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見えたもの、知り得たこと

「……三人とも、起きろ」

 うっすらと聞こえる聞き覚えのある声に、少しずつ意識を取り戻していくリコ達。起き上がらない三人の様子を見て、はぁ。とため息も聞こえてきた

「今日は、三人とも他人の庭で野宿の予定か?」

 少し怒った雰囲気のあるその言葉で、三人一緒にガバッと起きるや否やキョロキョロと辺りを見渡していく


「ミク!」

 二階のベランダを見て叫ぶリコ。もうベランダには誰も見当たらない

「いない……」

 誰もいないことに気づいて、しょんぼりするリコ。クルミとモモカも、ベランダを見つめて少しボーッとしている

「一体、何時間ここで寝ていたんだ?」

「あっ……。レイさん……」

 三人の側から聞こえる、ため息混じりの声の主に気づいたクルミとモモカが苦笑いで誤魔化している。一方、レイが来たことに気づいていない、リコが空を見上げてあたふたしている

「えっ?……暗い」

 真っ暗な空を見て呆然としているリコ。その様子を見ていたレイがまたリコに話しかける

「リコ、帰るぞ。それとも、ここで寝とくのか?」

 少し怒った雰囲気の声で、やっとレイがいたことに気づいたリコ。驚きうろたえていると、クルミとモモカがリコに手を差し出し、手を繋いで三人、トボトボと歩き出す

「本部に帰ります……。ごめんなさい……」






「で、何を見た?」

 本部に着くなり、レイの部屋に呼ばれたリコ達。気まずそうに、三人ともレイと視線を合わせないようにして、話を聞いている

「三人とも、眠くなって寝てた訳じゃないだろう?」

「……はい」

 小さな声で答えるリコ。クルミとモモカの顔をチラッと見て、一つ深呼吸をして、

「ミクを見ました。けど、ミクはここにいるはずなのに……」

 リコが恐る恐る話した内容に、モモカが頷いている

「それ以外は?」

「いえ、何も……」

「そうか……」

 リコの返事を聞くと険しい表情で黙ってしまったレイ。更に暗い雰囲気になり、リコ達が顔を見合わせている


「今日の事は、厳重注意として終わらせるが、本部内は今、色々と騒がしい。あまり勝手な行動は慎むように」

「はい、ごめんなさい……」

 レイの注意に、三人とも頭を下げ謝り、部屋を出ようとドアノブに手をかけた時、リコが何かを思いだした表情になり、クルリと振り返った

「あっ……そうだ、レイさん」

 と言うと、リコがクルミとモモカの間を通り、レイの前に戻っていく

「うたを聞きました」

「……うた?」

 リコのその言葉に、レイがまた一瞬、険しい表情になった

「はい。変わったうただったような……ねぇ?」

 後ろにいるクルミとモモカを交互に見て、問いかけるリコ。話しかけられた二人は、倒れる直前のことを思い出していた

「そういえば、ミクっぽい人が現れた時、本と一緒に……」

「私も聞こえたなぁ。聞いたことない曲でしたよ」

 と、そう伝えるとクスッと笑ったレイ。その微笑みにリコ達が戸惑っていると、おもむろに椅子から立ち上がると、リコ達より先に部屋を出てると、少し嬉しそうな様子で話しかけ、居なくなってしまった

「報告ありがとう。三人も、ゆっくりと休むように……」

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