the second knife iii
ところで、今となっては情報で表されるものが社会に充満し、カミサマとやらを信じる人も減ってきてはいるが、彼らは時に興味深いことを言っていた気がする。なにか、こう、みんないつかは死ぬぜ、みたいな。いつまでもこのままでいられると思うなよ、的な。
今日は木曜日。そんな朝は一週間で一番好きな、牛乳によって一切のやる気も見られなくなったコーンフレークから始まる。仰け反り、顔を拭ってもらい、木曜日のカバンをいってきますの挨拶と交換して、家を出る。全く同じ時間に到着し、昨日と先週と変わらぬ木曜を過ごす。放課後の過ごし方まで同じだ、という訳にはいかず、今日は月に一回の病院の日である。妹と合流し、歩いて数分の距離にある、国立の大きな病院へ向かう。
月一の病院では、俺は自身の持病の検査を、妹は両腕の義手の整備を、それぞれ行う。妹の義手については、聞くと嫌な顔をする為にあまり良く知らず、およそ4才くらいからかな、程度の知識である。まぁ俺は生まれてから病院通いだがなと意味もなく勝ち誇りながら駐車場の方へ進む。
「見てみて、昨日お父さんが教えてくれたの」
そう言ってメモを取り出し、昨日の話のまとめを見せてくる。いや分かんないんだって、なんて無粋なことは言わない、兄だから。妹の努力を受け止め、認め、褒めるのだ。ふむふむ、AIのことが認められ始め、人と同様に扱うようになる…?AIの所有者はそのAIで、人と同様の法律を用いるようになる、と。あー、理解した。いや、理解出来てないかも。まだ一年の内容だし、簡単な筈なんだけど、これが適正ゼロってことなのかな。
そんなことを考えていると、嘘だろ自分、たったこれだけで脳の使いすぎか、眠気が襲ってきた。
そんな中、自身のいつかの謎が解けようとしていた。