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フラグって

25


「みんな、十分休んだか?」


「「「「「「応」」」」」」

 ただの返事なのだが地響きが起こる。


 現在地球にある神樹を中心に各種族が陣を張り遠目にみると六角形を形作っていた。団員たちは神樹、いや俺を中心に螺旋を描く様に配置した。敵は空からやってくる。俺があちら側であれば、まず数を減らすため集団の中心へデカいのを一発撃ち込む。それを防ぐには俺の力の供給を受けている団員を螺旋に配置し防御陣を張るためだ。これにはレディの意見も同じであったので問題ないはず。

 正午までには、まだ3時間程もあったが既に敵の姿は見えていた。いや姿ではなく影だった。雲一つない天気なのだが、辺りは暗くなっていた。それは、太陽を遮るほどの大軍団の影だったのだ。しかし、臆するものは誰一人としていなかった。

ここで同じ空を見上げている者は、みな種族は違うが寝食を共にした俺の仲間だ。俺は仲間を誰一人として死なせないと心に誓う。


 接敵まで1時間以上もあったが、地震かと思われるほどの揺れが起こっていた。それは誰が始めたのか分からない足踏みから始まった。一人がドンッ、ドンッと地面を踏み鳴らすと、それに合わせるように人が増えていき今ではほぼ全軍の500万人が行っていた。嫌でも気合が入ってくる。見渡せば全員が今すぐに戦闘を始めても問題ないほどに集中していた。


「フッ、まったく・・・・全員戦闘狂かよ」

 俺は笑ってしまった。しかし例外は居るものだ。


「レッ君、これ終わったら結婚式する。盛大に」

 シズクが言えば。

「それじゃ、その次にあたしね」

 サーラが続く。

「私もシズクさんに続いて結婚を希望します!」

 あの、真面目な月花も名乗りを上げると、もう収拾がつかないほどの騒ぎになっていた。


「まったく、女子組は子供っす!俺には子供が出来るっすよ」

 そこへウッドが大人びた顔で言うと女子組全員の視線がウッドに集まった。


「おぉ、それはめでたいな!いつ出産だ?」

 子供が出来るのは、とても縁起がいい。ウッドの子供なら尚更可愛いだろう。


「来年っす!」


「だったら、無事に帰らないとな」


「そうっす。俺にも守らないといけない、いや、守りたい家族が増えるっす」


「そうだな」

 冒険者になったころ、ウッドは妹を守るのに必死に戦っていたな。次はミンクさん、そして自分の子供も幸せにしないといけない。最初に会った時と比べればウッドの顔も親のそれになっていた。


「ウッドちゃんも大人になったわね」

 リティスが弟を見る目で言う。


「リティ姉には感謝してるっす。あの時リティ姉に誘われなかったら兄貴と会えていなかったっす。今の俺があるのはリティ姉、月花、リーズ、それと兄貴たちが居たからっす」

 皆がウッドを可愛い弟を見る目で見ていた。


「おいおい、それ以上感動させるな。それ以上続けるとフラグが立つぞ」

 

「何すか?フラグって」

 ウッドがキョトンとした顔で聞いてくる。


「最終決戦前、みんなに感謝してるとか、いつも言わない事を言うと死んでしまうという話があるんだよ」

 

