転職
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正直俺は困っている。何がって、みんなスク水だったからだ。そういう俺もサーフパンツなのだが目のやり場にね・・・。何ていうの、見たいんだけど、見られない葛藤。女性は男性の視線に大抵気づいているって言うからね。
葛藤しつつ進むといつものように神樹があった。
「じゃ、やりますか」
いつものように魔力を流し神樹をアンロックした。
あとは英霊の石碑だが・・・と辺りを探すと、壁に亀裂がある場所があり中を覗くと石碑が見えた。
「ウッド、人形で壁を壊せるか?」
「俺のスラッシャー号の出番っすね」
「やりすぎて石碑まで壊さないでくれよ」
「了解っす」
ウッドがドリルのアタッチメントをつけて嬉々としていた・・・いささか不安だ。
「スラッシュドリルアターック!」
ウッドの掛け声とともにスラッシュ君が猛スピードで壁に突っ込んでいった。
ですよね。やっぱり石碑ごといったようです。
「兄貴!これは俺じゃなくってスラッッシャーがやってですね、それを命令したのが俺であって、結局俺が悪かったっす」
「はぁ、もういいよ。どちらにせよ壊すつもりだったから」
「「「「え?」」」」
「これをアクセに仕込むと、わざわざ石碑の場所まで行かなくても転職出来るようになるんだよ。でもギルドの石碑壊すわけにはいかなかったからな」
昔、プレイヤーからわざわざ石碑に行かなくても転職出来るようにしてくれと要望が沢山寄せられ、運営様が中級以上のプレイヤーに石碑を壊すクエを作ってくれたのだ。その欠片を製作職が加工すると何処でも転職出来るアイテムが出来るのだ。
「みんなのBFRに仕込むから、貸してくれるか」
そういって、みんなの指輪に欠片を仕込んだ。
「使い方は、BFRを使うように魔力を流す。転職と念じれば行けるはずだよ。メインジョブの上級職への転職とサブの上級職への転職を頼む」
みんな真剣に聞いている。
「そこでメインの転職時なんだけど戦闘になると思う。ただし精神世界での戦闘だ」
「どういう事っすか?」
「幽体離脱?リアルの時間が止まり精神だけの体で上位職の英霊との戦闘になる。勝ち負けじゃなく英霊に認められれば大丈夫だ。大事なことだからもう一回言うが、勝ち負けじゃないからな?」
みんなが頷いた。
「そうだ、大事なこと言うの忘れてた。これ認められるまで戦闘終わらないからね。リアルの時間は止まっているけど、精神体で老化はないけど3~4日とかずっと戦いたくないでしょ?気合入れないと1ヶ月とかあるかもしれないから」
みんなの目の色が変わる。
「まず俺から、最初は精霊使いの上位へ転職するよ」
BFR;バトルフォームリングへ転職と念じる。
(・・・望みは・・・)
(ネクロマンサーだ)
(・・・・受け取った)
「ほい、精霊からネクロマンサーへ完了っと。人形は陰陽師だからな」
「「「りょ」」」
「次に、メイン行ってくるよ。みんなも初めていいぞ?」
「「「「はい」」」」
「あとで発表会だな!」
「「「「うん」」」」
そう言って俺は転職を念じた。
(何を望む?)
(みんなを守る力だ!)
(よかろう)
その言葉と同時に周りが暗くなる。唯一明るい場所を見ると、みんなが止まっているのが見えた。自分の眼球の中に極小の自分が浮かんでいるようだった。
「準備は良いか?」
後ろから声が聞こえるので振り向くと全身白く発光した鎧をまとった騎士がいた。
「久しぶりだな、聖騎士さん」
「我の記憶には其方のデータはないが」
「いや、良いんだ。何となく言ってみただけだよ」
「では、聖剣技の数々受け切ってみよ」
「了解だ」
これから聖騎士で覚える特殊技のオンパレードが来るが対処法は覚えている。単純によけるか、バフを焚いて耐えるかの2択だ。
最初はあれだろと思って身構える。案の定セイントレイが来た。聖属性の追尾型の魔法攻撃だ。威力は低いのでバフを使わず盾で受け切る。
「ほう、見事、では次」
次は方向指定の多段攻撃でしょ。俺はバフを焚き身構える。
クロスラッシュ!
7段攻撃なので、1段目を受けると同時に背後に回った。この技の弱点は発動後向きを変えられない点だ。初段のみ受けて残り6段を背後に回り込みやり過ごすのが正解だ。
「見事、次」
セイントブレード
聖属性魔法剣ですね。魔法防御と物理防御のバフを焚き耐えきる。
こんな感じで1時間ほど戦い
「最後だ。これをどう攻略する」
やっとここまで来たよ、長かった。
絶対防御!
