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涙のバーベキュー

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その夜、ダイニングに寝袋を敷いて寝た。

6畳に8人分の寝袋だから、どういう状況か分かると思う。寝返りがうてませんて!

それに寝る場所で揉めると思っていたが、そんなこともなかった。

俺の両隣はシズクと月花で頭のところにリティスとサーラだった。イメージは阪神タイガースのマークみたいな。ウッドとリーズは自分たちの部屋で寝ることも出来たが、俺達と一緒を選んだ。


「なんか、こういうの久しぶりで楽しいな!」

修学旅行みたいでワクワクする。


「「「うん」」」

女子組は喜んでいた。


「明日も早いから、早めに寝よう。おやすみ」


「「「おやすみなさい」」」


深夜

ガッ!

頭に衝撃が走る。どうやら誰かが俺の頭を蹴ったようだ。


「痛っ、誰だよ・・ったくもう」

俺は周りを見た。どうやら犯人はリティスの様だ。


「寝相が悪いにも程が・・・・」

絶句。何とリティさん・・・パンツ履いてません。いやショーツ?どっちなんだよ!

この際呼び名はどっちでもいい。とにかく丸見えです。

まずい、目がそこから動かせない・・・誰か助けて!

そうだ、困ったときのモッチョ氏だった。ギッシュを思い出すことにした。すると、あら不思議、荒ぶりそうな下半身も正常な状態へ。

どうやら無の境地?悟り?を会得したようです。


「みんなおはよう」


「兄貴、目が赤いっすよ。寝られなかったんすか」

どうやら修業が足りなかったようだな。もっと精進しなければ。


「よく寝たんだけどねぇ・・」


「大丈夫ならいいんすけど」


「問題ないよ」

俺達は両親を起こさないように静かに外へ出る。


馬を呼び出し、北部へ向かう。

(ボレアレス、何か感じるか?)

(進行方向に邪気を感じる)

(そっちに向かってくれ)

(承知)


1時間も経たないうちにゴブリンの集団がいると思われる洞窟前に着いた。

(この中か?)

(うむ)

「とりあえず、ウッドを先頭に進み、広い場所に出たらリーズの範囲でやっちゃいましょう。馬にも協力してもらって総勢16人馬で殲滅するぞ」


「「「りょ」」」


案の定、ヨルダの北部で戦ったゴブリン集団と同じ規模だったが、上級職になり格下のゴブリンロードなど敵ではなかった。


「レッ君、ここにもあれがあるよ」

指さす方を見ると、神樹があった。


「みんな集まってくれ。ここの神樹を復活させるぞ」


「「「はーい」」」

魔力を注いで機能を回復させた。


「これで、ヨルダ北部の洞窟まで一瞬で行けるはずだ」


「マジっすか」


「多分ね、まだ使ったことないから多分だ」

うわ、ウッドの目がミンクちゃんて感じになってる・・・

わかりやすっ!


「使うときはみんな一緒にやろうな?」

うなだれるウッド。いつか会えるから焦んなし。


やれることは終わったのでカルピの村に戻ることにした。

村に戻るとウッドのお父さんが騒いでいた。


「行かせてくれ!リーズを助けるんだ!」

あぁ、そういうこと。

「あんたが行ってもどうしようもないじゃないか。討伐隊が来るまで待つんだ」

村人が止めている。

「リズがいなくなったら儂は・・・親より先に死ぬ子供があってはならん」

分かりますよ、よくわかる。

俺はリーズの背中を行ってこいと押した。


「お父さん!ただいま・・・私なら大丈夫だよ」

お父さんがリーズを抱きしめる。

「ちょ、お父さん痛いよ・・」


「おお、すまないな。でも無事でよかった。それにしても・・・・お前を危ない目に合わせているのはあやつだな」

あれ・・俺の方に向かって来てますよ・・・どうしたらいいの・・・

今回は鍬持ってます。怖いです。


「スリープ」

リーズの魔法発動。

うん、夜まで起きないね。


そしてウッドがお父さんをおぶって運び、母親に説明した。

ウッドの家の周りに村中の人が集まって来ていた。

どうすっぺ・・・集まりすぎじゃね・・・

「よし、持ってきた食材使ってみんなでバーベキューでもするか!」

みんなのアイテムボックスからありったけの食材と飲み物を出した。


「告知に行こう」

「「「うん」」」


「本日夕方より、村の中央広場でバーベキュー大会を行います。参加費無料です。皆さんの参加お待ちしております。あとゴブリンは討伐されたようなので安心してご参加下さい」

一通り告知が終わると、集まった村人が散っていったのでウッドの実家の中へと戻った。


その夜。

盛大な焚火を用意してのバーベキュー大会が開催された。

ウッドは大勢の子供たちの前でダンジョン攻略の話をしていた。子供たちの眼差しは英雄を見るそれと同じだった。

ウッドが子供の頃に感じたものを共感してくれているはずだろう。

リーズは、同郷の同い年の子達から質問攻めにあっていた。

残った俺達は、焼き係やお酌係に分かれて裏方をやっていた。


「すまんかったのう・・・」

ウッドのお父さんだ。


「いえいえ、お気になさらずに」


「そう言ってもらえると助かるわ。あいつらも大人になって離れていくのだな。わかっているつもりだが・・」


「ウッドは、いつもご両親と妹さんの事を考えていますよ」


「あのウッドがな・・・めんどくさがりでサボってばかりだったのになぁ。リズもウッドの後ろばかり追いかけていたのに・・あんなに立派になって・・」

男子三日会わざれば刮目してみよと、親の心子知らずか・・難しいな。


「お父さんのお子さんはもっと有名になりますよ」


「そうか・・・生きていてさえくれれば、それだけで良いのだがな・・・・・・ん?儂はいつからお主のお義父さんになったのかのぅ?」

あれ、またですか・・・とりあえず身構える。


「嘘じゃよ。これからも2人を宜しく頼む。そしてありがとう」


「僕が命に代えても守りますよ。お父さんの気持ち、分かりますから」


「頼む・・・・」

男泣きだった。


盛況のうちにバーベキュー大会が終わった。


翌朝、出立の準備が終わりご両親にあいさつを済ませ王都へ向かった。


「行ってしまいましたね」


「そうだな」


「ウッドがお父さんにって、これ」

封筒を渡す


「なんじゃこれは?・・・こんな大金を・・・」

どうやら300万程包んだようだ。


「なんか、子供が遠くに感じますね」


「そうだな・・・それにしても気持ちの良い奴だったなぁ」


「誰がです?」


「あの赤髪よ。若いんだか歳取ってるのか分からん掴みどころがない奴よ」


「あぁ、レッドさんね。あの子達も楽しそうだったし、自由に、そうね、雲のように好きに生きてほしいわ。彼にはそれが出来るわ」


「儂も若ければついていきたくなる若者だったな」


「あら、私では不満なの?」


「そうは言ってないよ。二人の子供とお前に出会えて儂の人生は満ち足りたよ。もう思い残すことは無い」


「冗談よ。それに、まだまだ人生はこれからよ」


「そうだったな」


窓辺に両親の寄り添う姿をみて、リーズが涙を浮かべていた。


「大丈夫か?」


「大丈夫です。行きましょう」


「あれだったら帰っても良いっすよ」


「もう!お兄ちゃん!怒るよ」

いつもの風景だ。

俺はこのチームが好きだ。何があっても守ろうと誓う。


のんびり書いていきます。

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