出立
90
朝食後にマーベアとの打ち合わせが始まった。
「まず今朝入った情報だが、バンドー首都の西に位置する小さな村が国家反逆罪指定され首都から鎮圧部隊が出動した」
「反逆罪って何をしたんだ?」
「その村の名はモリア、のどかな村だよ。だが俺達に協力しているってことらしい。そんな事実はないのだが、多分俺達をおびき出す罠だ」
見せしめか・・・
「うそ・・・そんな・・・」
「月花、どうした?まさか・・・」
「私の故郷です・・・」
「そうか。なら助けに行かないとな!」
「無茶だぜ。鎮圧部隊には歴代親衛隊の中で最強と言われるビャクエンが居るんだ。俺達が城から逃げたとき殿を務めてくれたおかげで逃げることが出来たんだ」
「味方だったのに、なぜ?」
「俺が知りたいぜ・・ほんとによ」
「どちらにせよ、何があろうと助けに行くことに変わりはない!」
「なんでそこまで!死ぬかもしれないんだぜ?」
「決まっているだろ、月花の悲しむ顔を見たくないからだよ!理由なんてそれで充分だろ?」
「フッ、噂通りの馬鹿野郎だな。だがそういうのは嫌いじゃない、むしろ熱くなってくるな!俺達も手を貸すぜ!」
「いや、足手まといだから手伝わなくていいよ」
「そこは違うだろ!お前ならそう言ってくれると思ってた!とかあるだろ」
「だって実際足手まといなんですもの、しょうがないじゃない?」
「ミリア・・・そうは言ってもな、この国の問題で俺が狙われているのにお前たちばかりにな・・・」
「俺達は死んだと思われているから動きやすい。マーベアさんがターゲットであれば逆に動かない方が良いと思うけど?」
「それもそうだが、すべておんぶにだっこではな・・・、せめて助け出した村人の誘導位はさせてくれ!」
「分かった、それで頼むよ」
「了解だ!鎮圧部隊は今朝出立したはずだから、早くて今日の昼、遅くとも夜には村へ到着する」
「分かった、すぐに出発する。みんな準備を!」
「「「りょ」」」
(主よ!)
(どうした?)
(ここに神樹を感じる)
(何処か分かるか?)
(今朝手合わせした場所だ)
(わかった)
「みんな、その前に練武場に集合してくれ」
みんなに神樹の事を伝え練武場を調べることにした。それほど時間もかからずウッドが壁の一部が薄くなっていることに気付きスラッシュ号で壁を破壊した。
「すごいなお前たちは・・・なんでもありだな。俺達ですら知らない場所をこうも簡単に・・」
「あれ、壁壊す前に許可取った方が良かった?」
「いや、構わねーぜ。広くなって助かるよ。だがこの空洞がそんなに重要だとはおもえねーが・・・」
詳しく説明している時間はなかったので、神樹をアンロックさせ急ぎ出発することにした。今、出発しても鎮圧部隊と同着位だ。
「モッチョ氏!行ってくるわ。後は頼んだよ」
「承知しました。十分お気を付けください」
俺達12人と、遅れてマーベアが後方支援に来てくれるはずだ。
(みんな、今回は人と戦うことになる。魔物だと思って止めを刺さないと、自分もしくは仲間がそいつに殺されると思って対処してくれ)
(((りょ)))
(鎮圧部隊より先に到着出来たら、避難を優先させる。戦わないで済むならそれに越したことはないからな)
(((りょ)))
ウォーホースに全力を出すように指示をした。
その甲斐もあって、どうやら先に到着出来たようだ。
月花の働きで村人たちの避難準備が終わり村を出ようとしたその時
「レッド、村の周囲が囲まれているわ」
「そうみたいだなサーラ。さてと・・・ルル、手薄なところ分かるか?」
「村の西側はまだ展開されていないみたいにゃ」
「ミリア先陣切って突破口を開き住民を率いて進んでくれ」
「了解よ。シャルロッタ、ナタリア、マルグレート聞いたわよね」
「勿論です。聖騎士に恥じない働きをお見せします」
「魔道の深淵を見せてあげましょう」
「高司祭も戦えることを見せてあげますわ」
頼もしいな。
「よし、頼んだ!俺達は殿を行く。無理に深追いして孤立することの無い様に!時間を稼げればいいんだ」
「「「りょ」」」
「何かあったら秘密基地に集まってくれ!いくぞ」
ミリアの桜花五月雨斬りから戦端は開かれた。
討伐部隊も精鋭だけあったが、格下なので何とか押し返すことが出来た。しかし相手もPTを組んでいるため致命傷を与えることが出来なかった。数の力か・・・
(ミリアそっちはどうだ?)
(こっちは問題ないわ。そろそろマーベアと合流出来そうよ)
(了解だ。そのままマーベアと撤退してくれ)
(いやよ!仕事が終わったらそっちに合流するわ)
(駄目だ。お前たちが来ても数の力には勝てそうもない。ここで均衡が・・・)
(ねぇ、どうしたの?答えてよ、レッド)
戦場に沈黙が訪れる・・・・
のんびり書いていきます。




