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船酔い

27


 ヨルダの街を出発し1時間ほどで港に到着した。そこにはひと際大きな船が停泊していた。


「モッチョ氏、モッチョ氏。もしかしてあの船?」


「はい、我がモッチョ商会所有の船になります」

 船に掲げられている旗をみるとモッチョ商会のマークがあった。冒険者でもないのに船まで持ってるってモッチョ氏凄いよ!と思ったが、大陸きっての大商人であれば当然か。驚いたことに全員が乗り込むとすぐに出発した。定期便などではなく俺達だけのチャーター船の様だった。俺は内心利益出ないでしょ、と思ったが俺のポケットマネーから出るわけではないので気にしない様にする。お金のことはプロに任せることが一番だよねと甲板で風に当たる。


「気持ちいいな」

 サーフィンをやっていたので海は大好きだ。海岸には形の良い波が入って来ていたので、こっちでもサーフィンできそうだな。そうだ!モッチョに相談してサーフィンで一山当てる相談をしよう。あと、もちろん山も好きですよ。リアルでは高校時代山岳部だったので、その経験を生かし何か金儲けできそうなことを考えニヤニヤと考えていた。

 そんな時、視界に月花がフラフラしながら客室へ戻ろうとしていたのが見えた。


「月花どうした?気分が悪いのか」

 すぐに駆け寄って肩を貸す。


「はぃ、船に酔ったみたいです・・」

辛そうだ。俺も酔ったことがあるので辛さがわかる。


「連れてってやるよ」

 足元がふらついていたので転んで怪我をしないよう、お姫様抱っこする。


「!!!!!」

 何かヤバイ気配が背後から・・・・・ここは振り返らず進むのが正解だな。


「大丈夫か?」

 客室のベッドへ寝かせる。


「レッドさん、少し背中をさすっていただけますか?」


「おう、これでいいか」


「楽になってきました。ありがとうございます」


「あと、お腹も・・」

 月花が俺の手を取りお腹に持っていく。おへそを中心に、円を描くようにさする。


「ありがとうございます。もう少し上も」

 みぞおち辺りをさすると、気持ちが悪くなったのか上半身を屈めた。


「!!!!」

 月花よ・・・ブラはどうした?なぜ付けてないんだ?おっぱい揉んじゃったじゃねーか!手が胸からはなれねーーー。どうする俺!


「少しそのままでお願いします。楽になってきました」

 月花さん・・・・まさかこれが狙い?いや真面目な月花に限ってそんなことはないはず。こんなところをシズク達に見られでもしたら・・・ヤバイぞ。


コンコン


 扉をノックする音で驚き、その拍子にやっと胸の魔力から手が解放された。


「ど、どうぞ」


「レッ君、月花ちゃん大丈夫?」


「おう、大分楽になったってさ」


「私の魔法で治してあげる」

 と、シズクが浄水を月花にかけると治ったようだ。ん?ま、て、よ。月花も僧侶だからマインドクリア使えるよな?なんで使わなかったんだ・・・・


 俺はゆっくりと月花の方に顔を向けるが目を合わせない・・・あぁぁっ、あの真面目な月花が女子組に毒され始めてる。なんてこったぁ。

 ため息をつきつつ一人甲板に上がると、今度は全員がフラフラとしている・・・あぁ、やっぱりこうなるよね。しょうがない・・・・サーラ、ルル、リティス、リーズをお姫様抱っこで客室に連れて行くとシズクと月花がベッドに寝かせる前に魔法で治していた。MPの無駄使いだろ・・・ってな感じで一通り終わり、再度甲板へ上がると


「はぁミンクちゃんに会いたいっす。俺にはミンクちゃんしかいないっす・・・」

 ウッドが黄昏ていた。次はお前か!


「ヘー、ミンクちゃんねぇ」


「あ、兄貴。聞いてたっすか」


「聞いちゃいないが、心の声がお前の口から駄々洩れだったぞ」


「俺ミンクちゃんに惚れました」

 はいはい・・・


「彼女は家族の借金返済のためモッチョ氏に引き取られたみたいで、最初は荒れていたらしいっす。でもモッチョさんの商売する姿をみて感動し、また尊敬したらしく将来モッチョさんのようになりたいらしいっす。まだ借金は返せていませんが、俺もミンクちゃんに協力したいっす」

 真面目だな、ウッド。俺もそんな初々しい時代がありましたよ。高校時代の彼女と結婚したくて、一生懸命頑張ったけどね。結局振られるっていう。彼女にとっては重かったんでしょうね。若い時って色々やりたいこともあるし、晩婚が多数の時代になってきていたからね。


「ウッドの思いもわかるが彼女の気持ちの負担になってはいけないと思うよ」


「何すかそれ?」


「ミンクちゃんがお前を重荷に思ってしまったら、お前の思いは届かないと思うよ」


「そう・・・ですね」

 ウッドが落ち込んでしまった。これではイカン、何か上昇志向を持たせねば。


「そう、だからお前は強くなって稼げ。シーフの最高峰アサシンを目指せ」


「!!!、サレンダーが一番上だと思っていたんですけど、その上があったんすね・・・」


「そうだ、シーフ、ハイシーフ、ナイトエッジ、サレンダー、そしてアサシンだ。お前がそこまでたどり着くことが出来れば、この世界では、ほぼ最強と言ってもいいだろう」

 ほぼとは俺が全ジョブカンストするから、人類側では俺が最強のはず。一人で勝てないのもいるけどレイドボスだから。でも挑まないので、俺が最強。


「ほぼって何すか?・・・いや良いっす理解したッス。俺、頑張ってやってやるっす」


「そうだ、上を目指そう。俺は俺の大事なもののために強くなる。その大事なものの中にウッドもいるぞ」


「兄貴はでかいっす。俺も兄貴みたいに強くなりたいっす」


「きちんとついて来いよ?お前ならできるから。ミンクちゃんを幸せにするんだろ?」


「し、します。幸せにするッスーーーー!」


「じゃぁ、一緒に頑張ろうな。あとアサシンについては口外するなよ。冒険者ギルドですら最上位ジョブ名をしらないとなると何かあるかもしれないから」


「わかったっす」


 港町バンチが見えてきた。


のんびり書いていきます。

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