転職
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秘密基地に到着後俺はみんなの装備を新調することにした。
オーバーブースト(以降OB)機能については改善の余地がありそうだった。装備の耐久力を上げることによって使用後の装備崩壊は今後防げるはずだ。あと魔力切れだが、これも魔力コンデンサの能力を上げ自然回復する魔力の何割かをプールする仕様に変えることによって改善するはずだ。
問題は3倍の速度で動くことが出来たがそれ以上となると、脳がついて行かなければ速度に対応できなかった。見て認識して魔力で装備を動かし、体も動かす。現状3倍までが限界だろう。今後の課題として脳の演算能力を高める方法を考えよう。
全員の装備にOB機能は付けたがまだテストもしていないものを使わせることは出来ないので機能をロックした。
「みんな!できたから自分の装備を登録してくれ」
部屋で寛いでいるみんなを外へ呼んだ
「「「「はーい」」」」
「あたしのが無いんですけどぉ?」
「お前必要なくない?」
「ほら、あれよぉ。流れ矢とか当たったら死んじゃうよあたし?」
言われてみるとそうだな。
「わかった、軽いの作ってやるよ」
「ムフフ、言ってみるもんねぇ」
俺は神樹の落ち葉の繊維で布を作り、ボレアレスから鬣を貰い糸代わりにして服を作った。
見た目は緑のドレスっぽい?生命力アップと回避能力が上がっているはずなので良しとしましょう。
ティアに渡すと大喜びしてくれた。作った甲斐があったというもんだ。
するとティアが手を伸ばしてくる。
俺が首を傾げると
「あれよぉ、みんな持ってる指輪もちょうだいよぉ」
「お前着替えないっしょ?汗かかないよね?トイレすら行ってるの見たことねーし」
「失礼ねぇ。セクハラよセクハラ!あたしも女の子なんだからオシャレしたいのよぉ」
まぁ、筋は通っているかもしれないので渋々作ってやった。
「もぅ、最初から作ってくれればいいのよぉ。セクハラの件は見逃してあげるわ」
とまぁこんな感じで装備新調は終わって転職をすることになった。
「サブの上級は召喚士だ。これも英霊との戦闘というか上位精霊との戦闘だな」
「例えばどんなのとやるんすか?」
「炎の魔人イフリートとかかな」
「うそ、あんな化け物と戦うのぉ?死んだね、あんたら死んだね」
ティアさん脅かすのはやめてくれよ、みんな戦意喪失しちゃってるじゃん。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。最初にも言ったけど勝ち負じゃないからね。今回は最初にヒントを教えておく。最初はバフを焚いて受けきる、だ」
属性を理解すれば簡単だ。火は水に弱く、水は雷に弱い、雷は土に弱く・・・と続く。
「死にはしないから何度でも挑戦してみるといいかもね。俺はすぐに終わると思うけどね」
「私も何となく理解できます。魔法使いには簡単な気がします」
リーズには簡単かもな。
「リズ、コツを教えるっす」
「お兄ちゃんに教えても理解していないから駄目だと思う。体で覚えた方がお兄ちゃんには良いと思うわ」
ウッドは1ヶ月コース決定だな(笑)
「ウッド、属性を考えろ。それが答えだ。それじゃ始めるぞ」
可哀想なので答えを教えてあげた。
「ありがとっす」
前回同様、精神世界で英霊との戦闘が始まった。
最初は何が来るんだ・・・・英霊が召喚を始めた。辺りの気温が下がってきた。
氷界の魔狼フェンリルか。
フェンリルが大きく息を吸い込み始めた。
俺はありったけのバフを焚いた。
「ばっちこーい!」
強烈な氷の息吹が襲い掛かる。
俺の氷人柱が出来たが、すぐに俺を包む氷に亀裂が入り砕け散る。何とか耐えきった。
「よくぞ耐えた、認めよう」
ここまでくれば、あとは覚えた技を使い、残りを耐えきるだけだ。多分次はこちらが優位に立てる風が出てくるはずだ。おそらく爆風の魔人ジンだ。
案の定ジンが登場したと同時に風がジンに流れていく。
俺はフェンリルを召喚しジンの特殊技発動に合わせるように集中した。
―――メガストーム―――
同時にフェンリルの氷の息吹を合わせて相殺する。
「見事、認めよう」
次は大地の巨獣ベヘモス、その次は雷神トール、海龍リヴァイアサン、炎の魔人イフリートと続いた。
「召喚士と認めよう」
これで俺も戦力アップ出来たようだ。
今回はグッタリしているのは居なそうだと確認すると1人だけぐったりしていた。
「ルル、大丈夫か?」
「疲れたにゃ・・・・1ヶ月位までは覚えているにゃ」
おいおい、予想外だな。
「匂いもしないし、動いて攻撃してこないから肌で感じることが出来なくて苦労したにゃ」
ルルは獣人で肉体派だから魔物の細かな動きや匂い、風を五感で感じて戦うタイプだから苦労したわけか。
「ルルには苦手なタイプだったようだね。栄養ドリンク飲むか?」
頷くので1本渡す。
ごくごくごくっ。ぷはぁ。手を伸ばしてくるのでもう1本渡す。さらに伸ばしてくるのでもう1本・・・全部で10本飲みましたよ。
「大丈夫か、そんなに飲んで鼻血出ないか?あれ、ルルさん何か・・・」
目が泳いでいる。俺はルルが飲んだ栄養ドリンクを確かめると血の気が引いた。
栄養ドリンクだと思って渡したものが絶倫ドリンクだったのだ。モッチョ氏に頼まれて作っていたものだった。
「ルルさん?」
「なんにゃぁ、レッにゃん今日こそ私の物になるがいいにゃ」
ルルが違う意味で襲い掛かってくる。しょうがないな(笑)
俺は両手を広げルルを迎い入れ抱きしめる。
「レッにゃん、私頑張ったにゃ、褒めて欲しいにゃ・・・すぅー」
寝息を立てて寝てしまった。
「そうだな、よく頑張った。今日はゆっくり休もうな」
そう言いルルを抱っこして、みんなで部屋に戻り休むことにした。
―――メモ―――
レッド 白騎士⇒聖騎士 精霊使い⇒妖精ティア⇒召喚士 馬ボレアレス
サーラ 仙女⇒神仙 人形使い⇒チコちゃん⇒召喚士 馬キグス
ルル ウインドアーチャー⇒スナイパー 精霊使い⇒シルフ⇒召喚士 馬セス
シズク 歌姫⇒舞姫 精霊使い⇒サラマンダー⇒召喚士 馬フェニ
リティス 重戦士⇒魔戦士 人形使い⇒アルファ⇒召喚士 馬カリーナ
ウッド ナイトエッジ⇒サレンダー 人形使い⇒スラッシュ⇒召喚士 馬オクス
リーズ 探究者⇒深淵者 精霊使い⇒ノーム⇒召喚士 馬カプス
月花 聖教者⇒高司祭 精霊使い⇒ウンディーネ⇒召喚士 馬アクア
ヨルダ出発から約10ヶ月経過
のんびり書いていきます。




