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大事な本の守り人

「ねぇ、ちょっと君、大丈夫?」

 耳元から誰かが呼ぶ声が聞こえ、体を揺らされて起こされる。うっすらと目を開けると、明るい日差しとぼんやりと人影か見えて、ゆっくりと人影の方に顔を向けた

「あれ?お母様……」

 寝ぼけつつ体を支えられ少し体を起こす女の子。あのままずっと気を失っていたのか、体は朝露で少し濡れて、外で寝ていたのに気づいて、うろたえる女の子の様子を、知らない女性が様子を見ている



「ねえ。君、一人?大人の人いる?」

「えっと……あなたは?」

 辺りを見渡ながら、ショートカットの女性に声をかける女の子。座っている女の子にあわせて屈んで話しかける

「私?ちょっとここのお家の人に、用があったんだけど……。来るのが遅かったみたいだねぇ……って、あれ?」

 両手で大事そうに抱えている本に気づくと、急に顔が強張る女性。女の子も、女性の変化に気づいて、見せないようにぎゅっと強く本を抱きしめる

「君の持ってる、その本……」



「いたいた。アカネ、走るの早いよ……」

 息を切らして、二人のもとにツインテールの女性が駆け寄ってきくると、大分遅れてきた相方に、アカネと言われた女性が、はぁ。とため息ついた

「そっちが遅すぎなの。まあどっちにしろ会えなかったみたいだけどね」

「あれ?この子……」

 隣にいる女の子に気づいて声をかける。一瞬ビクッと驚いて顔を隠した

「本と一緒に、残していったみたいだね。まあその方が安全だもんね」

 話をしながらじーっと女の子を見る二人。視線に戸惑う女の子が話しかけようと二人の顔を見上げると、それを遮るように、アカネという女性が女の子に問いかける

「君、ミクちゃんだよね?私は、リコ。あの子はモモカだよ。よろしくね」

 手を伸ばして挨拶をするリコ。ミクも手を伸ばして握手をして、そのまま立ち上がるが、ふらふらと足元がおぼつかないミク。倒れないようにあたふたとしていると、二人から少し離れた場所からモモカの声が聞こえてきた

「アカネー。誰もいないみたいだね。物音一つしないし気配もないや」

 いつの間にか勝手に家の中に入って、誰かいないかと探していたモモカ。二人のもとに戻ろうとすると、庭で何か騒いでいる声が聞こえてくる。何事かと慌てて駆け寄ると、ふらふらして倒れて動けなくなったミクを、おんぶして助けようとしているリコと、それを拒否するミクで言い争っていた



「ほら、お家の人しばらく帰ってこないと思うから、一緒に行くよ!」

「えっ?あの……」

 根負けしてリコにおんぶされたミク。どこかへ行くとリコが言い出して急に不安そうな顔になり、おんぶから降りようと、また二人で騒ぎはじめた

「私達の仕事場だから安心して。それとも、ここに一人居とく?」

「……はい」

 リコの言葉に、暴れるのを止めて頷くミク。そんな二人の様子を見ていたモモカが、はぁ。とため息ついて二人の所に近づいてきた


「良いわけないでしょ?何かあれば、この子を連れてくるように言われたのに……」

 二人を落ち着かせるように話すモモカに、ミクが困った顔で話しかける

「でも私……。お母様もお父様も、みんな帰ってくるから……」

「そうだね。でも、君は一緒に来ないといけないんだ」

 と話しながら、落ちないようにリコの背中とミクの胸元に抱えた本を指差して、モモカが笑う

「その本。ちょっと調べさせてね」

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