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鮭様大好き♡秀吉絶対ぶっ潰す!  作者: みたらし丹後
最上家細うで繫盛記
28/66

27.閑話 神域お泊り二日目

〇氏家楓〇

「あ~はっはっは。楽しいのじゃ。楽しいのじゃ。」

 爺さんが創造した。ボードゲームに、朝からテンション爆上げのよも姉ちゃんこと。四方那草姫(よもなくさひめ)である。

「なんじゃ? フウ振り出しに戻るのか? 下手じゃのう。われは5が出た。1.2.3.4.5・・なんじゃと? 投資が失敗して10万ドル失うじゃと? 不幸じゃ。われ不幸なのじゃ。」


「神様も(おのれ)の運は変えられないのかの? 」今回は爺さんもゲームに参加である。


「当たり前じゃろ。そんなことできたら。今頃われが最高神じゃ。フウお茶お願いなのじゃ。」


「はい。お母さま。お茶受けにお新香とお菓子もお持ちしますね。」フウお姉ちゃん凄く話し方が流暢(りゅうちょう)になった。お茶を煎れに奥の社務所(しゃむしょ)※1へ向かった。社務所(しゃむしょ)は、よも姉ちゃんが新たに作った。神域の建物である。


「しかし。大崎殿。よくフウの名を分かったの。気になるのじゃ。教えて(たば)れよ。」コタツの掛け布団に両腕を入れて。チラチラと爺さんを見る。よも姉ちゃん。


「あっ。それ私も知りたいかも。」私も興味を示す。


「うむ。・・フウちゃんの神気安定してきたし、よかろう。フウちゃんが戻ってきたら。話をするかの。ほれ、蜜柑でも食って待っとれ。」

 爺さんがコタツの上のかごをあごで示す。


「なんじゃ。勿体ぶりおってからに。」そう言いながら蜜柑に手を出す。よもお姉ちゃん。

 朝餉の後の。まったりとした時間が、過ぎていく。


 社務所(しゃむしょ)から、急須とお茶とお茶請けをお盆に載せた。フウお姉ちゃんが戻ってきた。皆にお茶を出してくれる。魔法瓶(まほうびん)まで用意してある。


「その魔法瓶(まほうびん)爺さんが? 」


「そうそう。お茶には必須じゃろ。で。お前はフウの事より。魔法瓶(まほうびん)の事を詳しく聞きたいのか? 」


「いやいや出鼻くじいてごめんね。それはないない。」私が慌てて否定すると。爺さん気を取り直して。


「フウさんや。お前さんのその名の由来をこれから話そうと思う。もう四方那草姫(よもなくさひめ)との(えにし)もしっかり結ばれた。聞きたいかえ? 」


「はい。お願いします。大崎様。」綺麗な所作で頭を下げる。フウお姉ちゃん。可憐だねホントに。


「大崎様なんて神様が言っちゃいかんよ。大崎ダーリンとか大崎マイスイートハニーでよいからの~。」早速お約束の暴走を始める。エロ爺い。


「うおっほん! 」

 よも姉ちゃんと私の咳払いが、ハモる。


「あー。始めるかの。」目が泳ぐ爺さん。

「そもそもな。今のフウさんちゃんと話せるじゃろ? 」


「そういえば。そうなのじゃ。前の楓は全く話せなかったし。今のフウの神格は、前と比べ者ならん位上がっとるのじゃ。なんでなのじゃ? 」

 薄皮を剝いていた蜜柑を置く。よも姉ちゃん。


「つまりそれは真の名。真名(しんめい)を名乗っていなかったからじゃよ。名は体を表す。とも言う通り、偽りの名だった楓さんは。神気も集まらない。無論口から言霊も発することができない。不完全な状態だったんじゃよ。」

「つまり。よも姫が、勘違いして付けた名だったからじゃよ。」


「なんじゃと。だってフウの本体の逗子(ずし)は楓の(もく)で造ってあるのじゃぞ。」そう言って御神座の逗子(ずし)を指さす。よも姉ちゃん。


「そこからして間違いじゃよ。あれは楓材じゃない。フウ材じゃ。和名伊賀楓(わめいいがかえで)とも言うが。この時代の日本には生えていない。木の名じゃよ。」

「じゃから本名フウで蘇ったのじゃ。おそらく台湾か中国で造られて日本に渡った。逗子(ずし)なのじゃろな。」


「よくフウ材で造ってあるってわかったね。」私が疑問を投げかけてみる。


「リキッドアンバーじゃ。」

 

