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紳士協定

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 早朝、皆が寝ている間に装備を作るため工房へ向かった。なぜ寝ている間にって?それは全員揃ってキンコンカンコンやっても良いのだが、絶対に飽きてきてくる者が居るからだ。真っ先にルル辺りが「飽きたにゃ」と言いそうだ。もちろん命を預ける物なので中途半端には出来ないので集中したいというのもある。そういうわけで、誰も起こさずひっそりと部屋を出る。


「兄貴、俺も行くっす」

 急に後ろから声が掛かった。気配がしていたので驚くことは無かったがシーフとしては落第点だろう。


「ウッド、もっと気配を消す練習をしないとバレバレだぞ?それに体を休めることも必要だし、ゆっくり休んでいて良いんだぞ?」

 声の主はウッドだった。


「何となく兄貴に頼ってばかりじゃダメな気がするっす」

 責任感というかやる気を見せてくれたウッドの成長を嬉しく思い、一緒に行くことにした。


「俺はルークブランドのアクセを作っているので、兄貴は集中して作業して下さいっす」

 近頃のウッドは時間があればデザインを描いていた。もちろんミンクちゃんにプレゼントするアクセのデザインだ。モッチョ氏とも相談しているようだし俺が意見するのは違うと思うので任せている。結果、ミンクちゃんオンリーワンのアレンジ版が売れれば良いのだから。


「お前、ミンクちゃんにお熱なのは分かるけど、戦闘の方も頼むぞ!」

 一応、俺達は冒険者なので、そちらにばかり傾倒しないように釘を刺しておく。


「それは分かってるっす。第一に仲間の為にっすよね」


「そうだ。わかっているなら良いんだ。俺はみんなの装備作ってるよ」


「了解っす!」


 一方、宿屋にて・・・


「みんな集まったわね」


「サーラどうしたにゃ?」

 眠そうにルルが起きてくる。


「そうですよ、今日は休みですよ」

 リティスは髪も整えてなくトルネードのように髪が立ち上がっていた。


「今日は重大なお話があります」

 サーラが女子組の面々を見渡しながら言う。


「簡易的なものは数回行いましたが、今日正式にレッド協定を結びましょう!」


「「「「!!!!!」」」」

 急にみんなの顔が真剣になる。


「まず初めに。レッドについての情報共有です。これは好きな物や苦手な物とかの有益な情報の共有」

 サーラが議長の様に話を進めていく。


「そうですわね。それは後から入った私たちにとってはサーラ、シズク、ルル達よりも情報が少ないから重要だと思うわ」

 リティスも賛成のようだ。


「そうね、だけど後から入ったことだから分かることもあると思うの。それも皆で共有すればお互い有益でしょ」


「分かりました。そちらがオープンにしていただけるなら私も船での話をしてもいいと思っています」


「なんにゃ?月花ちゃん船でレッドと何かあったのかにゃ?」


「えぇ、ちょっと・・・」

 月花が頬を赤くして俯く。


「!!!」

 全員に緊張が走る


「まさか、私が客室に行くまでに?」

 シズクが驚いたように尋ねる


「えぇまぁ・・・」


「月花は、優等生らしく頭脳戦が得意ですからね。お兄ちゃんなんかいつも口では月花に勝てませんし」


「み、み、みんな声がでかいよ。もっと近くに集まって」

 サーラの一声で密集隊形へ


ヒソヒソ・・・

エッ!うそ・・

ごにょごにょ・・・

そんな!・・


 そしてこの日、女子組の紳士協定が密かに結ばれることになった。後に、この場にいた6人はゴッドシックスと呼ばれる事になる。


 そんなことも知らない工房では・・・・


「兄貴はどのあたりまで作れるっすか?」


「そうだな・・・レジェンドが稀に出来るくらいだな。最近レアまでなら確定で作れるようになったよ」


「!!!!・・・」

 ウッドが絶句している。


「ウッドも出来るようになるから頑張れよ?」


「・・・先が見えないっす。兄貴が遠いっす」

 まぁ、寝ないで良いからガンガン行けるからな。ウッドは寝ないと駄目だもんな。


「素材は俺が準備するから、自分のLvより上のものを作っていけば追いつくよ」

 製作はとにかく金がかかる。だが採集も自分でやっているので素材代がかからない。更に作ったものを分解して素材に戻せるものは再利用している。希少な素材も今ではボレアレスに乗って採集場所に行けばすぐに採集できる。馬サイコーです。


「でも、この希少金属でLv上げるくらいなら、売った方がよくないっすか?」


「目先にこだわったら負け。この世界で1番にならないと意味がない。俺達なら出来るだろ?」


「そうだったっす」


「レジェンドレアの上を目指したくないか?」


「俺に出来るっすか?」


「出来るじゃなくて、やるんだよ。俺を信じろ」

 ウッドが黙々と作業を始めた。さっきまでとは顔つきが変わり迷いがなくなったようだ。


 高LvになるとLvが上がりにくくなる。俺のように寝なくても良いなら問題ないのだがウッドはそうもいかない。今日明日で実感出来ないだろうが、半年1年後では実感出来るはずだ。


レッド 剣士 Lv22 チェーンメイル(シルバー)+、カイトシールド+、ショーテル+

サーラ モンク Lv22 武闘着シルバーチェーン+、パタ(シルバー)+

シズク 巫女 Lv22 巫女装束シルバーチェーン+、鉄扇シルバー+

ルル 弓使い Lv22 チェーンブレスト(シルバー)+、コンポジットボウ+

リティス 戦士 Lv22 チェーンメイル(シルバー)+、トマホーク(シルバー)+

ウッド シーフ Lv22 チェーンブレスト(シルバー)+、シルバーククリ+

リーズ 呪術士 Lv22 シルクローブ(シルバー)+、マジシャンロッド(シルバー)+

月花 僧侶 Lv22 シルクローブ(シルバー)+、スタッフ(シルバー)+


 装備の製作が終わった。これで、Lv25まで行ける。後はみんなに渡して初期設定をやってもらい、古い装備は分解して素材にしますかね。


「ウッド、こっちは終わったし夕食の時間も近いから帰ろう」


「うっす」

 ちょうどいい時間だったので宿屋へ戻ることにした。


「「「「おかえりなさい」」」」

 扉を開けるとみんなが一斉に出迎えてくれた。


「お、おぅ、ただいま。何かあった?」


「何もないにゃ」


「あ、そう?夕食後にみんなの装備更新をやってもらうので、よろしくな」


「「「はーい」」」

 何か機嫌が良いようで何よりです。


「明日は、ロマナの街へ出発するから準備もしておくんだぞ」


「「「はーい」」」

 何故だろう・・・・何か引っかかるが良しとしよう。



のんびり書いていきます。

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