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新たな仲間とギッシュ

5


 ダンジョンを出ると外は夕日が沈む時間だったので一日半ダンジョンにいた計算になる。その後、夜になる前に急ぎ街へ向かい、リティス達は宿へ俺たちはギルドへダンジョン攻略と無事帰還したことを報告した。俺達の報告を受けたギルドのお姉さんが書類を確認していると、


「レッドさんたちのメンバーは皆さんEランクへランクアップ出来るようですが、どうしますか?」

 何と、これまでの貢献度を踏まえてランクが上がるとの事。


「あ、そうですか・・・では、お願いします」

 俺はランクには興味がないのだが、他3名は大喜びだった。言われるままにギルドタグを渡すと更新作業の為裏手に行ってしまったため待つことにする。


「意外と待たされんだな・・・・」

 待つのが嫌いな俺がボソッと言うと


「良いじゃない、ランク上がるし、報酬の手取り分も増えるし我慢しようよ」

 サーラが嬉しそうに言う。


 なぜならランクが上がるほどにギルドの素材買い取り額がupするし、依頼主からの報酬のうちギルドが手数料として差し引く分が減るのだ。ランクが上がり素材買い取りupするのは、ランクが上がることによって魔物を綺麗に倒すことができ、結果良質な素材となるためだ。激戦の末、倒した魔物の素材は使える部分が少ない。手数料の部分は規定があるらしく低いランクは手数料が高く、高ランクになると手数料が低くなるようだ。ギルドへ依頼される仕事のうち圧倒的に多いのが低ランク向けであり、高ランクの依頼は滅多にない。したがってギルドの収入源の多くは低ランク向けの手数料になるが低ランク冒険者へのサポートは厚くなっているので不満が出ることは少ない。

 では高ランクの冒険者は何処で稼ぐのか。それは依頼ではなくダンジョンの魔物素材や国から依頼の魔物討伐遠征隊などだ。これらはギルドを通さず直接マーケットに流したり、国から受けることでダイレクトに懐に金が入る。

 だが高ランクになると良い事ばかりではない。不測の事態が生じた場合、有無を言わさず駆り出される。例えば古龍が出現した場合など被害が生じる前に討伐しなければならないが、その際の討伐部隊に強制的に組み込まれてしまう。熟練の冒険者であれば良いが、運が悪いとランクアップした日に強制参加させられ命を落とす場合もある。


10分ほど待ち更新が終わりギルドタグを受け取り外へ出た。


「見た感じは何も変わらないな?縁が付いたくらいか?」

 俺はまじまじとタグを見つめ言うと、シズクが俺の裾を引っ張るので顔をあげる。すると、そこにはリティス達がいた。


「おう、お前たちも報告か?」


「それもありますが、今は違います。あの・・・・相談というか、お願いがあるのですが」

 リティスが緊張気味に言う。


「どうした?ダンジョンの報酬はお前たちにすべてやっただろ?足りないのか?」


「違うんです!十分すぎるくらいです。厚かましいとは思うのですが私たちをレッド様のチームへ入れていただけないかと・・・」


「・・・・どうしたもんかね」

 俺はサーラ達をみる。


「レッドに任せるわ」

 とサーラ


「レッ君に任せる」

 とシズク


「まかせるにゃ」

 とルル


(全投げかよ!あーもう・・・)


「俺は欲張りだ。俺のチームに入るということは家族になるのと同じ。俺は全力でお前たちを守るだろう。隠し事もなしだ。逆に裏切りは許さない。裏切れば俺が必ず殺す。それでいいなら構わんよ。誓えるか?」

 殺すは言い過ぎだったが、これもサーラやシズク、ルルを守るためだ。


「「「「誓います」」」」

 全員の声が揃って答えた。良いPTだな。


「そうか分かった、なら、まずはリティス達もギルドで報告するといい。話はそれからだ」

 すぐにでもきちんとした答えが欲しかったのかその場から動かない。あぁめんどくせぇ・・


「とりあえずギルドに ほ う こ く しろ」

 半ば半ギレで言うと、すぐに報告に行ってくれた。


 出てきたときみんな笑顔だった。嬉しそうな顔はいいよな、こっちまで嬉しい気持ちになるから。


「じゃとりあえず、サーラ達はリティス達と一緒に宿屋へ行っててくれ。俺はマーケットに寄ってから行く」


「わかった。夕飯はどうするの?」

 サーラが聞いてくる


「今日は外食にしよう。リティス達の仲間入りを祝って豪勢に行こうか!」

 皆から歓声が上がる。


「りょうかい☆」

 スゲーいい笑顔のサーラ。ズキューーーーンですよ。おかしい・・・ツンしかないキャラだったのに。


 みんなと別れて姿が見えなくなったところで、フード付きマントを羽織りマスクをつけた。何故かッて?俺は目立つのだ。髪の色は名前と同じ赤というか朱色で瞳の色が金色なのです。顔だけが元の顔という・・。どうせならMMO時代のキャラと同じ超イケメンにしてほしかった。

 あと作った装備を捌くのにレッドの名を使うと今後の人生に支障が出そうな勢いだったのだ。一昨日高品質を持っていった時の受付の驚きを考えると必然だと思えたのだ。レジェンドクラスをもしマケに流せば国外流出を恐れた国が俺を軟禁しそうな未来が見えたのである。

 だから銘には別の名を用意した。シルバーファングと・・・中二だな。反省はしない。プレイヤー時は別名での製作は出来ない仕様だったのだが、この世界に入ってしまえば色々とやり方はあったのだ。普通に偽名を使って登録しただけなんですがね・・・

