説得
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今後の予定を話し合うためモッチョ氏と宿屋のラウンジへ行った。
「ドワーフ国へ行く前に、ウッドの故郷へ寄っていこうと思うんだけど、いい?」
「ドワーフのLv30~40までのダンジョンは調べ終わっています。もちろん寄り道も大歓迎ですが、ガイアに行くにはランド首都、ここから船で行くことになります」
うんうん。
「聞くところによると、ウッドさん兄妹の村カルピはここから北部になります」
はいはい、往復分が勿体ないという事ね。
「分かった。ウッドの村へは俺達だけで行くよ」
「そうしていただけると助かります」
「シリカは大丈夫そう?」
「出来れば、あと1週間ほどお手本を見せて頂けると彼女も安心すると思います」
「だよね。1週間見ながら、自分たちの装備もLv40迄作ることにするよ」
となると、ガイアへは2週間後に出発だな。
「有難うございます。それだけ時間を頂ければ私共もランドでの新規事業等安定させることも出来ます」
そういや、銀行とか学校とか頼んでいたよね。忘れてたわ・・・
「だよね!そうだよね。モッチョ氏に色々頼んで申し訳ないね」
申し訳なさそうにモッチョ氏に向かって両手を合わせて拝む。
「や、やめて下さい。私はファング殿を信じています。むしろ崇拝?」
いや、崇拝とか怖いから。
「あ、あ、そうなんだ、ハハハ・・俺もモッチョ氏を信じてますよ」
「私たちは、相性が抜群ですな。一心同体とでも言いましょうか」
いや、怖いから。
「だよね・・・じゃぁみんなに相談した後、工房へ行くよ。シリカにも伝えておいてくれる?」
「分かりました。秘書のライラからシリカへ伝えさせます」
「ありがとう、行ってくるわ」
そう言って、俺は部屋へ向かった。
さて、どう言って女子組を説得するか・・・・難しいな・・・・1週間か・・・
考えてもしょうがない、当たって砕けろだ。
「思うにゃ。最近のレッドは私たちを蔑ろにしてるって」
ルルさん、ごもっともです。でもね将来を考えてですね・・・
「最近レッ君が冷たく感じる」
シズク!!!
あれ・・・信じてるって、いつも言ってくれていたじゃん・・・
「そうね、レッドはいつも外に遊びに行って私たちの事を考えていないわ」
いやいや、遊んでないですよ。むしろ働いているんですけど。
「ですわね。私もサーラさんの意見に1票ですわ」
リティスさんまで・・・
「船で私を介抱してくれたレッドさんは何処へ行ってしまったのですか?」
月花さん、あれはあなたが・・・
「わ、わたしも、みんなの意見と同じです・・・」
リーズ?歯切れが悪いぞ?と思っていると、サーラに何か言われたようで
「私もみんなと同じ意見です!」
言い直したよ。しかも語尾きつめで。
どうする俺。どうしたらいいの、誰かヘルプ!
「そこで、提案があるのだけれど聞いてくれる?」
困っている俺に、サーラが言ってきた。
「なに?」
「簡単な事よ。1日一人とデートしてくれたらいいわ。6人いるから6日間ね」
「遊んでるわけじゃないから、夕方からになるけど良い?」
「もちろんよ。最終日は6人とレッドでデートよ?」
「わかりました」
ハニートラップをどう切り抜けよう・・・
「なによ、うれしくないの?」
「すごくうれしいです!」
嬉しいけど、誰か一人とか選べないよ?
「それで、私たちの誰かを選んでも良いし・・、全員と結婚してく・・・」
俺の心の声が聞こえたのかサーラがゴニョゴニョ言っている。
あー聞こえない。聞こえなかったことにしておこう。
「そゆことで、行ってきます!今日は誰とデートかな?」
「私にゃ」
ルルか。最近ゆっくりと話すこともなかったから色々と話そうと思う。
「分かった。宿屋に迎えに来るよ」
「待ってるにゃ」
俺はシリカの待つ工房へ向かった。
「待たせたな」
「いえ、本日も宜しくお願いします」
「一つ、何か作ってみてくれ」
俺は、シリカの上達具合を見ることにした。
「出来ました」
うん、高品質だがムラがあるな。魔力の流し具合にムラがあるのでそこを指摘した。
「しばらく、それを練習するんだ。素材はいくらでもあるからどんどんやるがいい」
「ファング様。一つ伺いたいことが」
「なんだ?」
「ファング様はレッド様なのですか?」
ギクッ・・・
女子って何でこんなにも鋭いのですか?
「何を言っているのだ。彼は友人だ」
しらを切り通す。
「失礼な事を言って申し訳ありません」
「いや、良いんだ。なぜそう思った?」
今後の為に聞いておこう。
「魔力の色がレッド様と同じだったものですから」
はい?魔力って色があるの???そんな設定ありましたっけ?
「シリカは魔力の色が見えるのか?私は魔力を見るというか感じることは出来るが色までは分からない。みんな見えるものなのか?」
「小さいころに、それで虐められたことがあったので私だけかと」
「そうか。俺の魔力は何色だ?」
「金色です。今まで生きてきた中で金色を見たのは、レッド様とファング様だけです」
これはあれだな、プレイヤーキャラだからなのかもしれないな。鱗が関係していると思う。
キャラを作成してゲームを始めると、この世界の創造主設定の龍と会い、その龍から力の一部をもらって冒険をするってところから始まる。
これではっきりした目標が一つ増えた。俺はみんなを連れて、その龍に会いに行く。
「他の国へ行けば沢山いるかもよ?」
「ファング様が言うのなら、そうかもしれません」
「でも、このことは人には言わないように気を付けた方が良い。危険な目に合うかもしれないからな」
「分かりました」
「では、作業をしようか」
そう言って、俺はみんなの装備とBFAの改良版BFRを作ることにした。
のんびり書いていきます。




