信じて下さい
26
空から降りてきた神を名乗る男、いや女なのか不明だが綺麗な容姿をしていた。そいつは地面に降り立たず地上10m程の空中で止まった。どうしても俺達を見下ろしたいのだろう。
―――ここは我が神から約束された場所、即刻立ち去るがいい―――
また頭の中で声がする。いや、お前神なのに、さらに神が居るんかい!それって、神じゃなくて、ただの上司部下だろって突っ込みたくなったが抑えた。それにしても耳を塞いでも聞こえてくるのは精神衛生上よくないな。一言言ってやらないと。
「その耳障りな声を直接頭に送るの止めてくれないか?不快なんだよね。口があるなら使わないと・・・あ、自己紹介がまだだったな、俺は・・・」
言いかけた途中で神をなのるガブリエルから抑え込むような圧力が送られてくる。ただの人間であればこれで昇天したであろう威力であった。
「レッド、この最強の旅団の団長をやっている」
俺は何事も無かったかのように言葉を続けた。正確にはベリアル達は旅団員じゃないけど説明すると長くなるし面倒なので良いでしょ。
―――ほう、おもしろい・・―――
頭の中のガブリエルの声が途中で途切れ奴の口が開いた。
「我が波動をものともしないとは。地を這う者よ、光栄に思うが良い。直接話すのは2000年ぶりだぞ」
俺達を見下ろし表情を変えずに言葉を発した。
「それは、光栄だね。でも2000年も使わないなら、その口取っちゃえば綺麗なお顔が更に綺麗になるんじゃね?」
皮肉たっぷりに答えると、ガブリエルの背後に控えていた親衛隊らしき奴らが動き出そうとしていたところ手を上げ静止させる。
「実に面白い。私をこのような気持ちにさせたのは、貴殿で二人目だ。光栄に思うが良い」
そう言っている奴の表情は一見変わらないように見えたが、ずっと観察していた俺には分かる。もしかするとレディにも分かっているかもしれない。奴の感情までは分からないが何かが引っ掛かったようだ。
「へぇ、そりゃ光栄だね。もしかして一人目はルシフェルじゃねーの?あいつも大概面白いからね」
「・・・・・」
無言、どうやらビンゴだったようだね。
「で、ルシとあんたはどういった関係なんだ?詳しく・・」
俺は追い打ちをかけるように言葉を続けていくと急に膨大な力が俺にかかってきた。どうやら黙らせたいようだ。しかしこの程度の力で俺を抑え込めるわけがない。
「教えてくれないか?」
何事もなかったように最後まで話し終える。
「我が羽虫ごときに答えると思ってか。身の程をわきまえるが良い!」
ガブリエルが掌を団扇の様に扇ぐ。するとそこから膨大な力が吹き荒れ俺達を襲ってきた。
すぐに俺も同じ素振りをし、その力を対消滅させる。
「いやぁ、困るんだよね、勝手にそういうことやってくれると。うちの子達に何かあったら、お前はどうやって責任とるんだよ!」
穏やかに行こうと思っていたのだが、語尾はかなり怒りに任せて叫んでしまった。だって、あのまま普通に巻き込まれていたら、いくら最強の旅団でも怪我人が出てもおかしくない程の強烈な力だったんだよね。
(レッドさん、先ほどの敵の攻撃を分析したところ、我が旅団へのダメージは皆無でした。ですので無駄な力の使用は控えてください)
(え、いや、だって、レディさん、あれ、かなりの威力だったでしょ?防がなかったらやばくない?)
(いえ、あの程度であれば主要メンバーならソロで受け止めることは可能です。スカウト組に関しては3人程度必要ですが)
(マジっすか。みんなが動かなかったのは、そういう理由なのね。)
レディさんの指摘で俺は仲間の力を上方修正した。
ガブリエルは俺の言葉に応える気が無いのか黙りこくっていた。すると背後から親衛隊の思われる奴が動き始める。また止めるのかと思っていたら、今度は止めることはしなかった。
「実力行使ですかね」
俺が一人言うと、背後から声がかかる。
「レッドよ、ここは私達に頼ってくれないか」
振り向くと、そこにはベリアル、デッドライン、アスタロト、アンラ・マンユ、ナーガが立っていた。
「でも大丈夫なのか?」
「心配ない。私達はこの日のためにルシと一緒にここまで来たのだ。そうだろみんな!」
ベリアルが振り返ると魔族部隊が雄叫びを上げた。
敵の親衛隊と思われる人数は7名、魔族隊のリーダーだけでは人数が合わない。あとは俺と誰を選ぶかなと思っていると意外な回答が来る。
「マイロード!ここはあたしにも戦わせてくれ。何千年と戦っていないと感が鈍ってしまう」
クランマスコットのサキュちゃんだった。マスコットと言っても戦闘力は計り知れない。なんせサキュちゃんがドロップしたのは自分の知っている中では俺達のクランしかいない程のドロップ率の上、hope装備を装着している。
「おぉう、分かったよ。でも大丈夫か?」
「問題ない。私の強さはマイロードが十分知っているはず」
えぇ、あなたを手に入れるために、我がクランは全滅を何度も繰り返しましたからね・・・・
「あとは、俺しかいないかな・・・」
みんなが自分が行きたいみたいな顔をしていたのだが、少しでも怪我してほしくないんだよね。俺だったら何とかなるしと思っていると、再度意外な人物から声がかかる。
「レッドさん、私に行かせてください」
顔を上げなくても声で分かった。
「レディ・・・・君は俺達の頭脳なんだよ。もし何かあったら・・・」
「大丈夫です。私にはメーティスが付いています。私を、メーティスを信じてください」
じっと俺の瞳を見つめてくる。
「分かったよ・・・。ただ言っておくけど、サキュとレディに・・いやベリアル達にも何かあったら俺は力を解放するからな?」
俺が心配そうに見つめると、レディが笑顔で答える。
「大丈夫ですよ。私たちを信じてください」
そう言ってベリアル達と共に進んでいった。
(あなたは、いえ私達にはすでに時間という束縛から放たれています。私達には無理でも貴方なら望む場所、時間や距離を無視して存在することが出来るはずです。私達に何かあれば、貴方はすべてを跳躍し助けてくれるでしょう。だから私は心配などせず戦うことが出来ます。そうですよねメーティス?)
(うん。でもそのことを教えなくてもいいの?)
(多分感覚では分かっていると思うの。でも、そうしてしまうとレッドさんの楽しみ奪っちゃうでしょ?)
(そうね、出来ることを少しずつ発見していくのも楽しみの一つよね)
(私たちも、出来ることを発見しつつ戦ってきましょう!)
(わかったわ、最初は私が演算を行い、レディが体の制御で行きましょう)
(了解!)
のんびり書いていきます。




