第7話 対抗戦に向けて
秘密の修行を始めてから1ヶ月ほど、俺は剣術の熟練度を上げ続けている。ダンジョン内で活動するのは2時間ほどにおさえ、毎日ダンジョン内のモンスターを倒している。新しい能力を覚えるよりも、先に剣術を強化しておきたかったのだ。
相変わらず学校ではろくに剣も振れないことにしているので、クラスメイトには落ちこぼれだと思われるようになってしまった。
そんなある日担任が、
「クラス対抗戦が1ヶ月後に行われる。なのでこれからはチームでの戦い方などを重点的に学ぶことになる。優勝したクラスのMVPには好きな望みを叶える権利が与えられる。がんばれよ。」
「「「「「うおおおおおーーー!!!」」」」」
クラスメイトが歓声をあげる。よっぽど望みを叶えたいようだ。
その後、詳しいルール説明が行われた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
クラス対抗戦ルール
・1年の全3クラスが一斉に戦うバトルロイヤル方式で行う。
・勝負は各クラスの戦闘科20名により行われる。サポート科は装備を作ったり、支援魔法を使うことが許可される。
・会場は特殊な能力により構築されたフィールドで、現実に限りなく近いバーチャル世界で行われる。
・フィールド内では生徒の能力がそのまま反映され、自由に戦うことができる。
・致死量のダメージを受けると、自動的にフィールド外へ転移されるため、全力で戦って良い。
・最後まで残ったクラスが優勝となる。
・優勝クラスのMVP選手には、好きな望みを叶える権利が与えられる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上がクラス対抗戦のルールだ。
まあどうせ俺は適当な場所で死ぬつもりだし、俺には大して関係のないイベントだけどな。
「まあうちのクラスには上条さんがいるしね!優勝間違いなしだよ!」
「え?う、うん。精一杯がんばるよ」
少し困ったような顔で上条さんは笑う。
…やっぱり前にどこかで見たことがある気がするんだが、気のせいだろうか。
そんなことを考えていると、
「お?どうした将人。上条さんに見惚れてたのか?」
「そんなんじゃねえよ…ただどこか懐かしい感じがしてな。」
「ふーん、よく分かんないけど、クラス対抗戦頑張ろうな!MVPになってやるぜ!」
「おう、頑張れよ」
「なーに言ってんだ!お前もやるんだよ!」
「あ、ああ。頑張るよ」
「ったく、こんなんでほんとに大丈夫かぁ?」
俺は本気を出す気は無いけどな。
そしてここから1ヶ月間、俺は相変わらず適度な修行を続けるのであった。