「リキッドアンバーって香水の・・。あっ!フウお姉ちゃんの香りか。」


「察しがよいのう。楓。まあ現物を見た方が、早い。」

 爺さんが手のひらを上に向けて。念を送ると。そこに小さな瓶が現れた。

「ほんと便利じゃのう。ここ(神域)は、思い描いた物。記憶にある物が再現される。電化製品と精密な物は試したが、無理だったが。」

「ほれ。皆の衆。手の甲を向けてみい。」

 爺さんがその香水瓶を各々の手の甲に振りまく。

「嗅いでみるとよいよ。」

 くんくんと嗅いだ。よも姉ちゃんが「あっ!」っと驚く。


「これフウの香。フウのよい香なのじゃ。」

 それを見た。フウお姉ちゃんは耳まで真っ赤になる。


「お母さま。恥ずかしいですわ。嗅がないでくださいませ。」


「フウさんは恥ずかしがり屋さんじゃの。ほら昨日 逗子(ずし)を開けて。確認したじゃろ? あの時この香がしてな。それでフウと分かったわけじゃよ。リキッドアンバーの原料はフウの樹脂じゃよ。」


「そうか。フウすまんかったの。何も知らない母を赦して(たば)れ。」うりゅうりゅと涙をにじませ。泣き出すよも姉ちゃん。フウお姉ちゃんが優しく抱きしめて。「いい子いい子」と頭を撫でている。どっちが親なんだかね。


〇大崎重雄〇

「さてさて湿っぽいのは。ワシは好かん。そろそろ昼餉の時間じゃ。なんか美味い物を馳走しよう。」


「なんじゃその昼餉って。」


「やはり知らんか。この時代は昼飯ないものな。後100年もすると。朝餉。昼餉。夕餉と日に三食、食べるようになるのじゃよ。」


「ほうほう。しかしあれじゃの。前から思っておったのだが。後100年とかこの時代だとかまるで稀人(まれびと)みたいな事言うの。お前らも稀人(まれびと)じゃろ。」昔を思い出すように遠い目をして語りだす。よも姫。


「なんだ。その稀人(まれびと)って。知らんぞ。」


「なんと話せばよいかな。つまりなのじゃ。先の世から過去の世へ渡ってくる者を稀人(まれびと)と呼んでいる。」


「!!!」

 楓とワシが激しく反応する。


「マジか。ワシらと同じ転生者がおったのか! 」

「お姉ちゃん! それホント!?」


「なんじゃ。なんじゃ。そんなに食って掛かかられても。われ困る。人見知りなんじゃぞ。われ。」

 半泣きになっている。よも姫を見て。そうじゃったニートじゃったなこいつ。と思い出す。


「楓。二人してまくし立てても。このポンコツニート神は対処できぬよ。先ずはワシから訊ねるよ。」


「うん。分かったよ。」


「なんじゃ。とても馬鹿にされた気がするのじゃが。」


「あらあらまあまあ。それでは。その昼餉とやらを饗応(きょうおう)してもらいながら。ゆっくりお話ししましょう。ね。お母さま。」


「フウ怖かったのじゃ。」おいおいとフウさんに抱き着いて泣き出すポンコツ姫。フウさんがお母さんじゃろ。


◇◇◇


「このかれえとやら。(から)いな。(から)いが、美味い。」匙でカレーをおいしそうに。頬張る姫。それお子様用の超甘口なんだが。


「それで。平将門(たいらのまさかど)源為朝(みなもとのためとも)稀人(まれびと)だったと。」


「もっといたはずなのじゃが。われの知ってるのは。その二名なのじゃ。」「このらっきょとやらは変な味じゃの。」


「なんで知らんのかのう。」


「だってわれ。藤原家が、多賀国府(たがこくふ)の官人となりし時に出雲より遷座(せんざ)※2され、この地に祭られておったのじゃ。そして泰衡(やすひら)の代に藤原は、(みなもと)に滅ぼされ、われも打ち捨てられたのじゃ。その後は名もなき産土(うぶすな)の神としてな、ひっそりとこの地に埋もれておったのじゃ。」


「なるほど。その後は引きこもっていたと。そして、多賀城は伊達の支配地域だな。その付近なんだな。ここの場所? どうする? 落ち着いたら出羽に遷座(せんざ)するかね? 」