これは物理100%カット、魔法80%カットだよな。初見ならあれだが知ってるからな。ダメを入れれば終了だ。これは運営の罠で白騎士技は通らないようになっているが、聖騎士技は通るのだ。まだ聖騎士にはなっていないが、受け切った時点で使えるようになっているのだ。それに気づくまで延々と白騎士技で攻撃しまくっていた過去がありましたよ。
「セイントレイ!聖騎士さんおつ!」
「見事、其方を聖騎士として認めよう」
視界が元に戻った。
「みんなどうだった?」
「どっと疲れたっす・・・」
「私も・・・」
「私も」
「あたしも疲れたんですけどぉ!」
お前は何もしてないだろ!
みんな初見だからしょうがないよな。
「じゃ、ここで食事しながら休憩後に発表会するか」
「「「「うん」」」」
そう言うと、俺は食事の準備を始めた。いつものようにコテージを用意してと思ったが良い事を思いついた。
「ここって誰も知らない場所だよな?それに神樹もあるからファストトラベルですぐに来ることが出来るし、俺達の秘密基地にピッタリじゃないか?」
「兄貴、男の浪漫っす」
ウッドが喰いついてきた。
俺とウッドが共同でログハウスを作ることにした。食事は女子組にお願いして作ってもらい、その間にログハウスを作る。食事を挟み5時間ほどでログハウスが完成した。
10人ぐらいは余裕で収容できる大きさだ。今後少しずつアップグレードしていく予定である。
「レッ君スゴイ」
「ほんとにゃ」
「ウッドちゃんも偉いわよ」
「よし秘密基地も出来たし、一回ファストトラベルやってみるか」
「「「「はい」」」」
神樹に手をかざし、ステータス画面でガイア国の神樹を選んだ。辺りが一瞬歪み眩暈のような感覚が襲うがすぐに元に戻った。辺りを見渡すと成功したらしい。温泉の匂いがする。
「成功だな。便利だろ?」
「そっすね、これでミンクちゃんにいつでも会えるっす」
「あれ、言ってなかったっけ?ミンクちゃんね、クラリス達のマネージャーやってるからそのうち会えると思うよ」
「じゃ、ガイアに居たんすか?」
「maybe」
サムズアップする。
「何でもっと早く教えてくれなかったんすか!ひどいっすよ」
「悪い悪い、コロシアムで会えるようにモッチョ氏に頼んでおくから許してくれ」
「ほんとにホントっすよ?」
「あぁ、任せておけ。男に二言はある」
「アニキ・・・・」
「嘘だよ。きちんと準備しますよ」
女子組は大笑いしていた。
「じゃ、発表会といっても今回は新たに召喚するわけじゃないから情報交換でもするか」
みんなが頷く
「じゃ俺からいくっス。とにかく疲れたっす。肉体的じゃなくって心?が疲れたっす。英霊と戦闘になって1週間以上戦って1週間超えてからは数えてないっす」
まぁそうだろうな。攻略法が分かればすぐなんだが、この世界には攻略wikiみたいなの無いからね。
「途中から兄貴の言ったこと思い出して、それからすんなりいったっす」
初めから教えても良かったが、それだと身につかないからな。自分で経験したことは忘れにくいから。
「まぁ、最後の転職はその人に打ち勝つんだぜ?」
「マジっすか・・・・」
「マジだよ。でもみんななら余裕で勝てると思っている。俺が信じているみんなだから自分を信じて戦ってくれ。お前たちは強い」
そんな話をしながら、その日はそこで宿泊をした。
レッド 白騎士⇒聖騎士 精霊使い⇒妖精ティア⇒ネクロマンサー 馬ボレアレス
サーラ 仙女⇒神仙 人形使い⇒チコちゃん⇒陰陽師 馬キグス
ルル ウインドアーチャー⇒スナイパー 精霊使い⇒シルフ⇒ネクロマンサー 馬セス
シズク 歌姫⇒舞姫 精霊使い⇒サラマンダー⇒ネクロマンサー 馬フェニ
リティス 重戦士⇒魔戦士 人形使い⇒アルファ⇒陰陽師 馬カリーナ
ウッド ナイトエッジ⇒サレンダー 人形使い⇒スラッシュ⇒陰陽師 馬オクス
リーズ 探究者⇒深淵者 精霊使い⇒ノーム⇒ネクロマンサー 馬カプス
月花 聖教者⇒高司祭 精霊使い⇒ウンディーネ⇒ネクロマンサー 馬アクア
陰陽師・・・式神を呼ぶことが出来る。稀に素戔嗚などが出てくることもあるらしいが大抵ピンチの時には出てこないあるある。
ネクロマンサー・・・死者の軍団を呼び出すことが出来る。1体の能力は低いが稀に過去の英雄が出てくることもあるらしいが大抵ピンチの時には出てこないあるある。
のんびり書いていきます。




