第13話…ロペの記憶
教会に帰って、マリアさまに一部始終を話した…
「あーあの娘ですね…」
「5年前くらいですかね、勇者の落ち人さまがいまして、その方と仲がよかったですね」
「色々ありましてね…でも、あの娘、ルビィのことが、大好きみたいですね…」
「さすが、わたしのルビィ、モテるわね」
あ、いつの間にか、マリアさまの物になってる…
それもいいな…
でも、大好きって…
思いっきし、ディスられた気がするんですが…
――ロペの記憶――
両親に奴隷として売られ、奴隷商でメイドの修行をしているとき、ヒロキお兄ちゃんと出会った。お兄ちゃんは落ち人で、とても強くて、魔王軍を壊滅に近い所まで追い込んだみたい。
奴隷という辛い仕事の日々に疲れていたわたしに、お兄ちゃんは優しく接してくれて、沢山の面白い話を聞かせてくれた。楽しかった、ワクワクした。
後から聞いた話だけど、奴隷制の改革をしようとしていたみたい。公国もお兄ちゃんの進言ならと、重い腰を上げる予定だった…
そんな時、ドーズと幹部の会話を聞いてしまった…
――――――
「年齢制限と第三者による本人の意思の確認だと…」
「こちらの世界を知らないガキが、えらい幅を効かせるようになったもんだ…」
「アザミを使う」
「え、いいんですか、魔王討伐も目前だと聞きましたが」
「魔王など、どうとでも出来る。うちらを舐めんな」
「ちっと高いが、アザミなら足も付かねぇ」
――――――
アザミとは隠語のようだ。色々調べたが、暗殺集団らしい事が分かった。それ以外の情報がまったくつかめない。
お兄ちゃんに知らせようと、走り回った。何時間も…
酒場に人だかりが出来ていた。嫌な予感が的中した。
毒殺…
だれもお兄ちゃんと一緒に飲んでいた人のことを知らない。女性だったことだけ…
涙がかれるまで、泣いて、泣いて、決心した…
無力な自分と決別することを。
薬学、薬草学、医療の事を学んだ。幸い奴隷商では奴隷の健康管理のため、資金投資する環境が出来ていた。それを利用した。
勉強に勉強を重ね、奴隷商では一定の地位を獲得できた。
でも、無力な自分に満足することは出来なかった。
日々、奴隷の健康管理をするだけ…
ただの奴隷商の手下でしかない…
そんな時、ルビィお姉ちゃんがやってきた。
契約師に不快感はない。わたしも同じような事をしているから…
華奢な体にオドオドした仕草。こんなんで生きていられるのか、と思った。
でも、話しているうちに、優しくて、全てを受け入れてもらえる感覚が新鮮だった。
一緒にいる時間はとても楽しかった。
そして、案の定、最悪の結末を迎えた…
弱々しい彼女は他人の為にできる限りの抵抗をした。ボロボロになりながら…
ルビィお姉ちゃん、あなたは強い人です…
もう二度とあんな思いはしたくない。わたしの積み上げてきたものはこの時のため…
そして、わたしは決心した。
絶対にお姉ちゃんを守ると…
ルビィの成長が気になる方は…
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