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初めてのダンジョン

3


 翌朝、ギルドへ行きダンジョン攻略の申請をしてダンジョンに向かった。登山する場合にも届けるでしょ。下山が遅れると捜索隊が来てくれる、あれですよ。

 今回のダンジョンは地下3階までなので一応2日で申請しました。多分攻略自体は1日で終わるけど、今後のために野営キャンプもすることにした為だ。


 ダンジョン入り口に到着すると入口には立て看板が・・・ダンジョン名<壺>まんまだな。この世界で知っているのはこのダンジョンまで。それ以外は障壁の中だ。ここのボスはタコ、そうオクトパスだ。魔物は普通お金を落とさない代わりに素材を落とす。人型タイプや盗賊などはお金と装備を落とす。

 一番儲かるのが、稀に発生するネームドモンスターだ。これはどういうわけかモンスターなのに素材以外に装備も落とすことがある。どちらも高値で取引されている。ここにネームドは出現しないのでボスの素材が一番高価だ。


「じゃ、いくかぁ」


「レッドは緊張感無さすぎだ!」

 サーラがガチガチに緊張した顔になっていた。ここ初心者用のチュートリアル的なダンジョンだもんって言いかけたが飲み込む


「緊張しても本来の力出せないでしょ?普段通り各自の役割をしようぜ」

 皆うなずき隊列を組みダンジョンへ入る。道幅は車2車線位なので10m幅くらいだろうか。


 前から俺、次に弓使いのルル、モンクのサーラと巫女のシズクが同列。タンク職だから俺が先頭で敵の攻撃を受け持ち、危険察知能力の高いルルが遠視で索敵、背後からの攻撃に巫女のシズクをかばう役目がモンクのサーラだ。


 たしか、少し進むと蝙蝠が2体いるはず。俺の索敵にはかからなかったが、ルルからアイコンタクトが来た。


 ルルに目で合図し、弓で釣ってもらう。2体が程よく近付いたところで俺が閃光


『閃光』・・・目くらまし。ヘイト上昇・攻撃力0・光属性魔法


 ヘイトを稼ぎ2体受け持つ。内1体に縦切りから返し切りの連撃を入れる。サーラが正拳突きから裏拳、ルルがショットからダブルショット。この世界では仲間同士での連携技はないので、個人技の連撃がメインだ。

 連撃が決まることで単体の技よりも攻撃力がアップするので、連撃は基本中の基本なのだ。ようは格ゲーのコンボですね。この世界では3連コンボまでですが今はLvが低いため繋がる技を覚えていないので2連までです。

 この一連の攻撃で1体を倒し、俺が牽制していたもう1匹へターゲットを移し再度・・・あとはもう作業ですよ。シズクから癒水ヒールを貰うまでもなかった。


 この世界に来て分かったこと。HPについてなんですが、体力かなと思ったんだけどそうであってそうでないということ。まずHPが500だとします。これは敵の攻撃を500ポイント捌くことが出来るだけであって体力ではないんですよ。仮に500削られても死ぬことはないんです。フルマラソンで最後倒れこむ人いるけどあんな感じです。そこからが本当の闘いで、ここから致命傷を受けないように戦うことが出来れば真の実力者ということになる。そんなことを考えながらサクっと蝙蝠を倒した。


 このMMOを始めた初期に、お金がなく装備をそろえるために何度も攻略したので目を瞑っても回れるくらい覚えている。今は生身だから実際に目は瞑らないけどね。


 地下1階で魔物を3グループほど倒した先で戦闘音が聞こえた。最初に気が付いたのはルルだった。確かダンジョンはインスタンスだから、ほかのPTと出会うことはないはずなんだが、はて?複数PT攻略ダンジョンの場合なら分かるが・・・まぁ実際に他PT居るので深くは考えず、とにかく先に進み確認することにした。


「あちゃー、思った通りだ」


「レッド?どういうこと?」

 サーラが分からず聞いてくる。この時点でサーラも最初の緊張も無くなりかなりリラックスできているようだ。完全にリラックスというわけではなく、力が十全に発揮できる適度な緊張を維持していた。俺が見抜いた通りサーラには戦闘のセンスがある。


