裁きの雷
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「まだ装備出来ないが注文通りの物だと思うぜ?」
出来上がった武器をミリアに渡す。
「こ、これは・・・こんなものが作れる・の?・・」
「あぁ、名は村雨ブレード改、新機能付きだ。Lv80になれば装備出来るはずだ」
「これほど美しい刀を私は見たことが無い・・・」
「そうか?もっと上があるからそんなもんだろ?」
「これよりも上があるの?・・・・・・」
「あんま深く考えるなよ。今日はLv上げ頑張るぞ。へばるなよ?」
「はい」
この日から10日ほど<地下迷宮>に籠り全員のメインジョブがLv80に達したところで、モッチョ氏と事前に打ち合わせた通り王都で合流し、今後の予定を決める為ラウンジに集合した。
「モッチョ氏久しぶり。元気にしてた?」
「はい、カインさんのおかげで売り上げ好調で元気いっぱいです」
「へぇ、そんなに?」
「新商品、男の自信回復薬が爆発ヒットしまして」
あぁ、あれね。
「でも、あの薬、心臓弱い人には危なくない?」
「そこは、カインさんが他の薬も併用して安全に配合して問題は改善されております」
それはナイス!飲み放題じゃん。
「それはイイ!あと瘴気水晶の研究の方は?」
「それが、いまだ全容が分かっておりません・・」
「俺、もしかしたらあれの正体知ってるかもしれないんだよな」
「ほんとうですか?」
「多分だけど、前に海で見た朽ちた船覚えてる?」
「はい、あれは印象的でしたから」
「あれの動力に使われるコアパーツ、エーテルコンバーターに似ているんだよ。ただし、大きさがね・・」
「ほほぅ、どのように?」
「カインさんが調べているものは直径1m位でしょ?」
「魔力エンジンに使われるものは直径20cm位なんだけど純度が極めて高いんだよ。多分だけど、それ一つであのデカい水晶100個位の出力があるんじゃないかな?」
「よくわかりませんが、一体どういうものなんですか?」
「俺達は大気に含まれるエーテルを吸収して魔力に変換してそれを使用するよね?」
「はい」
「この水晶も同じでエーテルを吸収して魔力に変換して、それを更に瘴気に変換していると思うんだよね。いや違うか、あれは冒険者のみのレシピなはず・・・だとすると、エーテルから直接瘴気へ変換していると考えるのが正しいか・・・そうなると瘴気を通常の大気に変換することも可能?・・・・」
「ライラさん、今の会話をすぐにカインさんへ伝えて下さい」
「かしこまりました」
「でも何でそんな物作った?誰がどんな理由で・・・?」
棚上げ決定!ほかの事考えよう。
「で、今後どうする?」
「そうですね・・・メルム国での地盤は固めたので、そろそろバンドー国へ行きますか?」
「だな。装備の更新に1週間程度かかるから、出発はそれを踏まえて1週間後にしてくれる?」
「承知いたしました。では1週間後に出発し西の港町ルタクへ向かいましょう。そこから船に3日ほど乗ればバンドー国です」
「じゃあそれで。あとウィンド隊を4チームに分け、1チームをフォルメト隊に編入、他の3チームは各地に散ってもらう。人選はミリアに任せる」
「わかったわ」
「じゃ地下工房に籠るんでみんなそれまで自由時間な。ウッドはどうする?」
「俺も一緒にルーク装備作るっす」
「そっか、ウッドもランク上がったから新しいレシピ教えてあげるよ」
「ありっす」
そのまま俺達は地下工房へ行くことにした。
一方女子組は・・・
「では、これより新たに加入したウィンドチームも交えて意見交換、経過報告などを行います。議事進行は私サーラが努めます」
「まず、直近ではフェミリアさんの強引なやり方により均衡が崩れましたが、レッド親衛隊によって秩序を取り戻すことに成功しました」
「で、最近問題提起されている序列についてですが、ウィンドチームが加入したことにより崩れるのではないかという意見と、新参では上位に行けないという意見が多数寄せられています」
「この問題について協議したいと思うのですが宜しいでしょうか?」
全員が頷き会議が続いていく・・・・
そんなこんなで1週間が経過し・・・
「出来たな・・」
「出来たっすね・・・」
「よし、皆を呼んで装備の登録をしてもらうか」
「はいっす・・・俺は少し休んでいいっすか?」
「あぁ、そこで横になって休んでていいぞ」
「もう駄目っす。寝るっす」
頑張ったな。
(サーラ、聞こえるか?)
(うん)
(装備作ったから皆で地下工房へ来てくれ)
(分かった、すぐ行くね)
(あぁ、ウッドが休んでいるから静かに頼むな)
(うん、皆に伝えとく)
暫くすると女子組がぞろぞろとやってきた。
(じゃ、渡していくから一列に並んで)
(サーラにはこれな)
雷神の小手を渡す
(うわ、重さを感じない位軽い!)
(だろ。あと新機能だけど簡易OB機能付きで連続使用は出来ないから注意な?)
(使用後に動けなくなるの?)
(いや、プール分しか使わないから大丈夫だよ)
(分かった、ありがとう)
(次はシズクだな。シズクにはこれだ)
天降りの扇を渡す。
(レッ君ありがと)
(攻撃力は皆無だけど、防御に関しては凄いと思うよ)
(うん、持っただけで分かる。これでレッ君を守ってあげる)
(ありがとな。これも簡易OB機能が付いているから・・)
(大丈夫。感覚で分かる。レッ君忙しいから・・)
(色々と気を使わせちゃって悪いな)
(良いの、私2番になったから)
(ん?なにそれ?)
(いいの、いつか分かるから)
(あ、あぁ、そう?)
そんなこんなで、みんなに装備一式渡して登録を終わらせた。
ふとウッドを見ると、リーズが布団をかけてあげていた。
「お兄ちゃん、いつもありがとね」
「むにゃむにゃ、ミンクちゃんいいっす、サイコーっす・・」
「・・・・・もう!サイッテー!」
ゴロゴロ・・・バリバリバリッ
裁きの雷・・・
「ウギャーーーー、痛い痛いっす。リズ止めるっすよ」
「もう知らないから!」
リーズが怒りながら部屋を出て行った。
「兄貴ぃ、俺・・・何かやったっすか?」
「何かいい夢でも見ていたんじゃね?」
「言われてみれば、ミンクちゃんとの一夜の夢を見ていたような・・・エへへ」
懲りないやつだ・・・
「ウッドにはこれな」
アゾットダガーを渡す
「うわ、凄くないっすかこれ。それにOB機能まで付いているっぽいっすけど?」
「お前も分かるってことは成長したってことだな。その通りだよ、使いこなしてくれよ」
「あざっす!」
予定通り装備更新が終わり、明日出発となった。
のんびり書いていきます。




