居るんだねぇ
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ガイア南部の港町ツィガが見えてきた。
「みんな、街が見えてきたぞ」
「何か石ばっかっすね」
ランドが木造メインならガイアは石材メインだった。
石のブロックで作った家がほとんどだった。緑色のものが見当たらない町で、白い石で作った家が立ち並び白一色だった。
「なんか野菜が食べたくなるな・・・」
「レッドもそう思う?私もなんかそんな感じ」
サーラも同じような気持ちらしい。
船が接岸し俺たちは船を降りた。
「まだ、地面が揺れているような気がするよ」
「レッ君、治す?」
「大丈夫、すぐ元に戻るよ。心配してくれてありがとう」
シズクを撫でる。
キャラバンの荷下ろしには時間が掛かるということなので、俺たちは市場を見学しに行った。朝だったので、獲れたて魚介類が並んでおり人も沢山いた。その人ごみの中にキャラバン隊の胃袋を満たす料理長のリックさんを見つけた。はたから見ると料理人には見えないほど筋骨隆々で2mの長身、顔には傷があり、まるでヤ〇ザ。目立つのですぐにわかる。
「リックさん、何しているんですか?」
「おぉ、レッド君か。このタウンにはシークレットでフェイマスショップがあるんだよ。そこのテイストをスティールってわけだ」
なにそれ意味が分からないし・・・ルー〇柴じゃん。
でも味を盗みにってことは、旨さは期待できそうだな。
「一緒に行っても良いですか。みんなも行きたいよな?」
「「「うん」」」
「ウェルカム。ミーと一緒にゴーだよ」
もう、イミフ。
お店はこじんまりとした普通の食堂だった。
メニューも普通・・・名店ですよね?って顔をしていると
「ここは、出汁がグッドなテイスト。だから何をオーダーしてもエクセレントなのよね」
めんどくさいので普通にしゃべってくれよと思った。
俺は、鯛茶漬けと生シラス丼を頼んだ。
みんなは特上うな重を頼んでいた。俺もそうすれば良かったと思ったが時すでに時間切れでシラス丼が出てきた。
まだ生きているシラスにワサビ醤油をかけて食べる・・・うんまーい。甘くてしょっぱくて絶妙、夢中で食す。食べ終わる頃に鯛茶漬けが出てきた。
生臭さなど皆無、奥深い出汁が相まって一瞬で食してしまった。
「あー旨かった」
「ミーのセイ、アンダスタン?」
めんどくさ・・・悪い人じゃないんだけど・・・
適当に頷いた。
みんなを見ると、うな重はまだだった。
(フッ勝ったな)
何にだよって自分にツッコミを入れつつ席を立った。
「じゃ、先に外で待ってるよ」
決して負け惜しみではないですよ、ウナギにすればなんてこれっぽっちもね・・・
とりあえず全員の会計を済まして外へ出た。
相変わらず通りは人でごった返していた。
「すげー人だな・・・」
ふと眺めていると浮いている一団が目に飛び込む。ダンジョン帰りなのかフル装備の4人パーティーだった。犬族のタンクにホビットの忍者に人族のヒーラー、そして紅一点エルフの竜騎士だろう。3人がエルフのお姉さんをエスコートするように案内していた。
「クラリス嬢、今日は大活躍でしたね」
「そうですね、ボスへの最後の一撃、しびれましたよ」
「被弾もしないなんて神ですね」
3人とも防具にかなりの損傷が見られた。激戦だったのだろう。
「私、怖かったわ。でも皆が助けてくれたから頑張れました。ありがとう❤️」
戦闘後だろうに、傷一つない防具が光り輝いていた。
うは(笑)、スゲーPTみちゃったな・・・
俺的には、3人が頑張って削って、最後の一撃まで後ろで隠れていた竜騎士が遠距離からジャンプ攻撃したとしか聞こえない・・・姫ちゃんじゃねーか。
どこの世界にも姫ちゃんいるんですねぇ・・・まぁでも居ると安心するっていうか何ですかね?自分のパーティーに居なくて良かったけど、他人のパーティーに居ると嬉しくなるっていうか清涼剤?とにかく見てるだけが良い存在かな・・・
「どうしたの?」
「うわっ、サーラか、脅かすなよぉ」
「ごめん、声かけても何かに夢中になってたから・・」
「そっか、俺の方こそゴメンな、気が付かなくって。それより、うな重旨かった?」
「うん、とっても。レッドも頼めばよかったのに」
うな重に気が付く前に、他を頼んでしまったんだよ・・・
他人の注文で気が付くあるあるですよ。
「俺のも旨かったぜ」
「じゃぁ、今度あたしも食べたいから一緒に来よう・・・」
ん?どうした。
あ、女子組全員見ていらっしゃるのね。理解しました。
「とゴニョゴニョ・・・・みんなで来ましょうね」
「そうだな。また、みんなで来ような」
「「「うん」」」
一件落着。
そろそろ荷下ろしも終わるころだろし、船着き場まで戻ることにした。
のんびり書いていきます。




