トラの威をかすキツネ_1
あるところに、とてもすごい力をもった、一ぴきのキツネが住んでいました。キツネは、にんげんが大好きなので、耳としっぽいがいは、にんげんと同じすがたに化けて、にんげんと同じ生活をしていました。
キツネとかかわると、すごい力を分けてもらい、しあわせになれるといういい伝えがありました。いっぽうで、キツネとかかわるとふしあわせになり、くるしむといういい伝えもありました。
キツネが住んでいる町のあるばしょで、男の子が大けがをしてたおれていました。子犬をいじめている人から子犬をまもって、なぐられてしまったのです。こいぬは、たおれている男の子のそばでキャンキャンなきました。それが、キツネの耳にとどきました。子犬がないているばしょに、キツネはむかいました。
男の子が目をさますと、知らないところにいました。まもった子犬と知らないにんげん?(男の子はキツネのことをにんげんだとかんちがいしていました)がみまもっているのが見えました。
「子犬さんからはなしをきいたわ。まもってくれてありがとう、大けがをさせてごめんなさいって言っていたわ。わたしキツネ。わたしね、にんげんが大好きだから、いいことをしたにんげんをしあわせにしたいの。だから、いいことをしたあなたに力をかしてあげる。」
キツネは男の子にきていたうわぎをわたしました。
キツネのうわぎをはおると、男の子はとても体が軽くなったかんじがしました。
「このうわぎね、すごい力があるの。この力があれば、いろんな人をまもれるわ。にんげんがしあわせになれるように、がんばってほしいの。」
キツネの言葉に、男の子はうなずきました。