接待バーベキュー
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村に戻りひとまず休むことにした。
みんなが寝たのを確認しモッチョ氏に連絡を入れる。
(もしもし、モッチョ氏起きてる?)
(はいはい、起きています)
(いろいろと相談というか計画があるんだけど聞いてくれる?)
(何やら、また楽しそうな予感がしますね)
(そそ、工房の件とか新事業とか)
(ぜひぜひお聞かせください)
(あのね、工房なんだけど・・・ごにょごにょ)
(なんと・・・)
(新事業なんだけどさ・・・・・ごにょごにょ)
(いけますぞ、いけますぞ)
(でしょ、至急動いてほしいけど出来る?)
(もちろんでございます)
(じゃ、こっちで話は通しておくよ)
(お願いします)
(じゃ、もう少ししたら帰るね。ミノル集合だよね?)
(そうです。大会の準備も進んでおりますので楽しみにしていて下さい)
(りょうかいー)
さて、俺も休むかと思ったが、採集をすることにした。これもお金カンストのための地道な一歩なのだ。
早朝まで採集し戻るころには、リティスの両親が農作業の準備をしていた。
「こんな朝日も出ないうちから作業ですか?」
「太陽が昇る前に収穫した方が美味しいものもあるから。レッド君も寝ないで頑張っていたようだね」
「僕は趣味ですので」
「趣味と来たか、朝食までには戻るのでレッド君も少しは休みなさい」
「はい、ご心配ありがとうございます。少し休ませていただきます」
そういって部屋に戻った。
みんなまだ寝ていたが揃いもそろって寝相が悪い。今日はカインさんに提案書を出したかったので適当なスペースを見つけ書類をまとめ、完成する頃にリティスの母親が起こしに来てくれた。
「みなさん、朝食の準備が出来ましたよ」
「「「はーい」」」
朝食をいただきに向かう途中カインさんに提案書を渡した。
「朝食後に読んでいただけますか?」
「はい、見させていただきます」
朝食はパン、ソーセージ、卵焼き、サラダ、味噌汁だった。この味噌汁が良い!パンに味噌汁合うから!・・・俺だけ?
朝食後、お茶をしながら談笑していると、カインさんが勢いよく扉を開けて入ってくる。
「レッドさん、この話が本当ならば私は受けたい。だが、村のみんなにも確認したいので少し待ってもらっていいだろうか?」
「もちろんですよ。皆さんの協力が無ければ成り立ちませんので」
「父さん、村のみんなに集まってもらうよう伝えてほしい」
「どうしたんだカイン、朝から慌てて」
「とにかく、父さんは皆に集まるように伝えてくれ」
「わかった。少し待っていなさい」
「キートさん、皆さんが集まるのにどれくらいかかりますか?」
「そうじゃな、広いからな・・昼頃かね」
「では、僕たちが昼食を準備します。バーベキューでもどうですか?」
「結構な人数になるぞ?」
「構いませんよ、全員集めて下さい」
そういって、皆に食材を出すように言うと
「こんなに・・・・・見たこともないような食材まで・・・」
「皆さんで昼食をとりながらカインさんの話を聞きましょう」
「わが娘ながら驚きの連続だな。わかったなるべく早く集まるように緊急の鐘を鳴らすとするか」
そういって部屋から出て行った。
俺達は外でバーベキューの準備を始める。接待バーベキュー再びだな。
あらかた準備が終わるころには村の人たちが集まっていた。ひとまずカインさんの話は後にして食事をとってもらった。頃合いを見てカインさんが話し出す。
「みんな、集まってくれてありがとう。今回集まってもらったのは今後の村の話があったからなんだ」
村人が徐々にカインの話に耳を傾け始めた。
「私の妹の伝手でモッチョ商会とのパイプが出来ることになった」
「それは、レッドさんが・・・」
俺はリティスの腕を取り首を横に振る
「良いんだよ。気にするな。終わり良ければすべて良しだ」
「そこでまず、農作物はすべてモッチョ商会が仕入れを引き受けてくれる。次にここでしか採れない黒ニンジンも高額で買い取ってくれる」
村人から歓声が上がる。
「そしてモッチョ商会が、この村に農作物協同組合を設立し運営を私たちに任せてくれるということだ。それに合わせて村の安全対策も冒険者に依頼してくれるらしい」
歓声は上がらない、代わりにカインの言葉を聞き逃さないよう静まり返っていた。
「あと40年周期の魔物出現に関しても、瘴気溜まりの場所に研究施設を作り対策を講じてくれる。これには私があたることになっている。それと同時にモッチョ商会ファングブランドの錬金、医療部門も私が務めることになる。とりあえず以上だが、細かい部分は後で協議したいがどうだろうか?」
村人の反応が少しずつだが大きくなってくる。しまいには隣の人と会話ができないくらいにまで大きくなった。
「みんなの答えを聞きたい!」
カインが叫ぶ。
「受けるに決まってるだろ!」
「お前はいつも周りに気を使い過ぎだ!」
「お前の好きにしろ。自分のやりたいことをやってもいいんだぞ」
「そろそろ好きに生きてもいいぞ!」
村人から色々言われていた。
「みんな、ありがとう。私なんかのために・・・」
「「「「俺達が礼を言う番だよ。もうこの村は大丈夫だから、好きなことをやってくれ」」」」
「リティス、良い村だな?」
「はい、自慢の村、両親、兄です」
泣きながら笑顔で答えた。
バーベキューは深夜まで続いた。
今日この日からこの村は変わっていくはずだ。
俺も少し動かなくてはいけないな。まずは秘密基地のグレードアップをしておかなければ。今後何があるかわからないので多数の人のシェルターとしての機能も追加しておこう。
八芒星・・・いやな予感がする。
のんびり書いていきます。




