トラの威をかすキツネ_3
男の子は、あやしそうな人を見つけてはなぐったりけったりするようになりました。その人がほんとうに悪いことをしたかはかんけいなく、ただ、男の子が悪いことをしそうだとかんじた人がなぐったりけったりされました。サングラスをつけて、黒いふくをきているだけの人が男の子におそわれることもあれば、男の子がなにもしなかったボロボロのふくをきている人が、じつは悪いことをしていたということもありました。また、男の子がおそいかかろうとすると、お金をだして見のがしてもらおうとする人もでてきました。男の子はお金をもらうために、お金をもっていそうな人もおそうようになっていきました。
とあるばしょで、男の子はまわりをキョロキョロしている、少し目つきの悪い女の人を見つけました。すれちがった男の人に声をかけているのを見て、この女の人は男の人をだますつもりなんだ。とかんがえた男の子は、女の人にむかっておそいかかりました。女の人をつかまえ、なぐろうとしたとき、おかあさんをいじめるな!と声がきこえました。小さい女の子が女の人をかばいながら、泣くのをひっしでこらえてるようなひょうじょうで、にらみつけていました。
正しいことをしているのに、なんでこんなふうににらむんだ?あぁ、この女の子も悪い人なんだ、やっつけなきゃ。
男の子が女の子にむかってニヤリと笑ったしゅんかん、とつぜん男の子のしかいがうばわれ、まっくらになりました。男の子があたりを見わたすと、キツネがいました。