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夜の採集は基本だから

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 発表会の夜、俺は一人で採集に向かった。あ、一人じゃなかったティアも居た。

「なんでお前も来るのよ?」


「しょうがないじゃない。一応あなたがマスターなんだしぃ」

 一応って・・・・


「いや、あの、そのマスター様について行くのが仕事ですぅ」

 ふぅ・・・

 まぁ呼び出していれば経験値入るからな・・・しょうがない。


「それに他の人にはあたしの事見えないよぉ。あたし戦闘力ないからね!だから邪魔はしないからぁ」

 だな。サラマンダーとか戦闘力があるものが姿を消す、もしくは見えなければ一方的に攻撃が出来る。運営様がそんな設定をするわけがない。でも戦闘力がなければ見えなくても害はないから当然と言えば当然。だけど戦闘力ないからねって胸張って言うことじゃねーだろが。


「まさか、ずっと岩掘って、木を伐採して、薬草取ったりするだけぇ?」


「そうだけど?」


「あたし、つまらないんですけどぉ」

 ほほう・・・・・


「いや、うそ、うそだから。いやぁ楽しいなぁ夜の散歩は・・ハハハ」


「だよな?」


「はい、その通りですぅ」

 素材までマーケットで買っていたら儲かりませんから。


 ひたすらに採集ですよ。黙々とね・・・


「・・・・い、・・・こ・て・・すか。マスターーーーー」

 おっと集中しすぎていたようだ。


「なに?」


「逆に何そのうるさいなぁ見たいな顔は?」

 ほほぅ・・・・


「うそうそうそ、失言でした」


「で?」


「あっちの方が騒がしいけど行ってみたいなぁ的な?」

 指さす方に集中すると戦闘音が聞こえてきたので、どうやら本当の様だ。この辺りはLv40~45ほどの魔物が出現するから移動中に遭遇して戦闘になったんだろう。


「ちょっと見に行くか?」

 そんなに遠くではなかったので気配を消して様子を見ることにした。


「マスターならそう言ってくれるって信じてた!」

 現金な奴だな。


 戦闘音のする場所へ到着した。どうやらゴーレムの集団に襲われているようだ。


 明らかに劣勢・・・それもそうだ、港町で見た姫ちゃんがいるからな。名前忘れたけど3人の奴隷さんが頑張っていた。ゲームならロールプレイを楽しめるが、ここは現実?だから、死んだら終わりだ。奴隷さんは分かっているのだろうか。

 ゴーレム4体に囲まれているが姫ちゃんが機能していないせいで防戦一方だ。よくここまで来られたものだ。


「マスター、まさか見捨てる気?」


「いや、助けるよ。目の前にいる人だけでも助けるって決めているんだ」

 すべての人は救えないのは分かっている。だから目の前にいる人だけでも助けたいと。


「あんた、良い奴じゃない。見直したわよぉ」

 はいはい。


 俺はティアにポーションを渡し駆け出す。


(ボレアレス、来い)

(承知)

 BFRに魔力を流し装備を装着し、ボレアレスに飛び乗る。格下相手なので余裕だった。装備もレジェンドで固めたのでなおさらだった。


 どうやら4人とも無事だったようだ。俺は装備を採集スタイルに戻す。


「どうしてこんなところに居る?」


「名前付きが出たと聞いて・・・」

 お前たちでは絶対無理だろう・・・


「では聞くがお前たちのLvは?」


「全員Lv36です」

 ドカーーン、俺の鉄拳でタンクが吹き飛ぶ。


「次、そこのダンジョンの推奨Lvはいくつだ?」


「たしか、Lv40かと・・」

 忍者が吹き飛んだ


「次、なぜ3人で戦っていたんだ?」


「われらの姫に・・・」

 ヒーラーが吹き飛ぶ


「次、何でお前はここにいるんだ?」


「わ、私が、み、みんなに・・・ご、ごめんなさい」

 振り合あげた手を頭にのせる。


 ポンッ


「わかっていればいいんだよ。良かったな、みんな無事で」

 以前、リティスに手をあげたことがあったが、今でも自責の念に悩まされていた。今回の原因はこの子にもあったのだが、取り巻きが一番の原因なのだろう。


「は・・い、グズッズ、ごべんなざい。私のぜいで・・ウッ・ウッ」

 そういやティアはどこだと探していると隣で姫ちゃんを見ていた。


「この子は・・・多分・・・いえ、きっと強くなる」

 何かまともなこと言っているので覗き込むと姫ちゃんを見ているようだけど遠くを見ている?


