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何かやれる気がする・・・

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早朝、リティスの案内で実家のある村を目指した。秘密基地から近いみたいだった。だったというのは馬の速度が速すぎて距離の感覚がマヒしているからだ。


「もうすぐなので、降りて歩きましょう」

村というか田畑が見えてくる。広大な田畑に家がポツンとあった。他の家を見渡すと、かなり離れた場所に一軒、更に離れた場所に1軒。これは、村というよりも集落に近いな。


「リティス、公共の施設とかあるのか?」


「いえ、そのようなものは・・・。収穫されたものを近くの街まで運び収益を得ています」

それは・・・えらく非効率だな・・・


「国は何もしてくれないのか?」


「はい・・・このような辺境の村に公的資金が使われる事は滅多にありません」

うーん


「税金は?」


「近くの街で収めています」

取るんかい!


「あそこがリティスの家か?」


「はい、今の時期は忙しくないので家にいると思いますので行きましょう」

家の前に到着した。かなり年季の入った家だった。古民家というやつだ。

扉を開けてリティスが入る。


「ただいま」


「誰かと思ったらリティスか。よく帰って来たなぁ。何突っ立っているんだ、中に入って座りなさい」

「お父さん誰が来たの?・・まぁリティちゃん、よく帰って来たわねぇ、早くこちらにいらっしゃい」

リティスの両親だった。


「父さん、母さん、今日は私の仲間も一緒なの」

両親が俺たちを見て笑顔で迎い入れてくれた。


「遠いところまで、よく来たね。うちには何もないがゆっくりしていくと良い」

そう言うと、俺たちをテーブルまで案内して、お茶を出してくれた。


「お兄ちゃんは?」


「そろそろ畑から戻ってくるころだ」

扉の音がした。

「父さん、お客さんが来ているのかい?」


「おう、早くこっち来い。お前もきっと驚くぞ」


「リティス!よく帰ってきたな。体は大丈夫か、病気にかからなかったか?」


「お兄ちゃん、私は大丈夫。いつも心配してくれてありがとう。お兄ちゃんのおかげで冒険者になって戻ってくることが出来たわ。本当にありがとう、そしてごめんね・・・」

リティスが泣いている。


「何泣く必要があるんだ。俺は長男だし家を継がないといけないからな。リティスが泣くことじゃないよ」


「だって、私なんかよりよっぽど才能があったじゃない。それを我慢して・・・」

後で聞いたが、リティスの兄は文武両道で神童カインと言われていたらしい。


「その話はもう沢山しただろ。良いのだよ、私には両親とお前が居るだけで幸せだから。何も気に病むことはないよ」


「そろそろ夕食の時間になるわ。畑で採れたものしかないけどご馳走を作るからリティちゃんも手伝ってくれる?」

リティスが頷き女子組全員で調理場へ行き、俺とウッド、リティスの父キートさん、兄のカインさんが残った。


「僕はリティスさんの下で冒険者をやらせていただいているレッドです。リティスさんにはいつも助けられています」


「レッドさんは嘘が下手ですね。私も神童と言われた事があるので相手の実力ならある程度分かりますよ。明らかにあなたの方がリティスより強い」

バレていたか、さすが神童もともとのポテンシャルが凄いのだろう。


「でもね、リティスの顔を見れば、あなたがどんな人なのか分かりますよ。今後もリティスをお願いします」


「こらカイン、それは私のセリフだぞ」

キートさんが笑いながら言った。


「もちろんです。僕が全力で守ります」


「ありがとう。本当ならカインにも好きな事をやらせてあげたいんだがな・・」


「父さん、その話はもうしないと・・」


「そうだったな、すまん」

訳ありのようなので聞いてみる。


「見ての通り、私たちはダークエルフ、一度森を捨てたエルフの末裔だ。そんな私たちが集まった集落に国からの援助は微々たるものだった」


「私たちはやっとの思いで開墾し、最近生産が安定してきたところだ。これもカインが村に残って手伝ってくれたからに他ならない」

要は、国から人種差別的な扱いを受けて、カインさんが効率的に作物のサイクルを考えて何とか軌道に乗ったと。


「ここでは何が採れるんですか?他にはないものってあります?」


「うーん・・・」


「父さん、あれがあるよ」


「そうだった、近年カインが山で見つけたもので」

そう言って戸棚から黒いニンジンらしきものを見せてくれた。


「私が山で見つけて、成分を調べたらもの凄い滋養強壮効果がある事が分かったんです」

ナイフで切って俺とウッドに渡してくれたので食べてみた。


「苦くて土の味がするっす・・・」

不味い・・・

だが、食べて3分もかからないうちに目が充血してきた。何かやれる気がする・・・ED治療薬に使えそうだ。


「そうなんです、不味くて他の料理とも合わないんです」


「僕にいい考えがあります。その前に1つ伺いたいのですが、これは通年、収穫できますか?」


「ここ2年程調べていたのですが、季節問わず3か月で収穫可能です」


「分かりました。では近いうちに企画書を出します。それを見て考えて下さい」


「はぁ・・これで何か出来るんですかねぇ・・。あ、いえ、分かりましたお待ちしております」


色々と出来ることがありそうだな。カインさんの研究も役に立ちそうだし。

他愛もない話をしながら構想をまとめていくが、夕食の匂いが漂ってきて思考を邪魔してきたので後で考えることにした。


のんびり書いていきます。

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