れたところに移動させた。
「ねぇ、しっかりして、どうしたの」
気付けの薬草をすり潰し、嗅がせた…
「うっ、う~~ん…」
「あれ?ここはどこぴょん?」
「レイラァ~、どこか調子悪いとこない?」
「うん、気持ちよかったぴょん…」
クロエとシルビーも目を覚ました…
話を聞くと、気持ちよくなって、フワフワした感じで、その後の記憶はないと言っていた。
催眠の効果があるのだろうか…
「これ以上近づくのは危険ね、とりあえず離れて薬草採取を終わらせよう」
二手に分かれて効率よく薬草採取した
そして、驚くほど早く採取は終了した。なぜなら、ハーブサーチの詠唱をみんなにインストールしたから。
サーチ対象はテイルズ草・ライザ草・フォール草・デドバ草・マイクラ草。それ以外の見たことない草はサンプルとして保存。
ヴェリタの泉から少し離れたところに集合した…
これはヤバい…
ざっと計算しただけで白金貨20枚はくだらない。いいのかこれで…薬草の価値が下がるんじゃないかな…
「少し危険な事にチャレンジしてもいいかな?ヴェリタの泉の奥深いところに行ってみたいの」
「ダメ」「ばっかじゃないぴょん…」「だめだめだめ!」
「だよねぇ~…でもあそこには何かあるんだって。感覚的にわかるのよ…好奇心が抑えきれないの…」
3人に綿密な計画を立てて、もう一度お願いした。
「もう、言い出したら聞かないんだから…」
マスクを装着して、チャレンジした…
…
「あそこ!浮いてるのルビィじゃない?」
「あっ沈んでいく…」「ヤバいぴょん…」
…
「ルビィ、ルビィ!しっかりして…」「息してない、死んじゃうよ」
「し、心臓止まってるぴょん…」
…
「う~ん…あ、あそこ危険…ごめん、心配かけちゃった…」
3人には蘇生術と色々なパターンの対処法を教えてある…
「あ、あれ、怒ってますか…」
しっかりと絞られた…
帰りも1人で歩くことさえできなかった。ただ、最深部の草を数十本採取することはできた。多分これ毒草だよね…