「いずれ頼むことに、なるかもなのじゃ。今は静かなここが良いのじゃ。」このポンコツ姫。根っからのニートだな。


「そのなんじゃ。たまに大崎殿が来てくれてな。神楽舞(かぐらまい)祝詞(のりと)を奏上してくれるだけでな。ぶっちゃけ十分なのじゃ。頼ってもいいかの? 」

もじもじしながら。こちらを見る姫。可愛いが、口に着いたカレーで台無しだ。


「ああ。お安いご用だよ。それで。お前さんの名をやたらと使うが構わんかね? 」


「人の世の(ことわり)は関係ないでな。全く構わんのじゃ。」


◇◇◇


 食後の腹ごなしに。いいもの見せてやると。三名を連れて。本殿から百メートルくらい南に歩いてきた。

 ターゲットの甲冑やスイカを創造して並べる。

 昨日創造した。自動拳銃のシグ・ザウエルP226を抜いて。狙いを定める。「大きな音するからの。耳塞(みみふさ)いだ方がいいぞい。」三人に警告する。


「いいから。はよ。見せるのじゃ。」ポンコツ姫以外は二人共。素直に耳を塞いでいる。


 引き金を引く。「パアン!!」と銃声が響き渡る。同時に反動が腕に伝わる。ちゃんと作動した。引き続き狙いながら。引き金を引き続ける。


「パアン!!パアン!!パアン!!パアン!!パアン!!・・・。」

 装弾した15発を全部撃ち尽くし。ターゲットに近づく。甲冑には見事に穴が開いて。スイカはバラバラに吹っ飛んでいた。


「凄いのじゃ。なんか為朝(ためとも)を思い出すのじゃ。あ奴も凄かった。」てっきり腰でも抜かしていると思ってたら。姫はケロっとしている。


「ほう鎮西八郎(ちんぜいはちろう)は伝説通りのやばい奴だったのかの? 」


「弓で大きな船沈めたぞ。二町(約240メートル)先の敵武者の首撃ち落としてたのじゃ。」やばい! 鎮西八郎(ちんぜいはちろう)やばすぎだな。

「口癖は、[皇国(こうこく)報恩(ほうおん)に感謝せねば。]じゃったな。懐かしいのじゃ。手をこうな。顔の横にかざしてな。」きれいな敬礼をする。姫神。


「爺さん。それって。」顔がこわ張る楓。


「ああ。源為朝(みなもとのためとも)は転生した。日本軍人だったのかもな・・・。」


◇◇◇


「美味い! この赤身の魚格別に美味いのじゃ! この橙色(だいだいいろ)の魚も美味い。」マグロと鮭のにぎりを食べてご満悦の姫。

 フウちゃんに夕餉何食べたい? とリクエスト聞いたところ。「さっぱりしたお魚食べたいです。」との返答に応えて、握り寿司を出してみた。


「大崎様ありがとうございます。とっても美味しいです。」

 幸せそうに寿司を頬張る。フウちゃん。やばい! キュンキュンくるぞい。


「お義母様。フウさんをお嫁にください。」姫に勢いで、土下座求婚してみた。


「誰がお義母様じゃい。寝言は寝てから言えなのじゃ。」予想通りの返答が。


 フウちゃんにアイコンタクト取ると。

「お母さまのお許しがなければ。」と困った顔。よし! 脈はあり!!


「しかし。この寿司とやら。たまらんの。お茶も合うしの。おこさまらんちと違う方向の好みなのじゃ。」「ズズズ」とお茶を飲み。ガリをかじる姫。


「ワシ婿(むこ)にしたら。毎日美味い物を(きょう)じるのにな。」先ずは正攻法で、胃袋攻撃で攻める。


「む。誠か。(いや)だめじゃ。だめじゃ。フウは誰にもやらんのじゃ。」もう揺らいでるぞい。


「だからワシが婿(むこ)なの。フウさん何処にもいかないよ。娘をいつまでも独占するのは、親としてどうかと思うのう。」欲と道理で攻めてみる。


「そ・・そうか。大崎殿がいつもここにおると・・。む・・これは。良いかも・・。われもフウの幸せが・・・。」よしよし。もう一押し。


「何言ってんだか! よも姉ちゃん。気を付けて。爺いまた言霊(ことだま)使ってるよ。」くっそ。楓に後ろから刺された。

 ハッとする。姫。


「やるではないか。この奸物(かんぶつ)め。お前の実力は嫌な程知っておる。そんなまわりくどい事せんでも。フウの気持ち次第じゃ。」その意外な言葉に、不意を突かれるワシ。


「すまんな。楓。人の道を踏み外すところだったわい。」と楓に耳打ちすると。


 「よかったね。爺さん。」と返された。つまりあれだ。一番のガキはワシだったわけだ。


◇◇◇


「姫よ明るくなったら。帰るが。ひとつ聞いていいかな。」


「なんなのじゃ。われで分かる事なら。」

 間もなく就寝を迎える前に、最後の懸念を聞いてみることにした。


「ワシら以外に今の時代に稀人(まれびと)の気配がないか。探れないかのう。」


「楓と同じ感じの者ならわかる。お陰で神力は今充実している。しばし待て。」

 瞑目する姫。

 三分くらい経過した。目が開き。ワシを見て。ニコリとする。

「安心せい。東にはおらんよ。西は遠すぎて分からん。」


「助かった。感謝する。今後ともよろしくお願いいたします。」素直に感謝する。


「やっと神らしいこと。出来たようじゃな。」

 そこには、本日一番の笑顔を見せる女神がいた。


※1 社務所 神職や巫女が待機する場所。

※2 遷座 神社の本殿の神体を従前とは異なる本殿に移すこと。


次回投稿予定は。明日03/10の予定です。

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