the second knife ii
情報化と機械化が進んだ現代において、今最も求められているのはロボットに出来ることをするような者ではなく、彼らを扱う者、進化させてゆく者達である、だから君たちはここで~~
新入生に対しての、俺は2回目となる校長のありがたい言葉を聞き流し、新たにこの学校へ通うこととなった妹のことを考える。妹も校長もそんなに好きではないがまぁまだ妹の方が好きかなとか考えていると、起立のアナウンスが聞こえた。驚きながら、立たなかったことに安堵しつつ列をなして外へ向かう新入生を見送る。ふと妹と目が合うと、あいつはぷいと目を背け、進んでゆく。
(やっぱ校長の方が話好きかもなぁ…)
そんなことを思いつつ、周りと共に立ち上がり、出口へ向かう。
そんな思い出ももう半年も前のものである。太陽が姿を晒す時間は短くなり、代わりにそこには星々が…なんて、人工の光に囲まれたここでは感慨にふけることも出来ない。
「ねぇ、聞いてんの?」
…自分の思考に潜り込めないのは、周りの光なんかではなくこれのせいか。
「今日の授業で分かんないところがあったって話だったんだけど」
「あ~、エネルギーと食料生産だったっけ」
「やっぱり聞いてないじゃない」
まともに話を聞くと、AIと人類についてだった。確かそれは一年生が必ず受ける適正判断とそれをうけての専攻分野の一つだったか。俺は適正ゼロだったなぁハハハ。軽い下段蹴りと共に説明を催促される。もちろん分からないため、甘んじて二発目の下段を受け止めた。
家に帰ると、珍しく父がいた。それこそ父はAIと人類についての研究をしているのだから、始めから父に頼ればよかったのに。するとやはり聡明な我が妹、すぐに質問に向かった。
その話は適正ゼロな自分にはよく分からなかったが、要するに人とAIとの違いの定義についてだった。聞いていると頭が痛くなりそうだったため、さっさと自室へ逃げ帰った。
今日のタスクも済ませたし、少し早いけどもう寝るとするかな。そう思いつつベッドに潜り込むと、まだ難しいお勉強の声が聞こえる。皆そんな難しいこと考えないで、0か1かで考えれることを考えて、ロボットにさせ続けていればいいのに。
そんな自論を心に掲げ、眠りについた。