02.最上家の家臣の娘でした
あれから2年の月日が、経過した。
父は氏家伊予守定直。出羽最上家の筆頭格でした。
今のお殿様は、最上義守様。鮭様こと、最上義光公の御父上です。
時折父が、母に、お城での出来事を語っているのを聞くことができた。
そして今、母は臨月を迎えている。史実通りなら、氏家尾張守守棟のはず。
義光公と共に、最上家全盛期を築き上げた、策士氏家守棟。そして鮭様と、同い歳だったような・・。
「ははぁうえ様かえでの弟御で、ござりましゅるかぁ?」
はじめ舌足らずの話し方が、煩わしかったが、精神が肉体に引っ張られるのか、最近気にならなくなってきた。
数え3歳生後2年の乳児である。
臨月の母のお腹に、そっと手を当てて、上目遣いに訊ねてみた。
「母にはわかりまへんが、御家の為殿様の為にも、男児を授かりたいもんどす。」
京の公家より、嫁いできた母の京訛りは、とても優しく気品を感じる。
「かえでぇには、わかりましゅ。元気で賢いおのこでござりましゅ。」
まあ知ってるから、断言するけど。
「まあまあ楓様。お母上を困らせては、なりませんよ。」
母の侍女のお八重が、そっと私の前に、イ草の円座を置く。
その円座にちょこんと正座して、膝の上に手を置き、手のひら全体を床につけて、深々とお辞儀する。
「失礼を申上げました。母上しゃまどうぞ、お健やかな御子を賜れましゅように。」
妊娠中毒症の気もないようだ。手足もむくんでいる様子がない。
「ありがとう楓。」
母は優しい笑みをうかべる。
部屋付きの侍女を連れ、母の部屋を退室した。
〇氏家雅子〇
「奥様何かございましたか?」
楓が退出した後、物憂げな顔をしていたのを、お八重に見られてしまったようです。
「数え3つの子(2歳児)が、あのような口上と、立ち振る舞いできるものであろか?誰ぞ、躾けてくれたのでっしゃろか?」
お八重が顔を左右に振る。
「お殿様よりも、そのようなご指示はありませぬ。侍女たちからも、かような話は、聞いておりません。」
舌足らずは、致し方なしとして、あまりにも出来た子です。
この話を夫定直殿に、するべきかしないべか・・・・。
何を今更、迷うことがありましょうか、都よりこの地に嫁いだ時より、我は氏家家のものであります。
殿に隠すことなど、何もありません。
最上家のお話読みたかった。「ないなら書いてしまえ」と勢いだけで、書いてしまいました。
早速の捏造申し訳ございません。だって、定直さんの奥さんの資料ないのですよ。
後山形弁難しくて、無理です。読者の皆様も、読み辛いと思いまして。
方言は2話から省きました。脳内変換にてお願いします。
雅子さんのインチキ京訛りは、しばらく続けてみます。
毎日一話更新を目標として、頑張ります。
02/13改行修正。