やるのよ!
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「このままだと抑えきれないっすよ」
「今度は私が!」
「リズ!出来るっすか?」
「か?じゃなくやるのよ!みんなそのまま流し続けて。私が流れをコントロールするわ!フルトランスコントロール!」
リーズが両手を広げてトランス状態に入ったが両の手からは絶えず魔力が放出されていた。
リーズの放出する魔力が全員の魔力を包み込み、繭を中心に反時計回りの渦を作り出して漏れ出る魔力風をそよ風まで落とした。
「見事」
しばらくすると繭を覆っている金色の翼が1枚広がってきた。
「気を付けろ。膨大な力が解放される」
「言われなくても、何となくわかるっすよ!」
翼が広がり切ると内部から膨張が始まり吹き飛んだ。1枚1枚の羽根が矢のように周囲に襲い掛かった。
「私の番ね。神仙闘術壱式奥義、影無!」
サーラが金の矢羽根を叩き落としていく。
「私もお手伝いしますわ。魔戦技奥義、二戦斧ブーメラン!」
リティスの斧が矢羽根を打ち落としていった。
矢羽根がすべて落とされると、新たに繭の翼が開いてくる。
「俺にも出番くれっす!無音殺闘術奥義、ブレイクエッジ!」
トリッキーな動きで無数の矢羽根を落としていく。
「私も行きますわ。侍二刀流奥義、真桜花五月雨斬り!」
マーベアに使った技よりも倍以上の桜色の刃が矢羽根を打ち落とした。
話は少し戻り
―――私が必ずレッ君を!
霊体となったシズクが繭に近づく。
「でも、どうしたら良いの・・・・」
恐る恐る手を伸ばし繭に触れた。
ドンッ!体全体に衝撃が走り硬直してしまう。まるで高電圧の電気に触れ体中の筋肉が硬直してしまったかのようだった。
「クッ、体が・・動・・・かな・・・い・・・何・・・て・・力な・・・の」
自分の体を見下ろすと、月花が急に慌ただしく動き始めていた。
「月・・・花ち・・・ゃん・・・お・・願・い」
聞こえるはずもなかったが、一瞬月花がこちらを見たように見えた。
(なんてことなの・・・急にシズクさんの体力、霊力が落ちてきたわ。このままだと霊体と体を繋ぐラインが切れてしまうわ。アクア、潜るから私の体を頼むわ!)
(わかりました)
月花がすべての情報をより細かく理解するために、自身の深層へダイブしシズクの置かれた状況を認識した。
(まずいわね・・・ならば)
自身の深層、分かりやすく言えば、小さな個室の中のモニターですべての状況を視覚で認識して魔力の放出量をグラフを見ながらマウスで調整する感じだ。この時には肉体の制御は出来ないためアクアに体を預けたのだ。
「少し体が動かせるようになった。ありがとう月花ちゃん。この中にいるのよね、レッ君・・・でもどうしたらいいの・・・」
繭を見渡すと1ヶ所淡く輝いている場所があった。
導かれるようにそこへ触れる。
「あぁ・・見えるよレッ君・・・これは初めてレッ君と遊んだ記憶。あの時レッ君は私を笑わせようと必死だったね」
「こっちは・・・・あぁ・・そうね、森で迷子になった時ね。不安にならないように励ましてくれたっけ・・・」
「これは・・・間違ってレッ君にポイズンの魔法かけちゃったよね・・・ふふっ」
少しずつ翼が開いていき完全に開いた瞬間吹き飛ぶ。
「クッ、すごい・・・これがレッ君の想い・・記憶の力・・・・大丈夫私には伝わっているよ。すべて受け止めるから出てきて」
「そろそろまた来るっすよ!」
「私も行きます!真槍術奥義ミラージュランス!」
クラリスの技で指定範囲に入るすべてを幻影化した槍が貫いていく。
「フェミリア様!肩に怪我を・・・」
「それよりも自分の心配しなさい。人の心配するほど甘くは無いわよ!」
「分かりました。ウィンド隊!レッド隊に負けない働きをするのよ!聖騎士盾技、シールドアンカー!」
シャルロッタの防御技の背後からナタリアが魔法詠唱していた。
「リーズさんほどでありませんが私も!神話魔法バインドイクリプス!」
魔法の範囲に入る矢羽根が力を失い落ちていく。
「フェミリア隊に負けてられない。あたしたちも行くよ!シャドウシールド!」
オリガの暗黒騎士防御スキルによって闇の壁が出現した。闇の壁に同化しながら印を結ぶ者がいた。
「十式雷遁の術」
ジェニーが10体に分身し、それぞれが雷雲を呼び寄せ矢羽根を撃ち落としていった。
「ちょっと壁借りるよ!弓術奥義、アヴァランチアロー!」
無数の矢が雪崩のように降り注ぐ。
「フリン!今のはノーカンだぞ。おい、シドニー!フリンはお前の隊だろ」
「良いじゃない目的は一緒なんだし。でもフリン、今のはポイント無効よ。分かったなら戻りなさい!」
「はーい、だってエディタが何かやりそうだったから」
「お待たせしました。神仙闘術弐式奥義、連撃乱舞」
流れるコンボで叩き落していく。
「一体、いつまで続くっすか!各自回復薬を使用して常に万全の状態を維持するっす!」
「「「りょうかい!」」」
のんびり書いていきます。




