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子は宝

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 大勢の野次馬が集まってしまったな。さっさと人目のない場所へ移動することにしよう。辺りをみると人気のない丁度いい路地があったので入っていく。


「坊主、名前と歳は?」

 俺はしゃがみ込んで目線を合わせ質問した。


「カイ・・8歳」

 俺がしゃがんで質問したからなのか警戒を解いて話してくれた。ま、そらそうだよね。自分が子供のころ自分よりも倍の身長の大人に何か言われるだけでも緊張するし。


「カイか、良い名前だな。で、売りたい物って何なんだ?」


「お母さんが作ったアクセサリ・・・です」


「見せてみろ」

 商品を見ると高品質の物がチラホラ・・悪くはないが、今の俺達には必要ない。だが、将来性はある・・・と思う。


「かなり良い物じゃないか。よし、俺が全部買ってやる」


「ほんとに!いいの?」

 カイの顔が明るくなる。やはり子供には笑顔が一番だな。


「問題ない。それとお母さんは何の病気はなんだ?」


「わかんない。お医者さんに診てもらうお金もないから・・・」

 カイの笑顔が消える。そんな顔見ると、こっちも物凄くテンション落ちるんですが・・・


「ん、じゃお父さんはどこに居る?」


「お父さんは急に帰ってこなくなった。お母さんが大変なのに絶対に許さない!」

 何か事情があるのだろう。片足突っ込んでるし最後まで付き合いますか。



「分かった、家に案内してくれるか?」

 俺の言葉を聞いたカイがキョトンとしている。


「ここに居るシズクお姉ちゃんと月花お姉ちゃんはヒーラーなんだ。お母さんを診てあげるから案内できるかな?」


「うん!」

 カイの顔に笑顔が戻った。その顔を見ると自然に自分の顔も笑顔になる。カイに案内されかなり歩かされ到着した場所は首都の中心からかなり離れた場所だった。俗にいうスラムですか・・・。地方都市ではなかったけど首都って大きいし人も多いからあるのねと。あと衛生面もよくないし、匂う。


「お母さん、ただいま」


「おかえり、ゴホッゴホッ」


「お母さん寝てていいから。今日はお医者さんを連れてきたよ」


「そんなお金あったら、お腹いっぱいご飯を食べなさい。私はどうなってもいいの。カイが元気に育ってくれればそれだけで十分だから」

 聞こえてくる会話で泣きそうになる。


「邪魔するよ。あなたがカイのお母さん?」


「はい・・私が母親です」

 うーん、何の病気だろう?


「なにか病気にかかっているとカイ君から聞いたんだが」


「私にもわからないのです。一応薬は飲んでいたのですが回復する兆しもなく、お金ばかりかかってしまい」


「いつ頃からか覚えているかい?」


「1年前に・・・ちょうど骨董市で指輪を購入してからです」

 あ、それですね。よくある呪われた指輪ってパターンか。一先ずシズクに確認してもらう。


「レッ君。やっぱりこの人呪いがかかっている。解呪していい?」

 頷く


 シズクが歌うように呪文を唱えると周囲が浄化されていくような感じがした。

「聖水」呪文発動


「どうだ?上手くいった?」

 シズクが頷いたので頭を撫でてやるとシズクも凄い笑顔になる。やはり辛気臭い顔より楽しそうな顔していた方が良いよね。無理だと思うけど、皆がみんな笑顔というか前向きな顔してれば世界ってもっと平和なのかなって思ってしまう。


「しばらくしたら体調も良くなるだろう。あしたも来るから今日はこれで帰るな!」


「お母さん治った?」

 カイが心配そうな顔で聞いてくる。


「あぁ!大丈夫だ。シズクお姉ちゃんにお礼を言うんだぞ?」


「シズクお姉ちゃんありがとう!」

 シズクも嬉しそうだ。


「あと、これでも食べとけ」

 買い込んであった食材を渡す。


「こんなに・・・見ず知らずの私たちに・・・そこまでされる覚えは・・」


「良いんだよ。俺は子供が大好きなんだ。目の前にいる困った人たちだけでも何とかしたいだけだから」

 みんなが俺を怪しげな目で見る。


「違うって。そういう趣味はないぞ!」

 そう、子供は宝だ。未来へ夢を託せる人類の宝だと思う。夢を託せる子供を失う気持なんか味わいたくない。


「お母さんは名前なんて言うの?」


「シリカと申します」


「アクセ見たけど才能あるんじゃないかな」

 ウッドも頷いている。


「私が、ですか?」


「誰かに教わったの?」


「独学です」

 うーん・・・独学であそこまで出来れば、師事すれば開花するんじゃないかな。


「明日、知り合いの商人連れてくるけど良いかな?多分才能あると思うよ。」


「そこまでしてくれるのですか・・・出来ればお願いします」

 そうと決まればモッチョ氏巻き込んで、新たな事業を起こすとしよう。


 俺のやりたいことには信頼できる人がまだ足りない。あくまで、これが俺のやっていたMMOであればだが、俺の背中に竜の鱗が一つ付いているということは肉体のピーク、20代から歳をとらなくなるはず。表舞台に出られるのは40代までだろう。いつまでも若いというのには無理があるからだ。

 その他、色々考えることはあるが都度考えていくか。モッチョ氏がどんな顔をするか楽しみだな。


のんびり書いていきます。

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