馬便利!
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早朝の朝日が昇る前に俺たちはダンジョンに出発した。
馬速し!少しずつスピード上がってない?
(早くなってない?)
(力が戻りつつあると言ったではないか)
(ですよねー。ちなみにもっと早くなったりします?)
(無論)
(さいですか。すでに時速100km超えてんじゃねーかな。落ちたらやばくね?)
(主を落とす幻獣がいるものか)
(ですよねー)
まずいな・・・一般道を行くと目立ってしまう・・・。出る杭は打たれるっていうし、裏道で行くのが良いかもしれない。仕方がないのでダンジョンの近くで馬から降りて徒歩で向かう事にした。
「さてと、どっちが先に行く?」
「では私たちから行かせていただきます」
「リティ。無理するなよ」
「はい、必ず帰ってきます」
だから、それフラグになるから!
「帰ってくるの当たり前。大怪我するなよ」
「私が、そんなことにならないよう頑張ります」
月花ちゃん真面目。
「まぁとにかく、安全に行ってくれ。それとバフとデバフは切らさないように頼むぞ!」
これは入れるのと入れないのでは雲泥の差があるのだ。ゲームではスリップダメを入れていたおかげで倒せたことがあるのだ。あぁまた倒せなかったなと諦めムードが流れたときに「カイザードラゴンに酸のダメージ20、カイザードラゴンを倒した」とログが流れたときは仲間のログが歓喜のログへなんてことが多々あったのだ。ましてや、ここは痛みを感じるリアルな世界なのだ。出来ることはすべて行い死なないようにしなければならない。
「「「はい」」」
みんなの元気な返事が返ってくる。
(お前、ほかの馬と話せるのか?)
(無論)
(別ダンジョンでもか?)
(無論、幻獣はそんなことで繋がりが切れることはない)
PT会話より優秀じゃない。
(だったら、リティ達に何かあったら俺に教えてくれ)
(承知した)
馬使えるじゃん!かなり便利。プレイヤー時代はそんな使い道なかったけど、今はすごく助かるわ。
リティ達が入った後、俺達もダンジョンに入り馬を召喚した。馬4体出すとかなり狭く感じる。なので一回り大きなボレアレスを最後方へ配置しバックアタックに備える。それにあいつLv高いから見てるだけにしてもらうから最後方へ行ってもらう。
(お前デカいから後ろ行ってて)
(なぜ!!!!)
(デカくて邪魔だから?いや、本音は戦うと強すぎて俺たちの練習にならないだろ?)
(まぁ、そうなるが。)
(デカいのに小さいこと気にすんなよ!とりあえず後ろ行って)
渋々後ろへ行ってくれた。
フォーメーションは1-4-2-1、
レッド
サーラ・キグス・セス・フェニ、
ルル・シズク
ボレアレスだ
この布陣で負けるはずがない。格下だし、過剰戦力だ。
最初のうちは馬も攻撃のタイミングが掴めずギクシャクした感じだったが終盤では連携が取れるようになった。
幻獣と言ってもマウントメインなので、特殊攻撃はなく体当たりやキックがメインであったが俺の作った装備と相まって打撃系ダメージが半端なかった。次のダンジョン<古墳>で打撃系は骨に特効なので、また楽が出来そうだ。
「サーラ、出番があったろう?」
「うん、でも馬が慣れてきて私の出番が減ってきてる」
「いいじゃないか。俺たちの仲間なんだからもっと信頼してお互い強くなれば」
「そうね、もっと頻繁に指示してみる」
「じゃ、2周目いくぞ」
「「「はい」」」
一方、リティス達。
「レッドさんに心配かけないように私たちも慎重に且つ迅速に全力で頑張るわよ」
「リティ姉、気合入ってるっすね」
「お兄ちゃん!私も気合入りまくりよ」
「そうですよ、ウッドさん。油断していると大変な目に合いますからね」
「俺も燃えてるっす!」(ミンクちゃんの為にも!!!)
「では、ウォーホースの召喚をお願い。フォーメーションは1-4-2-1でバックアタックの警戒は馬をローテーションします」
「「「りょ」」」
1-4-2-1
リティス
ウッド・オクス・カプス・アクア
リーズ・月花
カリーナ
(リーズ殿、私たちの出番を作っていただかないと連携が・・)
(あ、カプスちゃん!ごめんね。集中してて忘れてた)
「リーズ!少し魔法を温存して」
リティスが指示を出す。
「はい、うっかりしていました」
「俺たちの出番も作ってくれっす。オクスが戦わせろってうるさいっす」
「回復厚めにしますのでウッドさんも死ぬ気でお願いします」
「死にたくないっすよ月花」
「無駄話は終わりよ。次に行くわ」
「「「りょ」」」
「だいぶ、馬との連携も取れ始めたわね」
「そっすね。リーズのMPも温存出来て、月花のヒール回しも上手いっす」
「では2週目に行くわよ」
「「「はい」」」
俺たちはダンジョンを3周回ってレベルが上がったので外へ出た。
「おかえりなさいレッドさん」
どうやらリティス達の方が早かったようだ。待つより待っててもらった方が良いな。心配しなくていいし。
「結構待った?」
「それほどでも。1時間位でしょうか」
「そんなにか・・。先に帰っていてもよかったのに」
「全員一致で待つ、を選択しましたので」
「そっか。連携とか大丈夫だった?」
「最初は合いませんでしたが2周目からはよくなってきました」
「俺達と同じだな。次のダンジョンから重要になってくるからな」
「それはなぜですか?」
真面目っ子、月花ちゃん
「それほど重要でもないんだが、次の<古墳>の推奨がLv22だから、同Lvの敵を相手にするようになる。リスク回避の為に格下でLv上げをしてきたのだけれど、馬も含めれば総合力で上になるが連携が取れなければ危険度が上がってしまうからな」
「そうだったんですね」
「そっすよ月花。楽して効率よくLv上げと小遣い稼ぎっす」
「みんなに何かあったら嫌だからな。俺は慎重なの。そういう事なので、そろそろ帰ろうか」
「「「はい」」」
カラムの街には夕食前に帰ることが出来た。明日は休みでみんなの装備の準備、明後日はロマナの街へ移動だ。
のんびり書いていきます。




