第2話 俺の職業
ドアを開けて入ってきたのは、とても綺麗な少女だった。教室にいたやつらは、男女問わずその美貌に見惚れてしまっている。
「おい将人!絶対あの子だぞ」
「ああ、そうみたいだな」
と、それと一緒に担任らしき大人も教室に入ってくる。
「おいお前らー、席に付けー」
その言葉に、見惚れていた奴らは現実にかえり、各々の席に着く。
「えー、まずは入学おめでとう。君たちは今日からこの学校の生徒だ。これから君たちにはステータスプレートを配る。これがあれば、わざわざ専門機関に行って見てもらわなくても自分で確認できる。」
実を言うと、俺はまだ自分の職業を知らない。今日の入学式の少し前からもう職業は見れたらしいのだが、俺はめんどくさいので行かなかったのだ。
「いいか、どんな職であれ、それが君たちの人生に大きく影響してくるのは間違いない。これからの学校生活を有意義に過ごしてくれ。以上だ。」
そう言って今日は解散となった。
「おい将人!めちゃめちゃ可愛い子だったな!」
「ああ、そうだな」
(どこかで見たことある気がするんだが…気のせいか)
「あっ、そうだ将人。お前は自分の職業を確認したか?」
「いやまだだ。家に帰ってから確認してみる。」
「そっかそっか、俺もそうするよ。じゃあ明日学校で教え合おうぜ」
「ああ、そうしよう」
「じゃ、また明日なー」
「じゃあな」
流星と別れ、俺は家についた。俺の父親は海外出張に行っており、母親もそれについて行っている。
俺は高校生にもなったのでもう大丈夫だろうと、一人暮らしをしている。
俺はさっそくステータスプレートを出して、職業を確認することにした。
「確か裏に指紋認証をするところが…」
そこを触ると、プレートから映像のようなものがでて、自分の目の前に板のようなものになって現れた。
「これはずいぶんとハイテクだな」
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新庄将人
《職業》
修行士
《能力》
【忍耐】
《特殊能力》
【ナビゲーター】【ダンジョン生成】
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修行士?聞いたことがない職業だ。ネットで検索してみるが、一切情報がない。
とりあえずタップして詳しいことを見てみる。
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《職業》【修行士】
修行する者。修行により、後天的に様々な能力を得ることが出来る。
《能力》【忍耐】
通常なら厳しくて耐えられないような修行も、体がもつ限り、耐えることが出来る。
《特殊能力》【ナビゲーター】
持ち主のサポートをする。「起動」と最初に言うことで起動する。以後、念ずるだけで応答するようになる。なお、その声は本人の頭に直接話しかけるので、他の人には聞こえない。自分も言葉を頭に思い浮かべるだけでよい。
《特殊能力》【ダンジョン生成】
プライベートダンジョンを生成することが出来る。
プライベートダンジョンは自分しか入ることは出来ず、ゲートを開くことで自由に出入りすることが出来る。なお、そこに入っている間は現実で時間が流れないので、好きなだけ修行することが出来る。
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ふむ。とりあえずナビゲーターを起動してみるか。
「起動」
『ナビゲーターシステムを起動します。
起動者を確認。新庄将人。』
『これは頭の中で喋るだけでいいのか?』
『はい、それだけで意思疎通できます。』
『いちいちナビゲーターというのはめんどくさいんだが、なんて呼べばいい?』
『新庄様のお好きなようにお呼びください。』
『じゃあナビと呼ぶことにしよう』
『かしこまりました。』
明日流星にはなんて説明すればいいんだろうな…
こんなの今までに聞いたこともないし、執拗に絡まれることは間違いないだろう。俺は憂鬱な気分になりながらも、ベッドに入るのであった。