第9話 クラス対抗戦
対抗戦のフィールドとなる場所は、とても大きい闘技場のような場所で、障害物や隠れる場所として森がある。このイベントはとても人気なようで、観客席には学校関係者や冒険者など、多くの人がいる。
「これより、第67回1学年のクラス対抗戦を開催します。各クラスの戦闘科の生徒は、定位置についてください。」
「いいかお前ら、試合が始まったらなるべくチームで動くんだ。気の陰に隠れて敵を奇襲する形で倒していけ。」
担任がクラスメイトに作戦を指示するが、みんなは自分の望みを叶えることで頭がいっぱいなのだろう、話を聞いている者はほとんどいなかった。
「それでは、試合開始!」
案の定試合が始まった途端、いい所を見せて自分がMVPになろうと、我先にと飛び出していく。
しかし他のクラスはきちんと作戦を立ててチームで行動しているようで、個人で行動しているうちのクラスは、まさに格好の的だった。
「ファイアボール!」「ウィンドカッター!」
ろくに索敵もせずに突っ込んでいた彼らは、木の陰に隠れていた他のクラスメイトに気づくはずもなく、あっという間に撃破されていく。
他のクラスは2,3人しか減っていないのに、うちのクラスは既に残りが10人ほどだ。
そこまで減ってようやくクラスメイトは危機感を持ったのか、まとまって行動をするようになる。
しかしやはり人数差があるせいか、1人、また1人と味方の数は減っている。
流星は他のクラスメイトをかなり多く倒していたが、槍使いということもあり、魔法を使う者に遠距離からやられてしまった。
そんな中大活躍をしていたのはふゆちゃんーー上条さんだ。圧倒的なスピードで敵を翻弄し、どんどんと敵の数を減らしていっている。
そうこうしているうちにフィールドに残ったのは、1組が上条さん、俺、そして開始から身を隠していた気の弱い少女の3人。2組は、他のグループよりも多い人数で行動していた5人組。3組は魔法使いの3人組だ。
ここまで人数を近づけたのは、やはり流星と上条さんの活躍が大きいだろう。
そんな中、2組と3組が遭遇した。これで数を減らし合い、うちのクラスが有利になると思ったが、ここで想定外のことが起こった。
「なあ、ここは協力して上条冬香を倒さないか?」
「どういうことだ?」
「このまま戦ったって、あいつに勝てるかは分からない。それより8人で戦ったほうが勝つ確率は高いだろ?」
「なるほどな、分かった。ただしあいつを倒したらもう敵同士だ。」
「交渉成立だな」
このやり取りを俺は隠れて見守っていた。
…おいおい、大丈夫か?
こうして敵は2組と3組の合同チームになってしまった。それに対してこちらは全員が個人行動、見つかってしまうのも時間の問題だ。
ガサッ
「あっ…」
「見つけたぞ」
最初に見つかったのは1組の金子という気の弱い少女だ。彼女は風魔法を得意とする魔法使いだが、その性格のせいか、戦闘は苦手であった。
「まずはこいつだな」
2組のリーダー格の男が金子さんに魔法で攻撃しようとした時、
「これはどういうこと?どうして2組と3組の生徒が一緒にいるのかしら?」
上条さんが現れた。
よろしければ評価、感想をお願いします!