01.どうやら転生したらしい
本編突入です。
「ホギャア!ホギャア!ホギャア!」
あれ?
赤ん坊の泣き声がする。近くに赤ん坊がいるらしい。
目が見えないが、ぼんやりとした明るさは分かる。
体が動かない。話せない。
意識ははっきりとしないが、ある。耳は聞こえる。
たしかICUで・・・。
「お殿様おめでとうござります。お元気なご息女でございまする。」
女の人の声だ、なんか時代劇みたいな話し方だな。
「左様か、お雅ようやったでかしたぞ。」
今度は男性の声である。低めの落ち着いた声だ。
「殿様申し訳けあらしまへん。うっうぅぅぅぅう。」
なんか女性が泣きながら謝っている。
どうやら一命をとりとめたらしいな、誰か近くで、時代劇を見ているようだ。
「ホンギャ!ホギャア!ホギャア!」
赤ん坊の泣き声は謎であるが。そう思っていると、スーっと意識が遠のいた。
◇◇◇
「ホンギャア!ホギャアー!ホギャア!」
寒い寒い寒い・・。次に意識を取り戻したと同時に、猛烈な寒さを感じる。
うん?
ぼやけているが目が見える。そして顔が冷たい。
何処だろここ?女の人が私を見ている。顔が近い看護師さん?
「ホギャア!ホギャア!ホギャア!」
その女性は髪を結んでる・・なんか既視感がある。
なんだっけ?
ああ時代劇の、戦国時代とかの髪形だ。
女性はにこりとほほ笑んだ。歯が黒い、多分お歯黒であろう。
ほっそりした目鼻立ち面長ながら、浮世絵美人である。
「ホンギャ!ホギャア!ホギャア!」
「楓・・妾はそなたの母じゃ。泣き止んで給れ。」
楓?うん?抱き上げられてる?たもれ?
この寒いのなんとかしてくれ。
「雅子様今日はほんてんに、寒いだず。」
別の女性が、火鉢みたいなものを持ってきた。
「楓様寒いのだず。」
部屋の隅に火鉢を置いて、こちらに近づいてきた。くるくると産着の上に、羽織を巻いてくれた。
あーあったかい生き返った。
「ホンギャ!ホギャ・・・キャッキャッ。」
「ほんてんめんごい姫様だ」
雅子さん(母)は、泣き止んだワシを見て、ホッと一息安堵した顔になる。
「お八重感謝します。」
さて・・一息つけたので、今の状況を整理してみようか。
お殿様
室町っぽい髪形
お歯黒
お八重さんは山形弁
姫様
ワシ(楓)は赤ん坊で、母さんが雅子さん
孫と一緒にアニメで見たな・・いわゆるあれだ。転生ってやつだ。
昔の日本に転生か・・室町末期の山形。大名家かそれに準ずる家格に、姫として転生したらしい。
伊達かな、最上かな、天童かな、大宝寺かな。たしか大宝寺は、評判悪かったよな。
あとたくさんの国人がいたけど、覚えてない。
02/13改行修正。