第10話 怒り
上条さんは怯まずに男たちに話しかける。
「どうもこうもねえよ。ただあんたを倒すために一時的に協力してるだけさ。」
「卑怯だとは思わないの?」
「思わないね。自分の望みを叶えるためだったらなんだってするさ。おい、見せてやれ」
「ああ。ファイアボール!」
放たれた魔法は上条さんーーではなく、腰が抜けて座り込んでいる金子さんに向かっていった。
「危ない!」
なんとか金子さんを抱き、横へ転がる。
「うっ…」
金子さんはなんとか助かったが、上条さんは避ける時にファイアボールが足に当たってしまったようだ。
「おいおい、その足じゃもうまともに戦えないんじゃねえのか?」
…これはもう負けかな。金子さんはもとより、上条さんも怪我した足でろくに動けそうもない。俺もはやいとこリタイアしなきゃな。
そう思った時、
「最後に教えてやるよ。俺がMVPになった時の望みはな、お前を手に入れることだよ、上条冬香。」
「え?」
「お前はこの先俺のものになるってことだ」
「そ、そんなの許されるわけないでしょ!」
「いいや、それが叶うのがこの対抗戦なんだ」
「いや!そんなの絶対にいや!」
「はっ、お前の意思なんざ関係ねえんだよ、くたばりやがれ」
ザッ…
「あ?誰だてめぇ」
「新庄くん!?ここにいたらダメよ!あなたの実力で叶う相手じゃない!逃げて!」
…ああ、本当は俺もそうしたいよ。こんなところで目立ちたくないしな。でも、あれを聞かされちゃ黙ってリタイアするわけにはいかねえよ。
「それは出来ないな。…小さい頃言っただろ?強くなって、ふゆちゃんを守れるようになるって。」
「え?え、どういうこと?新庄将人…まさと…まさか、新庄くんがまーくんなの?」
「なんなんだてめえは?ふゆちゃんとか馴れ馴れしく呼びやがって。そいつはお前のもんじゃねえ!これから俺のものになるんだよ!くたばれ!ファイアボール!」
バシュッ
俺が横に剣を振るうと、ファイアボールは跡形もなく消えてしまった。
「は?一振りで魔法を打ち消しただと…?」
「1つ言っておく。ふゆちゃんは俺のものじゃないし、ましてやお前のものでもない」
「あ?何言ってんだクソが!」
「ふゆちゃんは、ふゆちゃんのものだ。こいつを持ち物みたいに扱おうとしてんじゃねえよ!」
「知るかボゲェ!おいお前ら!全員でこいつをぶちのめすぞ!」
「「「「「「「おう!」」」」」」」
『ナビ。俺はこいつらを倒せるか?』
『2,3人なら間違いなく倒せますが、8人ともなると少し厳しいですね。』
『そうか。なら倒せるまで強くなるだけだ。』
「ダンジョン生成」
そして俺は、大切な存在を守るため、戦場のど真ん中で修行を開始するのであった。