「あれは、複数の敵集団をまとめて狩って効率を上げる方法なんだよ」

 いわゆるまとめ狩りである。適正Lvで装備が揃っていれば何ら問題はないのだがね。


「うん、それで?」


「だがPTの能力が追い付いていないから、処理しきれていない。たぶん推奨Lv以下だと思う。」

 今の俺たちのLvなら問題なく倒せるが、あいつらでは無理だな。考えている時間は無さそうだ。なぜならタンクが崩れる寸前だった。タンクが落ちたら防御力の劣るアタッカーと後衛はひとたまりもない。


「いくぞ」

 と、フォーメーションの合図を仲間に送り突貫した。


俺→サーラ・ルル→シズク。背後からの攻撃はないので攻撃特化型だ。


 魔物の集団は7体、蝙蝠4体に空飛ぶクラゲが3体だ。一番近くのクラゲに、ルルのショットから俺のシールドアタック、そこへサーラの正拳突きを入れる。シズクにあちらのタンクに癒水を入れてもらい、サーラの正拳突きが決まるころ合いで広範囲の閃光!


何とか5体のターゲットを取ることが出来た。


 横目で確認するとヒール効果があったのか、タンク職が何とか持ち直したようだ。あと2体の蝙蝠ならあちらのPTで処理できるだろう。


 あとは俺がヘイトを稼ぎつつ先ほどと同じように作業ですね、はい。こちらの戦闘が終わるころに、向こうも終わったようだった。


「すまない、助かりました。私はこのPTのリーダーでリティスという」

 タンク職の人が俺にお礼を言いに来た。見た目はエルフだけど日焼けしてるようなのでダークエルフか?まぁとにかく綺麗な女性。


「俺はレッド、剣士だ。リティスさんのジョブは何かな?見たところ戦士だと思うんですけど」


「はい、その通りです。戦士をやっています」


「へー。で、何であんな状況になったのかな?」

 とりあえず理由を聞いてみる。俺の知らない伏兵が出たとかだと、こっちも注意しなくてはいけないので。


「魔物の強さがそれほどでもなく、2集団位ならいけると判断してしまった。仲間には申し訳ないと・・・」

 言い終わる前に、手が出てしまった。リティスさんの端正な顔立ちの頬に紅葉が・・・とりあえず謝ろう。


「ごめん。だけどリーダーとしてそれはどうなの?君の判断で皆死んでしまったらどうす

るの。俺は仲間を危険にさらしたくないから絶対に無理をしないし、自分は死んでも仲間だけは助かるようにいつも考えている。俺の信じた仲間ならいつか蘇生してくれると信じているから。初心者向けダンジョンだからって油断なんかしないで常に全力で向き合っている。俺の後ろには家族と呼べる仲間がいるから。2度と失いたくないんだよ!」


「・・・・・すまないと思って」

 言い終わる前に、俺の導火線に火がついてしまったみたい。


「謝って済む問題じゃねーんだよ!それにお前たちのPTは推奨Lv以下じゃないのか?そんな状況でなぜ無理が出来るんだよ!」

 止まらない、言ってはいけない言葉が出てしまう。


「お前はリーダー失・・」

 言い終わる前にサーラが俺を止めてくれた。


「レッド!それは言っちゃ駄目だよ」

 

「・・・ごめん、言いすぎた」

 はっと我に返った。周りを見ると全員が俺を見ている。はぁ、やっちまったなぁと少し落ち込む。そんな俺を見かねてルルが皆に話しかける。


「こういう時は皆で自己紹介タイムにゃー」

 ルルありがとう。ルルは俺たちのムードメイカーだ。辛いことがあっても顔には絶対に出さないのだ。昔初めて会った時は、よく隠れて泣いているのを俺たちは知っていた。だからこそ俺はルルを悲しませたくないし、いつも笑顔で幸せであってほしいと思うから何があっても仲間を、いや家族を守ると決めたんだ。


 ルルの提案に乗るには魔物がリポップするこの場所では危険なので安全地帯まで進みキャンプの準備を始める。俺たちは問題ないが、あちらのメンバーが回復しなければ自己紹介どころではないからね。


のんびりと書いていきます。

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