 冒険者と違い製作、採集職は審査基準が甘かった。製作したり、採ったものがすべてであり素性などで商品の価値が左右されることはないのだ。


 マケに到着し受付のお姉さんに話しかけると少々お待ちくださいと奥へ行ってしまった。しばらく待つと太ったホビット族らしいおっさんが駆け足でやってきた。らしいというのは小太りな人族なのかホビットなのか分からないのだ。


「いやいや、お待たせして申し訳ありません。私この街の商工会の会長をやらせていただいているモッチョといいます。ファング様とお呼びしてよろしいですかな?」

 うなずく俺


「ここでは何ですから、奥の部屋でお話をしたいのですが、お時間はありますでしょうか?」

 ん?めんどくさいのは嫌だな。お金だけくれればいいのにと思っていると


「今後の件についてお話がしたく、、、」

 今後の事も考えると無碍には出来ないと思い


「夕食の予定が入っているので、手短に済むのであれば話を聞こう」

 横柄な態度で答えた。変に下手に出るとイニシアチブをとられかねないので、あくまでもこちらが上という感じを出していった。


「ありがとうございます。ではこちらへ」


 案内された部屋は、とてもきれいな応接室だった。俺たちの宿より数倍きれいだ。感心していると秘書っぽい女性が紅茶を用意してくれた。


「ありがとう」

 礼を言って飲んだ。マスクしているだろって?マスクは付けているけど顔半分が隠れるタイプなのだ。目が隠せれば問題なかったのだが眼鏡だと雰囲気でないでしょ?雰囲気大事だからと自分を納得させた。

 というかこの紅茶旨すぎだろ。素人でもわかるって、、、こっそり鑑定するとLv25だった。通常庶民が飲んでいる紅茶のLvは3程度なので好待遇だ。


「ファング殿にはわかるようですね」

 モッチョが意味深に俺に言ってくる。なんか不愉快だな、帰るか。


「お、お、お待ちください!ファング殿。不愉快にさせた事は深くお詫びします」

 立ち上がりかけた俺に飛び上がりつつ土下座する。これが噂のジャンピング土下座か。リアルで見るとすげー面白いな。


「申し訳ありません。ですが私共商人は相手の力量をみないと信用できない人種のようでして、私も例にもれず自分の目で確認しないとダメな人種でして、、、」

 話が長そうなのでぶった切った。


「もういい、わかったから、何がしたいんだ?」


「ありがとうございます。手短に言うと、わたしとパートナー契約を結んでいただきたく・・・」


「そのパートナーになる俺のメリットは何だ?」


「私は自分で言うのもなんですが、できる商人だと思います。歳は20ですが商工会の会長に就任したことが実力を裏付けていると自負しております。私が、私共が専属でサポートすれば大陸一のブランドを目指すことも可能になると考えています。あなたの作品には何か・・・そう、一目見たときに未来のビジョンが一瞬見えたような気がするのです。予知能力ではないのですが、これに裏切られたことは未だありません」

 あれ、そんなにアブラギッシュデブリーで20才だったの?てっきり40後半くらいかと・・・


「今回が初めて裏切られるかもしれんぞ」


「それで、ダメだったら自分はそれまでの男だったのでしょう。諦めますよ」

 脂ぎった顔だが清々しく答えた。こいつは信用できると思ってしまった。であれば答えは一つ。


「わかった、パートナーとやらになろうか」

 作って売って作って売ってを繰り返し、所持金カンスト目指そうと思ったけど、こいつに頼めばもう少し楽ができそうな気がすると思った。


「ではこちらをお持ちください」

 と指輪を渡される。


「これは?」


「それは、わたしと、ファング殿で、どこにいても直通秘匿会話が可能になるマジックアイテムです。」


「パーティー会話みたいなものか?」


「そうです、私ども商人はパーティには入れないので代用品になります」

 便利なものがあるもんだな。あとで生産リストを確認することにした。


「ほかに何かあるか?」

 夕食時間も近付いているため切り上げようとする


「一つあります」

 目配せで促す


「ファング殿の製作した商品はモッチョ商会で独占したいと。簡単に言うと独占販売です」


「俺に何かデメリットはあるのか?」


「私どもの商会にしか商品が卸せなくなります。ですが5国すべてに私どもの商会支部があるので問題はないと思います。」

 これはwinwinというやつか。俺にとっては出品の手間と商人の情報網が手に入るだけでマイナスがない。商人や生産者は冒険者と違い税金を納めなくてはならない。そんな面倒事も任せられるので即決だな。裏切ったら相応の対価を支払ってもらうけどな。


「わかった。君に任せよう!」

 口元に笑顔を作りモッチョと握手をする。営業スマイル大事ですからね。帰り際に売却された商品の代金を受け取り、レベル上げ用に採集した素材を売ってもらうためにアイテムボックスから取り出し渡す。モッチョに渡した素材が高品質のものだったので驚いたようだが、慌てた様子も見せず対応してくれた。出来る商人の動きだった。


 外に出て変装を解きホクホク顔で宿屋へと向かう。なんせ武器防具合わせて10点出品して100万Gになったのだ。旨すぎる。宿屋一人一泊食事なしで3000Gで、食事も贅沢しなければ一食600Gも出せば山盛り食べることが出来る。しばらく働かなくても良いだろうがそうはいかない。やることは沢山あるのだ。


私事ですが、2~3話ほど次元の狭間に消えました。上書きするときは注意しないと再認識。すこしモチベダウン中。

今日はあと1話追加します。

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