「それは困るっす!さっき言ったことは嘘っス!」

 真面目顔で言うが、みんなにはきちんと伝わってしまっているようで、可愛い弟を見る目に変わりは無かった。


「あ、兄貴ぃ、助けてくれっス・・・」

 皆の視線で変更不可を悟ったウッドが助け舟を求めてくる。


「大丈夫だウッド。ウッド亡き後、子供はみんなで面倒見るから安心しろ」

 俺の言葉を聞くなり崩れ去るウッド。


「・・・・ミンクちゃん・・・俺死んじゃうかもっす・・・」


「冗談だよ。ウッドはいつも俺について来てくれた。俺は仲間を誰一人として死なせないから安心してくれ!」


「アニキィー!」

 ウッドが半泣きで抱きついてくる。


「あ、でも死なせちゃったら許してね?」

 再度崩れ落ちるウッド。


 張り詰め過ぎは悪影響だと思ったウッドが、場の空気を和らげたおかげで、肩の力が抜け十全の力を発揮できる状態になった。


「レッドさん、そろそろ」

 レディの声にみんなの表情が引き締まる。敵は影から形まで判別できるほどになっていた。


「多分デカいのが来る!みんな防御態勢。スカウト組は気合入れろ!」

 俺が合図すると同時に空から光が落ちてきた。


――――サンバースト――――

 空から、いや頭の中に声が聞こえた。それは顔を見なくても分かりそうなほど俺の嫌いな奴の声をしていた。甲高い声で机上の空論ばかり述べる会社役員で、おっと、この世界では貴族様かな。俺は偉いんだぞ、貴様ら労働者は指示通りに動けばいい、ケツは俺が持つからと言って下の意見も聞かず失敗しても「そういう意味で言ったんじゃない」と俺達に責任を擦り付けてくるクソ野郎の声だ。


「(俺の嫌いなタイプだな・・・)受け流しで俺に集めろ!!!」

 俺の叫びでスカウト組が高重量、超高熱の光を受け流す。受け流した光は螺旋を描き俺の元へ集まってくる。


「魔法部隊はリーズの指示で結界術式展開、レディは魔導圧縮クリスタル転送、制御は二人で、照準はメーティス、タイミングは俺が!」

 頭上に結界で出来た大きな結界砲身と集めたエネルギーを固定するクリスタルが現れる。このクリスタルはカインの発明で、どんなエネルギーでも空間に固定できる。自然現象の雷や風なども、すべてエネルギーとして任意の場所に固定できるのだ。


「レッドさん、想像以上の魔力量です。このままですとクリスタルの許容量を想定よりも早く超えてしまいそうです」

 リーズが心配そうに言ってくる。


「レディ、クリスタルは再転送できる予備はあるか?」


「あります、3秒待ってください!」

 さすがレディ、3秒も待たず大量のクリスタルが転送されて砲身内を暴れていたエネルギーが徐々に落ち着いてきた。敵の放ったサンバーストが終わるまで約15秒だった。その間貯めこんだエネルギーをそっくりそのまま返してやることにした。


(メーティス、照準は)

(誤差修正、敵集団中央へセット完了、エネルギー充填300%、結界砲身崩壊限界点です)


「そっくり返すぞ!リフレクトキャノンソード!」

 メーティスから報告を受けた俺は拳を撃鉄代わりに砲身下部の一点、撃針へ撃ち込んだ。すると砲身からは受けた攻撃よりも10分の1ほどの細さの光が空へ向かって伸びていく。


(着弾まであと3、2、1、今!照射時間残り15秒14・13・12・・)


 空を覆う影から太陽光が見えた。


「今だリーズ、レディ、切り裂け!」

 合図と共に砲身を操り光の剣の如く敵集団をV字に切り裂きV字の太陽光が差し込んだ。この攻撃を機に混戦が始まるかと思ったが、上位種からの攻撃は来なかった.


「さて、どう出てくるのやら」


「レッドさん、一際強い力を持った者が下りてきます。あれが親玉と見て良いでしょう」

 レディが一点を見つめ報告してくる。俺の考えも同じだった。


 空からは6枚の翼をもつ天使族らしきものが下りてきた。それに合わせ引き連れた主要な連中、親衛隊と思われる者が続々と地上へ降り立つ。それを見たベリアル達が今にも襲い掛かりそうだったのでヒヤヒヤしたが抑えてくれたようだ。かなりの数の上位種が降りてきたにもかかわらず空には未だ大軍団が影を作っていた。


―――我が名はカブリエル、神である―――

 頭の中に声が響く。


のんびり書いていきます。

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