「おい、ティア?」


「あれ、あたし何か言ってた?」


「もういいよ、男どもにポーション振りかけてきてくれ」


「了解しましたぁ」



「ありがとうございます、私がタンク兼リーダーのロドルです」

 犬族ね。


「私はヨーケル、忍者をやっています」

 ホビットですね。


「私はヴィト、ヒーラー担当です」

 人族ね。


「わだじが・・うっうっ、りゅうぎじのグラリズでず」

 エルフですね。つーか、まだ泣いてんのかよ。


「いつまで泣いてんだよ、先を見ろよ。泣いていても進めないんだよ。失敗を吸収して次につなげて同じ失敗しなければ良いだろ?」


「そーよ、クラリスちゃん。泣いてばっかりだと前に進めないよ。それとも終わりにするの?」


「いやだ。まだみんなと冒険じたいでずぅ」


「だったら、いつまでも泣かないでマスターの話を聞いてみたらぁ?」


「・・・はい」

 どうやら落ち着いたようなので、適当な広さの場所を見つけてコテージを設置した。


「中で話そう」


「ロドルだっけ?クラリスが続けたいって言ってるけどお前たちはどうなんだ?」


「俺たちは、3人ともスラム出身なんです。そんな俺達に手を差し伸べてくれたのがクラリス嬢でした」

 で?


「最初はクラリス嬢に助けられてばっかりだったんですが、次第に俺達もLvが上がって同Lvになってからは恩返しのつもりで安全な後方に待機してもらっていたんです。悪いのは俺達でクラリス嬢は悪くないです」


「そんな、私の方こそみんなを利用していたみたいで、ごめんなさい」

 うん。


「俺たちは利用されたとしても、そんなことでクラリス嬢を恨んだりなんかしません」

 はい。


「私も利用するなんて思ったことは一度もないわ。あなた達と一緒に冒険するのが楽しかったの。それは信じて」

 へぇ。


「クラリス嬢・・・俺達はあなたの為なら死ねる。そうだろみんな?」

 ヨーケルとヴィトが頷く。


 これ、いつまで続くん?ティアさん寝てますよ・・・


「だまれ、いいから黙ってくれ」

 睨むと黙ってくれた。


「簡単に言うと、冒険者を続けるってことでいいか?」

 4人が頷く。


「俺にいい考えがあるが聞くか?悪いようにはしないから安心してくれ。むしろラッキーかもよ?」

 と言うと、何やら相談していたが俺の話に乗ると結論が出たようだ。


「明日、ガイア王都の紙に書いている人物に会ってこい。王都に着いたら紙の中を見ろ。今は見るなよ」

 紙を渡した。


「で、今日はもう寝ろ。俺が外で見張っているから安心しろ。以上」

 4人が急いで就寝の準備を始めたので俺は外に出た。


(あーもしもし、聞こえますかー)

(ムニャムニャ、ふぁい)

(あ、ごめんね、寝ているところなのに)

(だ、大丈夫です。如何されました?)

(明日か明後日、モッチョ氏のところに冒険者が行くと思うんだけどね)

(はいはい)

(それでちょっとした構想があるんだけど聞いてくれる?)

(もちろんですとも。何か面白そうな気配がしますな)

(でしょ。あのね・・・・)

(ほほぅ、それはなんと・・・)


 モッチョ氏との密談が終わり、コテージ周りの採集をしながら朝まで時間をつぶした。


のんびり書いていきます。

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[気になる点] >「わ、私が、み、みんなに・・・ご、ごめんなさい」 >振り合あげた手を頭にのせる。 >ポンッ これで何故レッドが慰めたのかが私には伝わりませんでした。 『私がみんなに、自分たちの…
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