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街って安全だったよね?

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 翌朝、みんなで朝食後のお茶をしているとライラさんが迎えに来た。


「レッド様、お迎えに上がりました」

 本日の予定では女子組はオフ、ウッドは工房へ行くことになっている。仕事なので女子組からのブーイングは無かったので俺は安心してライラさんとモッチョ氏の待つ馬車へ乗った。


「少し早すぎましたか?」

 首を振る。


「では参りましょう」

 馬車がスラムへ向けて走り出すとライラさんが紅茶を出してくれた。馬車が揺れない様にゆっくりと走っているので溢すことは無さそうだった。

 気配でわかるが、どうやら少し離れてガイさんとギブソンさんが護衛してくれるように馬に乗ってついてきている。あの二人が居れば安心だな。最悪ボレアレス呼べば何とかなるっしょ。


「で、ランドでの件はどうにかなりそう?」


「大丈夫ですね。現在ファングブランドの資産は20億を超えていますので」

 紅茶を吹きそうになった。まさか、そんなに収益を上げていたとは・・・恐るべしモッチョ氏


「じゃお願いね」


「承知しました。手始めにランドに銀行業第一号店も作りたいと思います」


「急ぎすぎじゃない?」


「鉄は熱いうちに打てというではありませんか」

 そうだな。モッチョ氏に丸投げしておこう。


「任せたよ!」

 そうこうしているうちにスラムへ到着したので、馬車を降りて案内した。スラムは進めば進むほど道は狭くなるのでモッチョ氏には辛いが歩きで向かう。馬車には人だかりが出来たが、御者兼護衛が張り付いているので盗まれることは無いでしょう。

 モッチョ氏の汗が尋常じゃなくなるころにお目当ての場所に着く。扉っぽいものというか、それの代わりの役割の暖簾?布?の脇の枠をノックするが返事が無い。


「あれ寝てんのかな?中に入ってみよう」

 モッチョ氏、ライラさんと一緒に中に入る。部屋は1LDKだ。一番奥の部屋に行くと2人が居た。


「おう、どうした?返事が無いから勝手に入って・・・」

 首筋にナイフがあてられた。


「騒ぐな、おとなしくしていろ」

 どうやら盗賊ですかねと考えていると、これってもしかしてPVP設定ありなのか?と疑問に思ってしまった。プレイヤーだったときは専用エリアでしかPVPは出来なかったはず。ならここで俺は刺されないはずだよな?いや、この世界に来てナイフで指を切って痛い思いをしたことを思い出した。

 俺だけならBFAで装備を固めて何とか逃げ切ることは出来るが、モッチョ氏とライラさんが居るから無理は出来ない。


「わかった、言うことを聞くから乱暴は止めてくれ」

 モッチョ氏を見ると慌てた様子はない・・・あれ怖くないの?慣れた様子で言うことを聞いている。


(レッド様、いまガイとギブソンに連絡しましたので少々辛抱して下さい)


 そういう事ね。モッチョ氏は狙われることが多く場数を踏んでいるから慌てないのね。


(俺も戦うか?)

(あの二人が来れば問題なく終わります。どうやら盗賊は4人程度ですのであっという間でしょう)

(そうか、なら大人しくしているよ)

 ガイさんとギブソンさんの方がLv上だし任せよう。


「さてと、取引といこうか。どいつが一番金持ってる?」


「私だ。モッチョ商会の社長をやっている」

 俺が手を挙げようとするとモッチョ氏が手を挙げた。


「イイネイイネイイネ、お前があの有名なモッチョ商会の親分か。俺にも運が回ってきたようだぜ。こいつはお前の秘書か?いい女じゃないか」

 そう言いながらライラさんを抱き寄せ髪の匂いを嗅ぐ。


「いや、やめて下さい」


「いいねぇ~、そういうの好きだぜぇ。無抵抗だとこっちも興ざめだからよぉ」


 やばい、怒りが沸々と限界点付近まで上がって来た。俺の仲間に手を出すんじゃねーよ!絶対殺す!と飛び出そうとしたとき盗賊二人が倒れた。よく見ると眉間にナイフが刺さっていた。

振り返るとギブソンさんが居た。


「モッチョ様、お待たせしました。お怪我はありませんか?」

 さすがナイトエッジLv50超えだ。ナイフの軌跡すら見えなかった。


「儂の出番はなかったな。レッドさんとライラさんも無事でよかった」

 ガイさんも入ってきたようだ。


「二人ともご苦労。ではレッド様、商談と致しますか」

 すごいねモッチョ氏。こんなことがあってもブレないなんて。


「あ、ああそうだね」

 シリカとカイを解放した。


「レッドさん、それに皆さんありがとうございます」

「おじちゃん、凄い!」

 カイはギブソンさんが気に入ったようだ。


「シリカさん、この人がモッチョさんだ。この人の下で働く気はあるか?」


「うそ・・あのモッチョさんなの・・・」

 モッチョ氏は有名だからな。


「あのファングやルークの生みの親と会えるなんて・・・」

 ん?あれそうだっけ?・・・そうだったよね?


「私なんかがお役に立てるかしら・・・」


「自分を否定するな。あがいて出来ることを一生懸命やってみろ。夢は叶うってよく聞くが、それは叶った者の言葉で、叶わない人の方が多いだろう。でもやってみないことには分からないし、そこから何か見えるものがあるかもしれない。やらない奴には何も起こらないさ」

 俺は自信なさそうなシリカにはっぱをかけた。


「そうですか・・・?」


「駄目だったら他の道を探せばいい。モッチョ氏の人を見る目は確かだと思うよ。モッチョ氏はどう思う?」


「そうですね、あのアクセサリを見る限り可能性は感じます。やる気があれば、ファング殿に連絡を取って指導してもらうことも可能ですが?」


「ファング様に会えるのですか・・・なんてこと・・・でも私にはカイとの生活もありますし・・」


「それは問題ない、よね?モッチョ氏」


「子供もうちで預かりますよ。学校を作る予定ですし」


「そこまでしてくれるのですね。有難うございます。こんな私で良ければ精一杯働かせていただきます」

 契約完了かな。


「それと今回の件は、私が近所の人にレッドさんから頂いた食料を分けたから盗賊に目をつけられたようでご迷惑をかけてしまいました。軽率でした・・・申し訳ありません」


「いいよ、誰もケガしてないし、ギブソンさんがゴミ掃除してくれて一石二鳥だったね」

 俺の怒りはギブソンさんが消してくれたし問題なし。


「今後シリカさんも狙われる位の製作者に育ってくれると私も嬉しいですね」

 モッチョ氏がシリカに言うと


「頑張ります・・・」

 シリカが泣きながら答えた。


「そうと決まれば、シリカ、カイ、荷物を纏めろ」


「なぜです?」


「宿屋へ行こうかと?」

 だよね、モッチョ氏?


「ランドでの拠点となる工房を用意してあります。ひとまずそこを仮宿として生活していただきます。よろしいですかな?」

 モッチョ氏さすが。


「よろしいもなにも、今すぐ準備します」


 ギブソンさんと遊んでいたカイも急いで準備を始めたようだ。どんどん工房を大きくして目標の一つ、お金カンスト目指すぞ!


のんびり書いていきます。

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