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第29話…ワンワン亭

ワンワン亭にやってきた。ピアニィと連絡をとる予定はなかったのだけど、ユイットの顔を見ておきたかった。お腹も空いたしね…


「いらっしゃいワンワン!ようこそワンワン亭へ」


はい、犬の獣人さんですね…

店内はテーブルが5つカウンター5席、すこし狭い。中は清潔でおしゃれな感じ。客層も一般人が多く、冒険者は見あたらない。


テーブルに座り、食事を注文した。厨房に2人、客を仕切っているのは、犬の獣人1人みたいだ。

犬の獣人が話しかけてきた…


「ルビィさんやね…ピアニィから聞いてるよ」

「あたしユイット、よろしくね。ピアニィに連絡取りたいときはあたしに言って」

「あ、うん。ルビィです。その時はよろしくお願いします」


「あれ、なんか、かったいなぁ…もっと気軽に喋ってええねんで」

「サイン出身や。よろしゅうね」

「うん、よろしくユイット」


…気さくな感じだ。サインって関西弁なのか…


カラン…

カワイイ女の娘が入ってきた。ロペちゃんだ…こっちに来る…


「いらっしゃい、ロペ。いつものでいいかな?」

「うんよろしく…」


…知り合いなのか…


「偶然ねお姉ちゃん。わたしお昼はいつもここなの」


隣に座ってきた…あれ?少し怒ってますか?…


「また、危ないことに首突っ込んだんだって」


…あ、そこか、何で知ってる?もしかして…


「あ、うん、ゴメン、クエストの確認ミスでさ、知ってたら受けなかったんだけどね…」

「でも、無事でよかった…」


ロペちゃんがくっついてくる。近い、嬉しいけど…


「少し、ヒソヒソ話しするから…」

「うん、わかった」


「大体の話は聞いている。あの3人ルビィの奴隷になったんだって?」

「うん、あそこで契約しないと、3人が危険になると思って…」


「ありがとう、お姉ちゃん。わたしもあんな契約だと知らなくて。お姉ちゃんがいて、ホントに助かった。それに…お姉ちゃんモテるのね…」

「イダダッ」

…つねられた…


「奴隷商の情報を流してるのはわたし。ピアニィの所にミアとポピーがいたでしょ。あれもわたしがピアニィに助けてってお願いしたの」

「なるほど、そういうことか…」


「あの2人の時はイレギュラーが発生してね、つまりお姉ちゃんが現れたから、奴隷契約が早まったの。何とか阻止しようと、1ヶ月はベッドで寝たきりにしようと思ったんだけど、1週間かからずに回復してしまったわ。ほんとバケモノかと思っちゃった」


「あぁ、あの時ねぇ…そんな事とはつゆ知らずでした…」


「2人の奴隷落ちは諦めたんだけど、お姉ちゃんが救ってくれたの。その身を犠牲にして…ホントにありがとう…」


「あの3人は少し特別なの。ギルドの報告では死んだって事になってるけど、奴隷商は信じていないの。だから今躍起(やっき)になって探してるの。お姉ちゃんも注意して。そして、あの3人を守って欲しいの。お願い…」


「うん、任せて!ロペちゃんのお願いなら尚更渡すわけにはいかないね」

「でもレイラは凄いと思うけど、他の2人は普通な感じなんだけどね…」


「ありがとお姉ちゃん」


…スリスリしてきた。嬉しい…


「もう、なに昼間からイチャついてんのぉ。あんたらは…」

「あたしも、ルビィんち遊びに行ってええ?」

「うん、もちろん。歓迎するよ」


…なんか、世の中ってつながってるんだなぁ…少し嬉しくなった…



◇◇◇◇◇◇



今日はミリーとエルフの墓に名を入れ冥福を祈った。

ミリーは礼儀正しく、優しい。気配りができ、正義感も強い。


飲まなければ…


「ミリー帰り、うち寄ってく?」

「え?いいの。嬉しい。こんな事もあろうかと、つまみも用意してきちゃった…」

…呑む気満々ですねぇ…


ミリーの舌は絶品だ。利き酒ができる。

作り置きした、『ひやおろし』と色々なパターンで作った『しぼりたて』を味見してもらったけど、的確な答えが返ってくる。

どんだけ酒が好きなのか…


数十本の酒と引き替えに、アドバイザーを引き受けてもらった。わたし達では酒の味がイマイチよく分からないのだ。

そのうちミリーブランドの酒でも造ろうか…


ミリーはハーフエルフでスノーフレーク家のお姫様だ。閉鎖的で規則に厳しいと言う理由で家を飛び出してきた。確かに、自由奔放だもんなミリー。

亡くなったエルフはミリーを連れ戻しに来て、ブラッドウルフに襲われた。


スノーフレーク家は代々血縁者に聖属性魔法が継承される。ミリーは特に聖属性魔法が強く継承されていて、王妃候補第1等だった。来る日も来る日も、お見合いで疲れてしまったみたい。


「ほんと貴族ってろくな奴がいないのよね…」


で、やけ酒繰り返して、高い酒飲み漁っていたみたい…

なるほど、だから舌が肥えてるのか…


聖属性魔法は魔を滅する魔法と言われていて、公国ではアヴァさん1人しかいない。魔法と言っても、聖属性のオーラをまとい攻撃するものだ。

ミリーこんな所で酒呑んでていいのか…


でも…

みんなでワイワイと話していると時間を忘れるくらい楽しい。シルビーは虫とか魚とか異様に詳しくて、豆知識を披露してくれる。彼女の声は魅了されるくらいに美しい。柔らかで艶があり声の表情の幅が広い。ずっと聞いていたい…

耳元で囁かれるとホントにヤバいのだ。


ミリーは飲まないと清楚だけど、飲むとダメエルフに早変わり。突っ込みがズレていて、いつもみんなで爆笑している。ピアニィといると、女属性が付与される…


クロエは常識持ちで、何か迷ったら、彼女に聞けば間違いない。反面1番笑うのも彼女だ、大声でくったくなく笑う。彼女がいるだけで雰囲気がよくなる。なんだろう、母親みたいな感じだ。


レイラは相変わらずだ。単純でわがままなんだけど、愛されキャラ。いつもみんなからイジられている。どんなに暗い雰囲気でもレイラがいれば場が明るくなる。ムードメーカーかな…


ロペちゃんが遊びに来ることもある。奴隷商の時から面識があったみたいで、みんなとも仲がいい。みんなの体調がいいのも彼女のお陰。意外だったのが、ロペちゃんを送っているときに、わたしもあそこに住みたいと、だだをこね泣き始めた時。よほど羨ましかったのだろう。


いつか、一緒に住もうねと約束した…

破ったら、ペックス草だそうだ…


わかるよ…

みんなと畑を耕すのが楽しい。一緒にお風呂に入るのが楽しい。何気ない会話が楽しい。いままで1人だったからなのか?みんなと狩りをするのが楽しい。お酒を飲みながらワイワイするのが楽しい。uno作って朝まで遊んだ時は楽しくて仕方なかった。彼女たちも楽しくて仕方ないって言ってくれる。それがとても嬉しい…


ずっと続くのかな…


ルビィの成長が気になる方は…

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