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ずっと一緒にいれたら

「おはよう、ミク」

 朝、目覚めると、先に起きてソファーに座っていたリコがミクに声をかけた。目を擦りながら部屋の中を見渡した

「二人は報告書を渡しに行ったよ。もうちょっとで帰ってくるかも」

 と、部屋にリコしかいない理由を説明すると、少しずつ目が覚めてきたミクがベッドから降りて、リコのところに歩いていく。隣に座ってお喋りをしながら、クルミとモモカが帰ってくるのを、のんびりと待っている


「ごめん、トイレ行ってくるね」

 と、部屋の中にあるトイレに向かったリコ。パタンと扉が閉まる音が聞こえると、急いでベッドある本を手に取り、パラパラとめくりはじめた

「何も……」

「ミク、どうしたの?」

 トイレから見えないように背を向けていたミクに、声をかけたリコ。慌てて本を閉じると、リコの方に振り返った

「いえ、なにも……」

 苦笑いをしながらベッドから降りて、リコと一緒にまたソファーに座り、二人を待ちながらのお喋りがまた進む

「ご飯食べた後、どうしよっか。練習禁止って言われちゃったし」

「お家には帰れないんでしょうか」

「どうかなぁ……昨日の今日だからね。まだ無理かも……」

 と、話しているとガチャと部屋の扉が開いて、クルミとモモカが部屋に入ってきた


「ミク、起きてたの」

「今、起きたんだよ。報告書、大丈夫だった?」

「さっきまで寝てたみたいで、後で見るってさ。一応、報告書も出したし、これからどうしようか」

 ミクとリコが座るソファーに近寄りながら会話をしていると、急にミクが心配そうに話しに入ったきた

「みなさん、お仕事は……」

「私たちの仕事は、ミクと側にいることだから心配しないで」

「……でも」

 と、リコの返事を聞いても心配そうにしているミクを見て、クルミがリコの隣に座ると、リコの頬を軽くつついた

「リコ、頼りになってないんじゃない?」

「えー?頑張ってるけどなぁ……」

 しょんぼりするリコに、慌てて立ち上がると、大声で叫びだした

「いえ。みなさん、素敵でとても頼りになって大好きです!ずっと一緒にいたいです!」

 と、ミクからの突然の言葉に思わず固まるリコ達。何も言わず動かない三人に、ミクが不安そうに三人の顔を交互に見ている

「あの……みなさんは……」

「ありがとうミク!私達も大好き!ずっと一緒にいる!」

「リコさん、苦しいです……」

 とミクの話を遮り勢いつけて力強くミクを抱きしめたリコ。クルミとモモカが二人の様子を、微笑ましく見ている。ミクが足元がふらついて後ろに倒れそうになっていると、突然ぐぅ。と大きな音が聞こえた

「お腹空きました……」

「じゃあ、ご飯食べながら、今日どうするか決めようか」

 と、クルミがソファーから背伸びをしながら立ち上がるとリコがミクから離れ、今度はクルミに抱きついて、部屋の入り口に一緒に歩き出す。その側でミクは、出掛けると分かり大急ぎでベッドから本を取っていた


「今日はミクと一緒のご飯にしようかなー?」

「いつも、一緒のご飯を食べてるじゃん」

 ご機嫌で話をしながら先に部屋を出たリコ達。その後を追うようにミクも絵本と本を持って部屋から出てきた。本を両手一杯に抱えて歩くミクに、モモカが心配そうに声をかけた

「ミクちゃん、二冊も持っていくの?」

「はい、ダメでしょうか?」

「ダメじゃないけど、汚さないようにね」

 

「モモカ、ミク!置いてくよー」

 いつの間にか、遠く離れていたリコとクルミが二人を呼ぶ

「あら。ミクちゃん、急ごう」 

 と、歩きはじめたモモカ。部屋の前に立ち止まったまま、モモカの背中を見て、絵本と本をぎゅっと強く抱きしめた

「……大丈夫だよね。私の本になったんだから……」

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