神降ろし
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「これをシリカに、こっちをボッシに、これはカインへそれぞれ届けてくれるっすか」
「わかったわ。ウッドさんも少し休んだら?」
「ミンクちゃんありがとうっす。でも兄貴が戻ってきた時に任せて良かったって思ってもらいたいっすよ」
「ウッドさんは十分頑張っているわ。倒れてしまってはしょうがないもの」
「うん、でもまだ大丈夫っす。これからルーク製品作るっす。それが終わったら少し休むっすよ」
「そう、無理はしないでね」
「ミンクちゃんこそ無理しないでほしいっす」
――兄貴・・何してるんすか。みんな待ってるっすよ。早く帰ってきてくださいっす。
レッ君・・・・・・・・・・・・・・なんで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで・・・・・・・・・・・・・・・なんで・・・・・・・・・・・・なんで・・・・なんで・・・・なんでなんでなんでなんでなんでなんでぇ!なんで私を置いていったの・・・・
レッ君の魔力を一切感じない・・・・私も逝けば良かった。
そうだ、私に神降しをすればレッ君を蘇らせることが出来るかもしれない。
(それではあなたが死んでしまいます)
(いいのよフェニ。レッ君がいない世界に興味ない)
(レッド様はきっとお戻りになります)
(嘘、フェニがそう言って1ヶ月過ぎた!)
(鍵はティア様がお持ちになっております)
(・・・・・わかった。1か月後に何もなければ神降しをする)
(シズク様・・・・・)
我らが長ボレアレスよ。今何をしているのです。限界が近づいております・・・・
「あれから1ヶ月、足跡を辿ったが手掛かりなしですわ・・・・」
「あたしの方もよ。ウッドはどうなの?」
「シリカ、ボッシ、カインから有力な情報は無いっす」
「かれこれ2ヶ月経過して何も見つからないってどういう事よ!あなた達は最後までレッドさんを見ていたのでしょう?何か気が付くところがあるんじゃないの!!」
「ミリア・・・少し落ち着いて」
「そうっす、気が付いていれば報告してるっす」
「落ち着いてなんかいられないでしょ!」
「ミリアはいつもそうよ・・・私だってあなたの様に怒鳴ってレッドさんが帰ってくるならやってるわよっ!!!!」
「二人とも黙るっす!!!」
ウッドの気迫に二人が黙った。
「俺は兄貴が戻るって言ってたのを信じるっす。兄貴はちょっと意地悪で嘘をつくこともあったけど、いつもみんなの事を考えていたっす」
「そうね、大声出してごめんなさい」
「悪かったわ・・・」
急に扉が開いた
「ウッド!シズクさんが、シズクさんが」
「月花!どうしたっすか。落ち着くっすよ」
「シズクさんが、神樹と同調して神降しをしようとしているんです。やめさせないとシズクさんが死んじゃう!」
ウッドが風の様に秘密基地前の神樹にたどり着いた。
「シズクさん、何してるっすか?」
「神降し。レッ君を黄泉がえらせる。邪魔しないで」
「兄貴に頼まれてるっす。邪魔させてもらうっすよ」
「わたしの邪魔するなら殺す」
「シズクさんが死んだら兄貴が泣くっすよ?」
「レッ君がいない世界に生きている意味なんてない」
「シズクさん、忘れている事があるっすよ。兄貴の装備に着替えてみてくれっす」
「そう、戦うのね。わかった。容赦はしない」
シズクがBFRに魔力を流し武具を装着する。
「感じないですか?兄貴が作った武具から兄貴の思いが?」
シズクが武具に手を当て目を瞑る。
「あぁ・・・レッ君・・・私・・・私・・・」
泣き崩れる
「兄貴はきっと帰ってくるっすよ。信じて待つっす」
月花がシズクに駆け寄る。
「シズクさん、部屋に戻りましょう」
シズクは落ち着きを取り戻し部屋へと戻っていった。
その夜、地震と共に神樹の上に荒れ狂う魔力の渦が現れた。
「今日はいろんな事が起こるっすね。月花、あれ何すか?」
「分からないわ」
ミリアとクラリスも首を振る
「みんな、何か出てくるっす。戦闘準備っす」
全員が武具を瞬時に装着した。
魔力の渦の中心から翼をまとう漆黒の馬が出現した。
「我が名はボレアレス。時は来た。モノケロスの神樹にて待つ」
言い終ると同時に魔力の渦ごと消えてなくなり辺りが静まり返った。
のんびり書いていきます




